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ヴァルター・ベンヤミン

闇を歩く批評

時代の危機と対峙しつつ言語,芸術,歴史の本質に迫る批評を展開したベンヤミン.その思考を読み解く.

ヴァルター・ベンヤミン
著者 柿木 伸之
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 哲学・思想
刊行日 2019/09/20
ISBN 9784004317975
Cコード 0210
体裁 新書 ・ 270頁
在庫 在庫あり
戦争とファシズムの時代に生きた思想家ヴァルター・ベンヤミン(1892―1940).蹉跌の生涯のなかで彼が繰り広げた批評は,言語,芸術,歴史を根底から捉え直しながら,時代の闇のただなかに,何者にも支配されない生の余地を切り開こうとした.瓦礫を掻き分け,捨て去られたものを拾い続けた彼の思考を今読み解く.
プロローグ――批評とその分身
 第一節 せむしの小人とともに
 第二節 天使という分身


第一章 青 春の形而上学――ベルリンの幼年時代と青年運動期の思想形成
 第一節 世紀転換期のベルリンでの幼年時代
 第二節 独自の思想の胎動
 第三節 「青春の形而上学」が開く思考の原風景
 第四節 友人の死を心に刻んで
 インテルメッツォⅠ クレーとベンヤミン


第二章 翻訳としての言語――ベンヤミンの言語哲学
 第一節 言語は手段ではない
 第二節 言語とは名である――「言語一般および人間の言語について」
 第三節 翻訳としての言語
 第四節 方法としての翻訳――「翻訳者の課題」


第三章 批評の理論とその展開――ロマン主義論からバロック悲劇論へ
 第一節 芸 術批評の理念へ――『ドイツ・ロマン主義における芸術批評の概念』
 第二節 神話的暴力の批判――「暴力批判論」
 第三節 文芸批評の原像――「ゲーテの『親和力』」
 第四節 バロック悲劇という根源――『ドイツ悲劇の根源』


第四章 芸術の転換――ベンヤミンの美学
 第一節 人 間の解体と人類の生成――『一方通行』と「シュルレアリスム」
 第二節 アレゴリーの美学――バロック悲劇からボードレールへ
 第三節 知覚の変化と芸術の転換――「技術的複製可能性の時代の芸術作品」
 第四節 中断の美学――ブレヒトとの交友
 インテルメッツォⅡ アーレントとベンヤミン


第五章 歴史の反転――ベンヤミンの歴史哲学
 第一節 近代の根源へ――『パサージュ論』の構想
 第二節 経験の破産から――「フランツ・カフカ」と「物語作家」
 第三節 想起と覚醒――『パサージュ論』の方法
 第四節 破壊と救出――「歴史の概念について」


エピローグ――瓦礫を縫う道へ
 第一節 ベンヤミンの死
 第二節 瓦礫を縫う道を切り開く批評
 第三節 哲学としての批評


ヴァルター・ベンヤミン略年譜
主要参考文献一覧
あとがき
柿木伸之(かきぎ のぶゆき)
1970年鹿児島市生まれ.上智大学文学部哲学科卒業.上智大学大学院哲学研究科哲学専攻満期退学.博士(哲学).上智大学文学部哲学科助手,広島市立大学国際学部准教授などを経て
現在―広島市立大学国際学部教授
専門―ドイツ語圏の近・現代の哲学と美学
著書―『ベンヤミンの言語哲学――翻訳としての言語,想起からの歴史』(平凡社,2014年),『パット剝ギトッテシマッタ後の世界へ――ヒロシマを想起する思考』(インパクト出版会,2015年)など
訳書―『細川俊夫音楽を語る――静寂と音響,影と光』(アルテスパブリッシング,2016年),テオドール・W・アドルノ『自律への教育』(共訳,中央公論新社,2011年)など

書評情報

群像 2020年2月号(評者:田中 純さん)
朝日新聞(朝刊) 2019年11月2日

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