候補者ジェレミー・コービン

「反貧困」から首相への道

EU離脱,反緊縮に揺れる英国で,どん底状態の労働党に奇跡を起こした,市民発の「コービン運動」とは?

候補者ジェレミー・コービン
著者 アレックス・ナンズ , 藤澤 みどり , 荒井 雅子 , 坂野 正明
ジャンル 書籍 > 単行本 > 政治
刊行日 2019/04/04
ISBN 9784000229630
Cコード 0031
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 430頁
定価 4,070円
在庫 在庫あり
「泡沫党首候補」から「首相候補者」へ――.EU離脱,反緊縮に揺れる英国の新しい参加型政治運動.SNSを駆使した若者の行動は,市民運動や旧来の労組をも巻き込み,ニューレイバーの失墜でどん底状態にあった労働党に奇跡を起こした.「コービン運動」から政党政治の未来が見えてくる! 気鋭のライターによるポップな書き下ろし.
本書の原注については,こちらをご参照ください.[PDFファイル:1.8MB]
プロローグ 二〇一七年六月七日

第一章 不承不承の党首誕生 …………… 二〇一五年九月一二日
 バックベンチャーから党首へ/三ポンド・サポーター/金融危機が起こした地殻変動

第二章 絶体絶命の窮地――ミリバンド労働党の総選挙敗北…………… 二〇一五年五月七日
 敗因/ニューレイバーの見果てぬ「夢」/ブレア派の処方箋/二つの真実

第三章 絶望からどこへ? ――「求む,反緊縮候補」…………… 二〇一五年五月
 左派の長きにわたる凋落/求む,反緊縮候補/右派の模索/夜明け前

第四章 投票用紙に名前を載せる …………… 二〇一五年六月三~一五日
 とてつもないハードル/ソーシャルメディア作戦/討論集会/怒濤のツイート/コービンの迷い/左派の潜在力/最後の一日

第五章 チーム・コービン …………… 二〇一五年六月~八月
 コービンの優位性/ゼロから生まれたキャンペーン/広がる支持/歴史的転換点

第六章 わが家(ホーム)を探していた一つの運動――反緊縮財政…………… 二〇一五年夏~秋
 草の根の運動家たち/反緊縮のうねり

第七章 労組の持つ力…………… 二〇一五年夏
 組合政治/組合 vs.ブレア派/英国最大労組の決断/もう一つの巨大組合/変化の時/相乗効果

第八章 採決のベル――社会福祉法案 …………… 二〇一五年七月二〇日
 暫定党首の譲歩/党員たちの激怒/党首選への影響

第九章 メディアのパニック …………… 二〇一五年七月二一日
 主要メディアの悪態/『ガーディアン』とニューレイバー/花形コラムニストたち/左派論客たち/裏目に出たメディアのコービン攻撃

第一〇章 傲(おご)れるものは久しからず――ブレア派の運命…………… 二〇一五年夏
 ブレアの傲り/ブレア派の歴史的位置づけ/崩壊

第一一章 コービン・ブーム …………… 二〇一五年夏
 新しい政治運動の勃興/参加型運動/ボランティア/ソーシャルメディア/政策/草の根活動のネットワーク/党を超えた支持の拡大

第一二章 帝国の逆襲 …………… 二〇一五年八月
 手続き上の不正行為の企て――レイバー・パージ/選挙における破滅予想/外交政策に関する中傷/国内政策の曲解

第一三章 勝利と試練 …………… 二〇一五年九月一二日
 勝利後に予想される困難/投票締切前夜/圧勝/祝杯と敵意/影の内閣

第一四章 夏のクーデター …………… 二〇一六年六月二七日
 予測されていたクーデター/「チキン・クーデター」から再びの党首選へ/党員と組合の揺るがぬ支持/「コービンを守れ」とモメンタム/再びの勝利

第一五章 解散総選挙 …………… 二〇一七年四月一八日~六月七日
 第一節 解散総選挙 第一幕
  党首としてのコービン/突然の解散総選挙/政策を一つひとつ浸透させる/失望の統一地方選
 第二節 解散総選挙 第二幕
  マニフェスト漏洩,その意外な効果/保守党の「悲惨なマニフェスト」/ソーシャルメディアの威力/党首事務局 vs.労働党本部
 第三節 解散総選挙 第三幕
  テロと選挙戦/新聞の迷走/テレビでの闘い/二度目のテロ事件/我らは多数だ/投票日
 第四節 解散総選挙 エピローグ


訳者あとがき

人名索引/労働組合・労働党関係主要団体一覧
アレックス・ナンズ(Alex Nunns)
ライター,編集者,活動家,ミュージシャン.政治記者として『レッド・ペッパー』『ル・モンド・ディプロマティーク』などに寄稿.共編書に『タフリール広場からのツイート』(2011年,未邦訳)がある.2011年の1月25日革命(エジプト革命)参加者が現場の逐一を伝えたツイートを編集,ツイートによる市民ジャーナリズムを現代史の中に位置づけた最初の書籍となった.「ツイッターに何ができるんだと期待もせずに読み始めたら,現場の若者の声が立ち上がり,深く心を動かされた」(ロバート・フィスク)等の賞讃を受け,同書をもとにアルジャジーラが同名ドキュメンタリーを制作.2018年秋,ジェレミー・コービン労働党党首のスピーチライターに就任.公立校出身,ケンブリッジ大学ロビンソンカレッジ歴史科卒.


【訳者】

藤澤みどり(ふじさわ みどり)
ジャーナリスト,翻訳家,校閲者.Translators Unitedfor Peace(TUP:平和を目指す翻訳者たち)メンバー.共同訳・校閲書に『冬の兵士――イラク・アフガン帰還米兵が語る戦場の真実』『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』(いずれも岩波書店)など.ロンドン在住.

荒井雅子(あらい まさこ)
翻訳家.TUP メンバー.訳書に『これは誰の危機か,未来は誰のものか』『金持ちが確実に世界を支配する方法』(共にスーザン・ジョージ著),『爆撃』(ハワード・ジン著,共訳),『これがすべてを変える――資本主義 vs. 気候変動(上・下)』『NOでは足りない――トランプ・ショックに対処する方法』(共にナオミ・クライン著,共訳)(全て岩波書店)など.

坂野正明(さかの まさあき)
翻訳家.TUP メンバー,2008年より同会代表.共訳書に『戦争中毒』(ジョエル・アンドレアス著,合同出版),『冬の兵士』(岩波書店)など.主にオンライン上での英語⇔日本語の翻訳, 文章校正(英文,和文),既存の翻訳文のチェックのサービスを提供するワイズ・バベル社を主宰.スコットランド在住.

書評情報

週刊読書人 2019年8月23日(評者:本橋哲也さん)
日本経済新聞(朝刊) 2019年6月29日
朝日新聞(朝刊) 2019年6月8日(評者:宇野重規さん)
毎日新聞(朝刊) 2019年4月21日(評者:伊東光晴さん)
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