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2021.05.28
ジャック・デリダ
死後の生を与える
現代思想最後の巨星は何を遺したのか。知られざる後期の思想を軸に読み解く。新たなる入門書の誕生。
脱構築の名のもと、新たな問いの領域を生涯にわたり開拓し続けた、現代思想最後の巨星。没後15年を経て、その影響はなお衰えをしらない。日本ではいまだ知られざる後期の思想、そしてさまざまな局面に波及する脱構築思想の広がりを一望し、その可能性を解き明かす。すべての読者に開かれた、新たなる入門の書。
■宮﨑裕助さんによる本書の特製ブックガイド「脱構築の死後の生」
■宮﨑裕助さんによる本書の特製ブックガイド「脱構築の死後の生」
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序 論 いまここにある死後の生
1 「私は私自身と戦争状態にある」
2 翻訳としての死後の生
3 遺産相続としての死後の生
4 デリダ小伝および思想の概要
導入部 差延としての死後の生
第1章 差延、あるいは差異の亡霊――ソシュールからデリダへ
1 「差異」から「差延」へ
1・1 差異の原光景
1・2 差異のジレンマ
2 「差延」から「差異」の時間性へ
2・1 差異の亡霊
2・2 差異化と差延
3 デリダとソシュールのあいだ
第Ⅰ部 政治的なものの亡霊的起源
第2章 国家創設と署名の力――「アメリカ独立宣言」をめぐって
1 パフォーマティヴとしての独立宣言
2 署名の反覆可能性
3 寓話としての国家創設
4 「権威の神秘的基礎」と暴力の両義性
5 アメリカのもうひとつの名
Post-scriptum「行為遂行的」(パフォーマティヴ)から「倒錯遂行的」(パヴァーフォーマティヴ)へ
第3章 自己免疫的民主主義――来たるべきデモクラシーの条件
1 民主主義の差延的構造
1・1 自己支配
1・2 多数支配
2 「自己免疫」の由来と背景
3 不可視なる「敵」の拡散
4 デモスの情動的な生
第4章 プロフェッションとしての言語行為――亡霊化する労働の行方
1 「喪の作業」としての労働
2 労働のヴァーチャル化とグローバル化
2・1 「あたかも~かのように」
2・2 「労働の終焉」
2・3 「世界の起源」
3 プロフェッションとはなにか
4 「資本の言語」から「プロフェッションの言語」へ
第Ⅱ部 人間と動物の生-死
第5章 動物と生政治への問い――猫のまなざし、ハリネズミの傷痕
1 動物権利論の人間主義
2 動物愛護論者デリダ?
3 動物的生を捉える生政治への問い
4 デリダ的生政治分析にむけて
4・1 動物=パッション
4・2 動物=エクリチュール
第6章 人間/動物のリミトロフィー――デリダによるハイデガーの動物論講義
1 人間主義の回帰
2 動物的貧しさの両義性
3 動物的生の「本質的な震撼」
4 「として構造」を媒介する痕跡の構造
5 自伝的動物、あるいは動物の見る夢
第7章 ひとつの生、ひとつの生き延び――ドゥルーズ/デリダ
1 動物は愚かさから守られているか
2 生の思考における差異
2・1 純粋内在としての生
2・2 生き延びとしての生
3 生のパルタージュ
第Ⅲ部 来たるべき共同体への信
第8章 他者への応答責任――死を与えるキルケゴールとデリダ
1 「決断の瞬間はひとつの狂気である」
2 『おそれとおののき』の諸問題
2・1 犠牲
2・2 倫理の切断
2・3 秘密と責任
3 イサク奉献解釈の読み換え
4 責任の遍在化と無責任化
5 信の秘密を分かち合うこと
第6章 呼びかけとしての友愛、哀悼としての友愛――アリストテレスの友たち
1 アリストテレスの失われた箴言
2 アガンベンの文献学的批判
3 友愛の根源的パフォーマティヴ
3・1 完全な友愛の自己廃棄
3・2 友愛のミニマル・コンセンサス
3・3 友愛の反覆可能性
4 はじめに死者たちへの愛があった
終 章 家族への信――絆のアポリアについて
1 家族の本質なき定義
2 不在の父、複数の母
3 非嫡出的なものへの愛
4 子どものファンタスム
初出一覧
あとがき――死後の生を与えなおすために
索 引
1 「私は私自身と戦争状態にある」
2 翻訳としての死後の生
3 遺産相続としての死後の生
4 デリダ小伝および思想の概要
導入部 差延としての死後の生
第1章 差延、あるいは差異の亡霊――ソシュールからデリダへ
1 「差異」から「差延」へ
1・1 差異の原光景
1・2 差異のジレンマ
2 「差延」から「差異」の時間性へ
2・1 差異の亡霊
2・2 差異化と差延
3 デリダとソシュールのあいだ
第Ⅰ部 政治的なものの亡霊的起源
第2章 国家創設と署名の力――「アメリカ独立宣言」をめぐって
1 パフォーマティヴとしての独立宣言
2 署名の反覆可能性
3 寓話としての国家創設
4 「権威の神秘的基礎」と暴力の両義性
5 アメリカのもうひとつの名
Post-scriptum「行為遂行的」(パフォーマティヴ)から「倒錯遂行的」(パヴァーフォーマティヴ)へ
第3章 自己免疫的民主主義――来たるべきデモクラシーの条件
1 民主主義の差延的構造
1・1 自己支配
1・2 多数支配
2 「自己免疫」の由来と背景
3 不可視なる「敵」の拡散
4 デモスの情動的な生
第4章 プロフェッションとしての言語行為――亡霊化する労働の行方
1 「喪の作業」としての労働
2 労働のヴァーチャル化とグローバル化
2・1 「あたかも~かのように」
2・2 「労働の終焉」
2・3 「世界の起源」
3 プロフェッションとはなにか
4 「資本の言語」から「プロフェッションの言語」へ
第Ⅱ部 人間と動物の生-死
第5章 動物と生政治への問い――猫のまなざし、ハリネズミの傷痕
1 動物権利論の人間主義
2 動物愛護論者デリダ?
