新刊

まちづくり都市 金沢

新幹線開通後,訪れる人が増加し,まちそのものが魅力的と言われるのはなぜなのか.その答えを探る.

まちづくり都市 金沢
このエントリーをはてなブックマークに追加
著者 山出 保
通し番号 新赤版 1739
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 社会
刊行日 2018/09/20
ISBN 9784004317395
Cコード 0236
体裁 新書 ・ 224頁
定価 本体780円+税
在庫 在庫あり
北陸新幹線開通後,国内外からの観光客がますます増えている金沢.まちそのものが魅力的,と訪問した人たちが言うのは,なぜなのか.歩いて観光できるまち,緑の多いまちはどのようにできたのか.長年にわたる金沢のまちづくりのプロセス,様々な試行錯誤を描きながら,その答え,そして地方都市のこれからも探っていく.
はじめに

第1章 北陸新幹線がまちと地域を変えていく
 1 まちなかに賑わいが戻ってきた
  東京との移動時間は二時間二八分/外国人は,金沢をどう見たのか/賑わいが地元経済や地価にも
 2 開業効果をどう広げ,いかに持続させていくか
  リピーター,そして滞在型の観光を/交通媒体を組み合わせる
 3 金沢開業に負の側面が
  混雑,渋滞と観光マナー/心ない外部資本の進出や出店/観光の「自制の論理」/宿泊税を導入,民泊を制限
 4 開業後のまちづくりをどう進めるか
  金沢をクリエーターのメッカに/東京国立近代美術館工芸館が移ってくる/工芸館への期待
 5 素材と魅力が詰まる沿線地域
  散策を楽しむ飯山市,小布施町/自然,歴史と産業の富山市,高岡市/日本の原風景の砺波市,南砺市/北前船船主集落の輪島市,小松市,加賀市/恐竜ロマンの勝山市,小京都の大野市/「海のある奈良」の小浜市

第2章 あらためて,まちづくりの本質を考える
 1 まちづくりとは
  まちのあり方/まちの個性とは,魅力とは/金沢の個性は「歴史と文化」/「歴史の多層性」と「文化の多様性」
 2 「らしさ」を問う
  「金沢らしさ」とは/親しさ/癒やし/こだわり/思いやり/「らしさ」を共有する/「伝統」とは,「新しさ」とは/まちづくりにおける「本物」/金沢は古都か/金沢は小京都か/金沢に江戸あり

第3章 まちづくりのセオリー
 1 金沢のまちづくり
  駅はまちの顔であり要/人優先の駅/メインストリートを考える/「みちづくり」ではなく「まちづくり」/近江町市場の再整備/県庁移転は新都心づくりへの一歩/保存と開発の架け橋/斯界の識者が金沢で意見交換/蘇った金沢城趾/県庁跡地を「しいのき緑地」に/まちに開かれた金沢21世紀美術館/「矛盾の同一」と「即非の論理」/練習の場も,発表の場も/施設はゆかりの地に
 2 まちづくりと行政
  まちづくりの資質/市民による政策研究と提言/国と県と市町村/まちづくりの継続性/まちづくり条例に法律による権限付与を
 3 他都市の事例に学ぶ
  町並みと景観の保全/町家やビルの再生利用/自然資源の活用

第4章 都市美のエッセンスを再生
 1 歴史的風致を守る
  歴史文化遺産を継承/重要伝統的建造物群保存地区と,こまちなみ保存区域/保存に「匠の技」/歴史的な文化資料を保存
 2 文化的景観を育む
  文化的景観とは/金沢市の文化的景観例/世界遺産登録へ
 3 都市美と景観の保全
  都市の「美しさ」とは/「みんなのもの」で「わたしたちのもの」/公共の責任/なぜ景観関連条例を制定したのか/眺望景観を守る/緑の回復,育成を

第5章 人口減少時代のまちづくり
 1 まちなかを凝縮させる
  「コンパクトシティ」とは言わない/まちづくりの基本とは/まちなかでの小さな土地区画整理/中心商店街へ「ふらっとバス」/大型店の進出に商業環境形成条例を/中小企業は国の礎,まち存立の基/町家の再生・活用で移住・定住を促進/古民家・空きビルを核にエリアリノベーション
 2 マイカーから公共交通への転換
  車に頼らなくても生活できるように/移動権の保障/金沢市にも路面電車があった/なぜ新交通システムが導入できないのか/歩けるまちづくりを進める
 3 安全こそ最大の福祉
  地震対策にモデルはない/防災対策をきめ細かに
 4 コミュニティのあり方を考える
  地縁社会,血縁社会の弱体化/なぜ旧町名の復活に取り組んだのか/用水の蓋を取り払ってみると/コミュニティの蘇生とは

第6章 大都市集中ではない未来のために
 1 地方創生とは
  企業に地方移転の動き/地方大学の充実・強化を/地方の自主・自立
 2 市町村に土地利用計画の策定を
  金沢市の地勢と形態/都心市街地/近郊市街地/農業集落地と中山間地/湖沼と里山の生態系/土地利用計画は試金石

終 章 「まちづくり論考」を再び
 ストロー現象はみられない/交流人口の増加でまちを賑やかに/まちはきれいであってこそ/まちは市民の手に成る芸術品/まちづくりの深化のために

むすびにかえて
主要参考文献
山出 保(やまでたもつ)
1931年,金沢市の小立野台に生まれる.1954年に金沢大学卒業,金沢市役所に入る.87 年,金沢市助役に就任.90年,金沢市長に初当選し,5期20年在職.この間,2003年6月から全国市長会会長を2期4年つとめる.2013年,石川県中小企業団体中央会会長に就任.
2000年日本建築学会文化賞,2004年度日本都市計画学会賞石川賞,日本イコモス賞2015 を受賞.2010年にフランス共和国レジオン・ドヌール勲章シュバリエ章を受章.著書に『金沢を歩く』(岩波新書),『金沢の気骨』(北國新聞社)などがある.

書評情報

北陸中日新聞 2018年9月21日
ページトップへ戻る