琉球 奪われた骨

遺骨に刻まれた植民地主義

盗掘された琉球人遺骨が,現在も京都大学他に保管されている.「学知の植民地主義」と差別の淵源を検証.

琉球 奪われた骨
著者 松島 泰勝
ジャンル 書籍 > 単行本 > 歴史
刊行日 2018/10/10
ISBN 9784000255790
Cコード 0021
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 294頁
定価 2,860円
在庫 在庫あり
1920年代,京都帝国大学助教授の金関丈夫が琉球人遺骨を盗掘し,現在も,京都大学に26体分,台湾大学に63体分の遺骨が保管されている.日本の大学や博物館の「学知の植民地主義」を歴史的に検証し,アイヌ,台湾原住民族,また世界の先住民族の場合とも比較しながら,現在も続く差別の淵源と構造を明らかにする.
はじめに

序章 帝国日本の骨――琉球,台湾,アイヌコタン
 第一節 「清野コレクション」と帝国主義
 第二節 「日本人種論」の形成
 第三節 清野によるアイヌ遺骨の盗掘
 第四節 人類学と大東亜共栄圏
 第五節 戦争犯罪と人類学
 第六節 学知による差別と帝国主義
 第七節 台湾の植民地化と「再皇民化」
  台湾の再皇民化――侵略の正当化,再生産続く/台湾各地で抗日運動――日本,弾圧虐殺の謝罪せず

第一章 盗掘された琉球人遺骨――京都帝国大学の「犯罪」
 第一節 今帰仁「百按司墓」の歴史社会的位置付け
 第二節 どのように琉球人の遺骨が奪われたのか
 第三節 戦前における「金関形質人類学」の特徴
 第四節 戦後における「金関形質人類学」の特徴
 第五節 清野研究室は琉球列島で人骨収集をどのように行ったか

第二章 学知の植民地主義――琉球人遺骨と大学・博物館の問題
 第一節 京都大学はなぜ当事者の声を無視するのか
 第二節 「日本人アイデンティティ」誕生の場としての博物館――港川人を中心として
 第三節 日琉同祖論と新たな琉球人骨研究

第三章 アメリカと大英帝国旧植民地から ――世界の先住民族による遺骨返還運動
 第一節 植民地主義と形質人類学の融合
 第二節 なぜネイティブ・アメリカンの遺骨は奪われたのか
 第三節 アメリカ合衆国における先住民族の遺骨返還運動
 第四節 ヨーロッパ,オーストラリアにおける先住民族遺骨の返還

第四章 アイヌの骨――学問の暴力への抵抗
 第一節 アイヌ遺骨の再埋葬
 第二節 日本の植民地としてのアイヌモシリ
 第三節 大学による「学問の暴力」
 第四節 アイヌ人骨研究と遺骨返還
 第五節 遺骨再埋葬までの道

第五章 自己決定権としての遺骨返還
 第一節 港川人は誰のものか
 第二節 日琉同祖論と遺骨返還
 第三節 琉球における新たな日琉同祖論
  国連勧告撤回に動く日本の国会議員や政府
 第四節 自己決定権としての遺骨返還

終章 生死を超えた植民地支配
 第一節 琉球人にとって骨とは何か
 第二節 先住民族としての琉球人
 第三節 学知の植民地主義批判
 第四節 自己決定権行使としての遺骨返還運動

あとがき
松島泰勝(まつしま やすかつ)
1963年,石垣島生まれ.龍谷大学経済学部国際経済学科教授.専門は地域経済論,経済史,経済政策.博士(経済学,早稲田大学).南大東島,与那国島,沖縄島那覇で育つ.那覇高校卒業後,早稲田大学政治経済学部経済学科卒業.早稲田大学大学院経済学研究科博士課程履修単位取得.在ハガッニャ(グアム)日本国総領事館,在パラオ日本国大使館の専門調査員等を経て現職.著書に『沖縄島嶼経済史』『琉球の「自治」』(以上,藤原書店),『ミクロネシア』(早稲田大学出版部),『琉球独立への経済学』(法律文化社),『琉球独立論』(バジリコ)他.編著に『島嶼沖縄の内発的発展』(藤原書店)等.

書評情報

静岡新聞 2019年1月27日
徳島新聞 2018年12月23日
中國新聞 2018年12月9日
信濃毎日新聞 2018年12月2日
新潟日報 2018年12月2日
河北新報 2018年12月2日
秋田魁新報 2018年11月25日
福島民友 2018年11月24日
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