3 動物的生を捉える生政治への問い
4 デリダ的生政治分析にむけて
4・1 動物=パッション
4・2 動物=エクリチュール
第6章 人間/動物のリミトロフィー――デリダによるハイデガーの動物論講義
1 人間主義の回帰
2 動物的貧しさの両義性
3 動物的生の「本質的な震撼」
4 「として構造」を媒介する痕跡の構造
5 自伝的動物、あるいは動物の見る夢
第7章 ひとつの生、ひとつの生き延び――ドゥルーズ/デリダ
1 動物は愚かさから守られているか
2 生の思考における差異
2・1 純粋内在としての生
2・2 生き延びとしての生
3 生のパルタージュ
第Ⅲ部 来たるべき共同体への信
第8章 他者への応答責任――死を与えるキルケゴールとデリダ
1 「決断の瞬間はひとつの狂気である」
2 『おそれとおののき』の諸問題
2・1 犠牲
2・2 倫理の切断
2・3 秘密と責任
3 イサク奉献解釈の読み換え
4 責任の遍在化と無責任化
5 信の秘密を分かち合うこと
第6章 呼びかけとしての友愛、哀悼としての友愛――アリストテレスの友たち
1 アリストテレスの失われた箴言
2 アガンベンの文献学的批判
3 友愛の根源的パフォーマティヴ
3・1 完全な友愛の自己廃棄
3・2 友愛のミニマル・コンセンサス
3・3 友愛の反覆可能性
4 はじめに死者たちへの愛があった
終 章 家族への信――絆のアポリアについて
1 家族の本質なき定義
2 不在の父、複数の母
3 非嫡出的なものへの愛
4 子どものファンタスム
初出一覧
あとがき――死後の生を与えなおすために
索 引
宮﨑裕助(みやざき ゆうすけ)
1974年生まれ.兵庫県出身.東北大学文学部卒,東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了.博士(学術).現在,新潟大学人文学部准教授.専門は哲学・現代思想.
著書に『判断と崇高――カント美学のポリティクス』(知泉書館,2009年),『新・カント読本』(共著,法政大学出版局,2018年),『続・ハイデガー読本』(共著,法政大学出版局,2016年),『連続講義 現代日本の四つの危機』(共著,講談社選書メチエ,2015年),『人文学と制度』(共著,未來社,2013年)ほか.訳書(共訳)に,ロドルフ・ガシェ『脱構築の力』(編訳,月曜社,2020年),ジャック・デリダ『哲学への権利 2』(みすず書房,2015年),ポール・ド・マン『盲目と洞察』(月曜社,2012年)ほか.
1974年生まれ.兵庫県出身.東北大学文学部卒,東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了.博士(学術).現在,新潟大学人文学部准教授.専門は哲学・現代思想.
著書に『判断と崇高――カント美学のポリティクス』(知泉書館,2009年),『新・カント読本』(共著,法政大学出版局,2018年),『続・ハイデガー読本』(共著,法政大学出版局,2016年),『連続講義 現代日本の四つの危機』(共著,講談社選書メチエ,2015年),『人文学と制度』(共著,未來社,2013年)ほか.訳書(共訳)に,ロドルフ・ガシェ『脱構築の力』(編訳,月曜社,2020年),ジャック・デリダ『哲学への権利 2』(みすず書房,2015年),ポール・ド・マン『盲目と洞察』(月曜社,2012年)ほか.
受賞情報
第12回表象文化論学会賞(2021年)