俳諧の詩学

素朴な「意味」への問いを入口に,俳句を「世界最短の詩」として読みとく広大な視野を開く画期的俳諧論.

俳諧の詩学
著者 川本 皓嗣
ジャンル 書籍 > 単行本 > 文学・文学論
刊行日 2019/09/26
ISBN 9784000244893
Cコード 0095
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 326頁
定価 3,630円
在庫 在庫あり
芭蕉「田一枚植ゑて立ち去る柳かな」.はたして田を植えたのは「誰」なのか?──こうした素朴な「意味」への問いは,「世界最短の詩」である俳句・俳諧を,広く「一般詩学」へ解放するきっかけとなる.季語や切字などの約束事を「当たり前」のこととせず,その前提から改めてこの「短詩型」を問い直す,画期的な俳諧論.
俳句の「意味」とは――序に代えて


Ⅰ 短詩型としての俳句
 1 短詩型とは何か――いひおほせて何かある
 2 日本の「秋」――文化のなかの季語
 3 芭蕉の桜――「花」の本意と本情


Ⅱ 俳諧の詩学
 1 新切字論――連歌から芭蕉,現代俳句まで
 2 「三句放れ」と「匂付け」――連句を問い直す
 3 芭蕉の旅――『おくの細道』冒頭の隠喩


Ⅲ 俳諧の近代と子規
 1 子規の「写生」――理論的再評価の試み
 2 漢学書生子規――俳論とその文体


Ⅳ 俳諧の比較詩学
 1 「不易流行」とは何か――芭蕉とボードレール
 2 詩語の力――俳句とイマジスムの詩
 3 第二芸術論を疑う――桑原武夫とI・A・リチャーズ


引用・参照文献一覧
あとがき


句・歌・詩索引/主要人名・書名・作品名索引/主要事項索引
川本皓嗣(かわもと こうじ)
1939年生.比較文学・比較文化研究.文学博士.東京大学教養学部教養学科フランス分科卒,同大学院比較文学比較文化専攻を経て,パリ大学に留学.のち,東京大学教授,大手前大学学長を歴任,現在,東京大学・大手前大学名誉教授,日本学士院会員.国際比較文学会会長,日本比較文学会会長などを務めた.
著書:『日本詩歌の伝統――七と五の詩学』(岩波書店,1991.サントリー学芸賞,小泉八雲賞受賞.英訳 The Poeticsof Japanese Verse - Imagery, Structure, Meter, University of Tokyo Press, 2000, 中国語訳『日本詩歌的伝統――七与五的詩学』2004),『アメリカの詩を読む』(岩波書店,1998),The Cambridge History of Japanese Literature(共著,Cambridge University Press, 2016)ほか
訳書:『アメリカ名詩選』(亀井俊介と共編訳,岩波文庫,1993),テリー・イーグルトン『詩をどう読むか』(岩波書店,2011),ロバート・フロスト『対訳フロスト詩集』(編訳,岩波文庫,2018)

書評情報

週刊読書人 2020年4月3日 (評者:星 雅樹さん)
日本経済新聞(朝刊) 2020年1月4日
毎日新聞(朝刊) 2019年12月8日(「2019 この3冊」欄,評者:張 競さん)
毎日新聞(朝刊) 2019年11月24日(評者:張 競さん)

受賞情報

第4回ドナルド・キーン賞(2020年)
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