増補 隔離

故郷を追われたハンセン病者たち

らい予防法が廃止されても,ハンセン病隔離政策が終わり解決したわけではなかった.回復者たちの今の声.

増補 隔離
著者 徳永 進
通し番号 社会312
ジャンル 書籍 > 岩波現代文庫 > 社会
刊行日 2019/02/15
ISBN 9784006033125
Cコード 0136
体裁 A6 ・ 並製 ・ カバー ・ 412頁
定価 1,518円
在庫 在庫僅少
1996年らい予防法が廃止,2001年裁判で国の法的責任が明らかになった後も,ハンセン病隔離政策が終わり,回復者たちの苦しみ・哀しみが解決したわけではない.著者のライフワークともいえる,ハンセン病回復者たちの故郷への想い,人生の哀しみを伝える聞き書き.彼らの現在の声をも伝える増補版.(解説=宮坂道夫)
序――理由のないものに刻まれる生

Ⅰ 収容の日
 回春寮世話係
 生木を裂くような別れでした
 お父さんの後姿
 私はカトリック
 祭りの日に来るんです
 なつかしい天神川,あの流れ
 収容,逃走,投獄
 おやじ巡査やった
 ボロ買いの金さん

Ⅱ らいを病んだ母
 歩きました,座りました,待ちました
 私は鬼でした
 きょうだいだけの日々
 山の雑貨屋
 お母さん
 別れのぜんざい

Ⅲ 戦争とらい
 四つの舟
 患者が殴られてるんです
 私はもぐらです
 白い手袋
 自由地区

Ⅳ 島での生活
 腹巻きの中の米
 野菊など供花とし墓を去りにけり
 赤いウサギの目
 一枚の写真
 醜うなって
 青春の日々

Ⅴ 発電所のある村――らいを病んだ故郷の人たち
 地図の上の故郷
 らい園で今は郵便配達婦
 小さな洋裁店の思い出
 今さららいを嘆いてみても
 発電所のある村

聞き書きを終えて

らい者は今日も故郷を想う―― 一九九一年
続く故郷の拒絶――二〇〇一年
終焉期に聞こえる声――二〇一七年,ハンセン病療養所入所者へのアンケートハガキから
隔離の中の医療

あとがき――ベクトル2について
解 説……………宮坂道夫
徳永 進(とくなが すすむ)
1948年鳥取生まれ.京都大学医学部卒業,医師.鳥取赤十字病院内科部長を経て,2001年鳥取市内にホスピスケアを行う有床診療所「野の花診療所」を開設.1992年地域医療への貢献を認められ第一回若月賞を受賞.著書に『死の中の笑み』(講談社ノンフィクション賞),『臨床に吹く風』『死の文化を豊かに』『こんなときどうする?――臨床のなかの問い』『野の花あったか話』『どちらであっても――臨床は反対言葉の群生地』など多数.

書評情報

明日の友 239号(2019年5月号)
東京新聞(朝刊) 2019年3月17日

この商品に関するお知らせ

ページトップへ戻る