シリーズ 日本の中の世界史

「連動」する世界史

19世紀世界の中の日本

明治国家の形を,諸地域間の関係と相互作用の中で形成される「世界史の傾向」の土着化の過程として描き出す.

「連動」する世界史
著者 南塚 信吾
ジャンル 書籍 > 単行本 > 歴史
シリーズ シリーズ 日本の中の世界史
刊行日 2018/11/15
ISBN 9784000283847
Cコード 0321
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 268頁
定価 2,750円
在庫 在庫あり
明治国家はどのようにして作られたのだろうか.軍制や学制,国家と国境の概念,外交と条約の概念,選挙と議会制を含む憲法の理念,ネイションとナショナリズム,植民地分割の論理,植民地支配の方式……諸地域間の関係と相互作用の中で形成される「世界史の傾向」が,日本の諸条件にあわせて土着化してゆく歴史を描き出す.

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プロローグ――「連動」する世界史

第Ⅰ章 変革の時代――世界史の中の幕末・維新

一 アヘン戦争とヨーロッパの「改革」――緊張はアジアへ
 1 ヨーロッパの「勢力均衡」のもとでの英米露のアジア進出
 2 中国の反乱――アヘン戦争とその波紋
 3 アヘン戦争と日本
 4 ヨーロッパの「改革」――アヘン戦争の裏で

二 ヨーロッパの「一八四八年革命」とアジア――緊張はヨーロッパへ
 1 ヨーロッパ「諸民族の春」――「一八四八年革命」
 2 緊張の緩和したアジアへの英米の侵入
 3 世界全体を意識した対外政策の開始

三 クリミア戦争とその裏側のアジア――緊張はクリミアへ
 1 世界戦争としてのクリミア戦争
 2 太平天国の乱
 3 「黒船」――日本の「消極的開国」

四 「アジアの大反乱」とその影響――緊張はアジアへ
 1 クリミア戦争後の列強のアジア進出
 2 「アジアの大反乱」――中国・インド・ベトナム
 3 「アジアの大反乱」に支援された日本の「積極的開国」
 4 米露の変革とヨーロッパ――南北戦争と「大改革」と「創業熱」

五 ヨーロッパにおける「国民国家」形成とその影響――緊張はヨーロッパへ
 1 「国民国家」の形成――ヨーロッパの大戦争期
 2 英露の外交的アジア進出
 3 世界史の産物としての明治維新
  【コラム】1 「万国史」の登場


第Ⅱ章 「国民国家」の時代――世界史の中の明治国家

一 ビスマルクの「平和」とアジアの「一八七五年」――緊張はアジアへ
 1 ヨーロッパ「国民国家」間の均衡とアジア
 2 日本の「国民国家」形成
 3 東アジアの「バルカン化」――江華島条約

二 露土戦争と「ベルリン条約体制」――緊張は中央アジアとアフリカへ
 1 露土戦争と「ベルリン条約体制」の成立
 2 「グレート・ゲーム」の展開
 3 アフリカへの列強進出
 4 朝鮮の開国と日本のアジア主義
 5 日本の憲政への道――世界に学ぶ憲法議論

三 「西アフリカ」から清仏戦争へ――緊張はアジアへ
 1 「先占権」と「実効支配」――ビスマルクの政策転換と西アフリカ・ベルリン会議
 2 清仏戦争――東南アジアの緊張
 3 「垂直的アジア主義」と「脱亜論」

四 「アフリカ大反乱」とアジア――緊張はアフリカへ
 1 ビスマルク最後の「勢力均衡」
 2 「アフリカ大反乱」――「アフリカ分割」と抵抗
 3 東アジアに成立した立憲君主国日本
  【コラム】2 「万国史」の発展


第Ⅲ章 帝国主義の時代――世界史の中の日清・日露戦争

一 ヨーロッパの「均衡」から日清戦争へ――緊張はアジアへ
 1 露仏同盟とシベリア鉄道
 2 日清戦争とその世界的影響
 3 「三国干渉」と「バルカン化」

二 南アフリカ戦争から義和団戦争まで――緊張はアフリカから東アジアへ
 1 ファショダ事件と南アフリカ戦争
 2 「中国分割」と義和団戦争
 3 日英同盟とその世界史的意義

三 ドイツの中東進出と英仏協商――緊張は中東へ
 1 ドイツの膨張と英仏協商
 2 バルカンと東アジア――マケドニアと満洲・朝鮮

四 日露戦争の世界――緊張は東アジアへ
 1 「代理戦争」としての日露戦争
 2 日露戦争からの発信

五 ドイツの挑戦と英露協商――緊張は中東へ
 1 ドイツの挑戦――モロッコ事件と中東鉄道
 2 日本も絡んだ英露協商――「グレート・ゲーム」の終結
 3 「連動」する列強の「協商」

六 二つの「併合」――緊張はバルカンへ
 1 ボスニア=ヘルツェゴヴィナ二州併合
 2 韓国併合――二州併合の陰で
  【コラム】3 「万国史」から世界史へ


エピローグ――「土着化」する世界史

 文献一覧
 あとがき
南塚信吾(みなみづか しんご)
1942年生まれ.1970年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学.ハンガリー史,国際関係史.現在,NPO歴史文化交流フォーラム付属世界史研究所所長,千葉大学・法政大学名誉教授.『東欧経済史の研究――世界資本主義とハンガリー』(ミネルヴァ書房,1979 年),『静かな革命――ハンガリーの農民と人民主義』(東京大学出版会,1987 年),『義賊伝説』(岩波新書,1996 年),『世界史なんていらない?』(岩波ブックレット,2007 年)など.

書評情報

週刊文春 2020年1月30日号(評者:出口治明さん)
歴史と地理 2019年5月号(No.724)
UP 2019年3月号
週刊読書人 2019年2月22日(評者:関智英さん)
読売新聞(朝刊) 2019年1月21日
京都新聞 2019年1月20日
朝日新聞(朝刊) 2019年1月19日(評者:出口治明さん)
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