『こころ』異聞

書かれなかった遺言

誰もが知っているテキストの中の古今東西の様々なイメージを改めてつなぎ,「こころ」の謎を読み解く.

『こころ』異聞
著者 若松 英輔
ジャンル 書籍 > 単行本 > 評論・エッセイ
刊行日 2019/06/21
ISBN 9784000229678
Cコード 0095
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 248頁
定価 2,530円
在庫 在庫あり

「こころ」という小説は,「私」がいつ,だれに向けて書いた作品だったのか.日本の近代小説の中で最も読まれているであろうテキストの中にちりばめられた古今東西の様々なイメージを改めて丹念に拾い上げ,浮かび上がってくる「こころ」の謎を読み解く.「図書」好評連載.

小説誕生前夜
沈黙する主人公
「私」は,いつ語り始めたのか
邂逅への衝動
墓石に刻まれた暗号
恐怖と畏怖
罪と恋
思想家の自信
「将来」を感じる
最初の手紙
先生の故郷
一点の燈火
蟬の予告
兄の叱責
人生の暗示
亡き者からの促し
記憶を生きる
花と愛
聖なる愛
直覚の人
自分を破壊しつつ進む者
求道者の恋
道化の出現
取り違えられた覚悟
怠惰という裏切り
黒い光
空白の時間
生の誇り
庇護者の誤認

あとがきに代えて――『こころ』に刻まれたもう一つの道
若松英輔(わかまつ えいすけ)
1968年新潟県生まれ.批評家・随筆家.東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授.
「越知保夫とその時代 求道の文学」にて三田文学新人賞,『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』(慶應義塾大学出版会,2015)にて西脇順三郎学術賞,『詩集 見えない涙』(亜紀書房,2017)にて詩歌文学館賞,『小林秀雄 美しい花』(文藝春秋,2017)にて角川財団学芸賞を受賞.
著書に『井筒俊彦 叡知の哲学』(慶應義塾大学出版会,2011),『魂にふれる 大震災と,生きている死者』(トランスビュー,2012),『生きる哲学』(文春新書,2014),『霊性の哲学』(角川選書,2015),『悲しみの秘義』(ナナロク社,2015),『イエス伝』(中央公論新社,2015),『内村鑑三 悲しみの使徒』(岩波新書,2018),『常世の花 石牟礼道子』(亜紀書房,2018)など多数.

書評情報

読売新聞(朝刊) 2019年9月1日(評者:宮下志朗さん)
東京新聞(朝刊) 2019年8月25日(評者:いとうせいこう さん)
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