沖縄の淵

伊波普猷とその時代

民族文化の自立と従属のはざまを歩み続けた「沖縄学」の父・伊波普猷.その生涯と思索を克明にたどる評伝.

沖縄の淵
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著者 鹿野 政直
通し番号 学術386
ジャンル 書籍 > 岩波現代文庫 > 学術
刊行日 2018/08/17
ISBN 9784006003869
Cコード 0121
体裁 A6 ・ 並製 ・ カバー ・ 448頁
定価 本体1,600円+税
在庫 在庫あり
「沖縄学」の父・伊波普猷.貶められつつある沖縄の回復を願い,民族文化の自立と従属のはざまで苦闘しながら民俗研究の独自のフィールドを切り拓いた伊波の作品を丹念に読み解き,その生涯と思索を軸に沖縄近代の精神史を描く評伝.現代文庫版には,「沖縄学」をも相対化しつつ根源的に日本を問い直す詩人・八重洋一郎の思索「歴史との邂逅――「日毒」という言葉」を収める.

凡 例

一 世替りを受けとめて
 誕生から幼少の頃/中学時代――日本・世界へのめざめ/二人の教師/ストライキ事件と退学処分/出京――懊悩の中の自己形成

二 新知識人の誕生と帰郷
 東京帝国大学言語学科での学び/文学士の帰郷/資料収集・講演活動/著述活動/図書館長として/結婚問題と“因習”

三 『古琉球』
 出版の経緯と体裁にみる特徴/在京期の作品/帰郷後の作品/日琉同祖論の形成/経世論としての日琉同祖論

四 精神革命の布教者
 『古琉球』がもたらしたもの/「心中の奴隷を除くより始めよ」/東京での『古琉球』再版/弱者の主体性を搔きだす/世替りを希求する心/沖縄びとへの檄/「マザータング」の保持のために/女性史を開拓する/子どもへの啓蒙活動/女性への啓蒙活動/青年・教員への啓蒙活動/沖縄社会回復への情熱

五 転回と離郷
 ソテツ地獄/思想的転回/もがきと脱出の決意/柳田国男の慫慂/「おもろさうし」の校訂/離郷へ

六 「孤島苦」と「南島」意識
 「清貧」の暮し/ハワイ訪問/東京での活動と思索/「孤島苦の琉球」/「琉球」「沖縄」から「南島」へ/琉球を「傍系」とする意識/ヤマトとの共通性の探求/新おもろ学派からの批判

七 「父」なるヤマト
 時局の緊迫と「おもろ」世界への沈潜/信仰の原型を求めて/稲作と火の神/喪失に抗する思索/「あまみや考」/北方志向/「母の言葉」「父の言葉」/方言論争をめぐって/太平洋戦争下の伊波/河上肇との交友/亡びの予感を抱えて

八 亡びのあとで
 敗戦と沖縄人聯盟/研究継続への思いと急逝/『沖縄歴史物語』

あとがき

補 記
付 歴史との邂逅――「日毒」という言葉……………八重洋一郎
伊波普猷略年譜
現代文庫版へのあとがき
鹿野政直(かの まさなお)
1931年生まれ.早稲田大学名誉教授.専攻は日本近現代史,思想史.著書に『戦後沖縄の思想像』(朝日新聞社),『現代日本女性史─フェミニズムを軸として』(有斐閣),『あま世へ─沖縄戦後史の自立にむけて』(共著,法政大学出版局),『対談沖縄を生きるということ』(共著,岩波書店),『鹿野政直思想史論集』全七巻(岩波書店),『沖縄の戦後思想を考える』(岩波現代文庫)などがある.

書評情報

日本経済新聞(朝刊) 2018年10月13日
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