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平成経済 衰退の本質

この国が重ねてきた失敗とそのごまかしのカラクリとは.「終わりの始まり」の30年をシビアに総括する

平成経済 衰退の本質
著者 金子 勝
通し番号 新赤版 1769
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 経済
刊行日 2019/04/19
ISBN 9784004317692
Cコード 0233
体裁 新書 ・ 228頁
在庫 在庫あり
バブルとバブルの崩壊から始まった平成時代.マクロ経済政策も,規制緩和中心の構造改革も,「失われた20年」を克服できないどころか,症状を悪化させてきた.セーフティネット概念の革新,反グローバリズム,長期停滞,脱原発成長論などをキー概念に,一貫して未来を先取りした政策提案を行ってきた著者による30年の痛烈な総括.
はじめに――失われたものを取り戻す

第1章 資本主義は変質した
 1 バブルを繰り返す時代へ
  「バブル循環」/「紙幣本位制」の時代/金融革新と中央銀行/中央銀行によるバブル創出へ/グローバリズムと情報独占
 2 一九九七年で経済社会が変わった――「失われた三〇年」とは何か
  成長から衰退へ/産業の衰退/「中流」の没落と格差社会/進む家族の「解体」
 3 「失われた三〇年」の深層
  戦後自民党政治の行き詰まり/無責任体制の正統化

第2章 グローバリズムから極右ポピュリズムへ
 1 グローバリズムと「第三の道」―― 一九九〇年代の錯綜
  グローバリズムの始まり/金融革新とグローバリゼーション/「第三の道」/北欧福祉国家の変化
 2 移民社会の出現と新しい福祉国家
  対立と分断の底流にあるもの/移民労働者の増加と労働組合の後退/ダイバーシティと普遍主義
 3 対テロ世界戦争とリーマンショック
  ブッシュの対テロ戦争と難民問題/リーマンショックとオバマ政権/オバマの「チェンジ」と挫折/トランプのアメリカ/米中「貿易戦争」へ/北朝鮮とイラン/発展するアジアをめぐって/トランプのパラドックス

第3章 転換に失敗する日本
 1 振り子時計と「失われた三〇年」
  周回遅れの政治が続く/振り子のように振れる政策
 2 周回遅れの「新自由主義」
  小泉「構造改革」へ/「大きすぎて潰せない」/小泉「構造改革」と地域医療の崩壊/頓挫した地方分権改革
 3 転換の失敗がもたらしたもの
  民主党政権のマニフェスト/何が問題だったのか/安倍政権とポピュリズム/バラマキのポピュリズム/見せかけのポピュリズム/無力化のポピュリズム

第4章 終わりの始まり
 1 出口のない“ネズミ講”
  失敗するアベノミクス/出口がない/生命維持装置としての官製相場/歪んだバブル/中央銀行の「死」
 2 経済・財政危機の発生経路
  甘い見通し/民間貯蓄の減少傾向/政府赤字減少のからくり/貿易赤字化の進行
 3 産業の衰退が止まらない
  長期停滞から長期衰退へ/産業戦略の欠如/成功が失敗を生む/エネルギー転換の時代
 4 社会が壊れていく
  新しい格差社会

第5章 ポスト平成時代を切り拓くために
 (1)社会基盤として透明で公正なルールが不可欠である
 (2)教育機会を平等に保障しなければならない
 (3)産業戦略とオープン・プラットフォームを作る
 (4)電力会社を解体せよ
 (5)地域分散ネットワーク型システムに転換する
 (6)時間をかけて財政金融の機能を回復する

文献案内
おわりに
金子勝(かねこ まさる)
1952年東京都生まれ.経済学者.東京大学大学院経済学研究科博士課程修了.東京大学社会科学研究所助手,法政大学経済学部教授,慶應義塾大学経済学部教授などを経て,現在,立教大学経済学研究科特任教授.
専門―財政学,地方財政論,制度経済学
著書―『市場と制度の政治経済学』(東京大学出版会)『新・反グローバリズム』『原発は火力より高い』『逆システム学』(共著)『日本病長期衰退のダイナミクス』(共著)『悩みいろいろ』(以上,岩波書店)『長期停滞』『閉塞経済』『経済大転換』(以上,ちくま新書)『資本主義の克服』(集英社新書)『負けない人たち』(自由国民社)ほか

書評情報

AFCフォーラム 2019年7月号
日本農業新聞 2019年7月14日
日刊ゲンダイ 2019年7月2日
毎日新聞(朝刊) 2019年6月30日
しんぶん赤旗 2019年6月23日
日刊ゲンダイ 2019年6月19日
朝日新聞(朝刊) 2019年6月15日(評者:本田由紀さん)
東京新聞 2019年6月9日(評者:中沢孝夫さん)
週刊文春 2019年5月9日(評者:森岡英樹さん)

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