GHQ特命捜査ファイル 軍事機密費

国際検察局は陸軍機密費の実態にどこまで迫れたのか.尋問調書の解読を通じて戦前戦後を貫く歴史の闇を見つめる.

GHQ特命捜査ファイル 軍事機密費
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著者 渡辺 延志
ジャンル 書籍 > 単行本 > 歴史
刊行日 2018/07/19
ISBN 9784000612821
Cコード 0021
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 304頁
定価 本体2,200円+税
在庫 在庫あり
東京裁判のさなか,国際検察局の一人の検察官が,陸軍の「シークレット・ファンド」=機密費をめぐる捜査に取り組んだ.政府や軍の元高官らを次々と召喚,尋問を重ねるうちに,日本の権力中枢における錬金術の核心に迫ったかに見えたが…….厚いベールに覆われた機密費の実態を,いかにして,どこまで明らかにできたのか? 長年埋もれていた英文尋問調書を読み解き,特命捜査の顛末をたどりながら,戦前戦後を通じて息づく日本の“闇”の正体に目を凝らす歴史ノンフィクション.
はじめに──〈シークレット・マンチュリアン・ファンド〉

1 捜査の始動
 情報提供者・田中将軍/機密費支出の命令書/捜査部のファイル

2 連日の尋問
 高級副官・菅井斌麿/新聞班長・松村秀逸/陸軍次官・柴山兼四郎/親軍政治家・小山亮/企画院事件/貧しい国の接待費──津雲国利

3 特命捜査の背景
 東京裁判第一五六回公判/満州事変経費勘定/節目の休廷

4 見えてきた構図
 内閣書記官長・遠藤柳作/補充可能──田辺治通/臨時軍事費──調達のからくり/一九三〇年代の貨幣価値/内務省警保局長・今松治郎/捜査の行き詰まり

5 直接対決
 田中隆吉 vs 親軍代議士・小山亮/田中 vs 国粋大衆党総裁・笹川良一/右翼活動家・児玉誉士夫/海軍省の金庫──横山一郎

6 内閣の機密費調達法を追う
 三人目の書記官長・富田健治/臨時軍事費と機密費/調達ルートの解明へ/上納方式のシステム化/機密費五〇〇〇円の受取人

7 東条の秘密資金は上海から空輸されたか
 近衛首相の秘書・細川護貞/翼賛選挙当選者・植松練磨/たどりついた情報源・川崎豊/あいまいな記憶/GHQの資料提出命令/財政民主化宣言/日本政府の回答/上海ルート解明の断念

8 捜査迷走の背景
 東京裁判再開/IPSの貧弱な捜査体制/正体不明の獲物・機密費

9 田中義一の「陸軍機密費事件」
 田中義一をめぐる疑惑/政界進出の資金/軍務局長のノート

10 台湾総督府陸軍機密費
 機密費の使途を示す唯一の資料/配分計画書/盛大なもてなし/費途区分表/青年将校の回想

11 敗戦と機密費のゆくえ
 東条の機密費/敗戦の前後に一気に配分/国民の目/特別保管金/特別会計の決算

12 特命捜査の幕切れ
 田中隆吉二冊目の暴露本/IPSの内情──慢性的人員不足/GHQ四一二号室

おわりに──清算されなかった過去
 闇の中に垣間見えてきたもの/軍閥の抗争?/素材となった資料

参考文献
渡辺延志(わたなべ のぶゆき)
ジャーナリスト.1955年,福島県生まれ.早稲田大学政治経済学部卒業.
朝日新聞社に勤めるかたわら,独自に歴史資料の発掘,解読に取り組み,著書に『虚妄の三国同盟──発掘・日米開戦前夜外交秘史』(岩波書店,2013年)がある.

書評情報

日本農業新聞 2018年9月23日
週刊文春 2018年9月13日号
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