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2020.02.07
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ベルリン三部作
ベルリン1933 壁を背にして (上)
不穏な時代の空気のなか、ヒトラーが政権を奪取するまでの数か月間の狂騒を、十五歳の視点で描く。
一九三二年、夏。世界恐慌のあおりでベルリンの街にも失業者があふれるなか、「よりよき未来」を約束するナチは急速に勢力を拡大していた。ヘレの弟ハンスは、悩みながらも社会に足を踏み入れていくが、やがて否応なく不穏な時代の流れに巻き込まれ……。ヒトラー政権奪取までのわずか数か月を、十五歳の視点で描く第二作。
■「ベルリン3部作」ラインナップ
第1部 『ベルリン1919 赤い水兵』(上・下)
第2部 『ベルリン1933 壁を背にして』(上・下)
第3部 『ベルリン1945 はじめての春』(上・下)
■「ベルリン3部作」ラインナップ
第1部 『ベルリン1919 赤い水兵』(上・下)
第2部 『ベルリン1933 壁を背にして』(上・下)
第3部 『ベルリン1945 はじめての春』(上・下)
■深緑野分さん推薦!
ゲープハルト一家は暮らしていた、あの時、あの場所で。
言葉の力で小説世界に没頭できると最高だ。コルドンのベルリン三部作はあらゆる点で傑作だけれど、描写が本当に素晴らしい。立ち上がってくる灰色の街と不穏な気配、木の階段を駆けのぼる子どもの足音、毛羽だったコートの手触り、におい。過去から吹く風は私たちを絡め取り、時間も国境も越えて、あの時、あの場所へいざなう。
『ベルリンは晴れているか』を書く際、特に『ベルリン1945』を参考にした。私のアウグステとヘレはご近所さんだ。『ベルリン1919』で少年だったヘレは、一家は、街は、かの恐ろしい迫害と戦争へ突入していく。どうか最後まで読み届けてほしい。
ゲープハルト一家は暮らしていた、あの時、あの場所で。
言葉の力で小説世界に没頭できると最高だ。コルドンのベルリン三部作はあらゆる点で傑作だけれど、描写が本当に素晴らしい。立ち上がってくる灰色の街と不穏な気配、木の階段を駆けのぼる子どもの足音、毛羽だったコートの手触り、におい。過去から吹く風は私たちを絡め取り、時間も国境も越えて、あの時、あの場所へいざなう。
『ベルリンは晴れているか』を書く際、特に『ベルリン1945』を参考にした。私のアウグステとヘレはご近所さんだ。『ベルリン1919』で少年だったヘレは、一家は、街は、かの恐ろしい迫害と戦争へ突入していく。どうか最後まで読み届けてほしい。
■ひこ・田中さん推薦!
20世紀前半ドイツの3つの転換期を描く物語の主人公は子ども(1919年はヘレ、1933年はヘレの弟ハンス、1945年はヘレの娘のエンネ)だ。
転換期には、子どもが傍にいても自分を取り繕う余裕が大人にはなく、家族や近所の人たちとの政治的対立、裏切り、語り合っても通じない心、権力への媚びへつらい、愚かな信奉などが子どもの目の前で露わになる。もちろん子どもも大活躍する余裕はない。が、彼らは大人の振る舞いを記憶し、自分の考えを少しずつ形成していく。子ども(未来)に信頼を抱くのが児童書の強さだ。
これほど大人の右往左往が正直に語られている児童書はめったにあるものではない。大人には痛いし、読むには覚悟がいる作品だが、その価値はある。
20世紀前半ドイツの3つの転換期を描く物語の主人公は子ども(1919年はヘレ、1933年はヘレの弟ハンス、1945年はヘレの娘のエンネ)だ。
転換期には、子どもが傍にいても自分を取り繕う余裕が大人にはなく、家族や近所の人たちとの政治的対立、裏切り、語り合っても通じない心、権力への媚びへつらい、愚かな信奉などが子どもの目の前で露わになる。もちろん子どもも大活躍する余裕はない。が、彼らは大人の振る舞いを記憶し、自分の考えを少しずつ形成していく。子ども(未来)に信頼を抱くのが児童書の強さだ。
これほど大人の右往左往が正直に語られている児童書はめったにあるものではない。大人には痛いし、読むには覚悟がいる作品だが、その価値はある。
第一章 石と鉄の街
第二章 ここはだれの通りだ?
原 注
訳 注
【下巻目次】
第三章 夜のたいまつ行列
第四章 炎 上
あとがき
訳者あとがき
『ベルリン1933』にまつわるドイツ年表
第二章 ここはだれの通りだ?
原 注
訳 注
【下巻目次】
第三章 夜のたいまつ行列
第四章 炎 上
あとがき
訳者あとがき
『ベルリン1933』にまつわるドイツ年表
クラウス・コルドン
1943年生まれ。ドイツの作家。ベルリン生まれ。東西ドイツの分裂後は、旧東ドイツの東ベルリンに育つ。さまざまな職業を経たのち、貿易商社につとめ、インド、インドネシア、北アフリカを訪れる。1972年、西側への逃亡に失敗し、1年間拘留される。独居房での5か月を、頭のなかで小説を書くことで生きのびたという。西ドイツ政府によって73年に釈放されると、その後、西ベルリンに移住した。1977年にインドネシアを舞台とする『タダキ』でデビュー。以来、数多くの児童書やYA作品を発表する。評伝『ケストナー ナチスに抵抗し続けた作家』でドイツ児童文学賞受賞。『ベルリン1933 壁を背にして』で、銀の石筆賞受賞。
酒寄進一(さかより しんいち)
1958年生まれ。翻訳家。和光大学教授。上智大学を卒業後、ケルン大学、ミュンスター大学に学ぶ。ドイツの児童文学やファンタジー、ミステリなど幅広い作品の紹介を手がける。訳書にヴェデキント『春のめざめ』(岩波書店)、クルト・ヘルト『赤毛のゾラ』(福音館書店)、シーラッハ『犯罪』『コリーニ事件』(ともに東京創元社)などがある。
1943年生まれ。ドイツの作家。ベルリン生まれ。東西ドイツの分裂後は、旧東ドイツの東ベルリンに育つ。さまざまな職業を経たのち、貿易商社につとめ、インド、インドネシア、北アフリカを訪れる。1972年、西側への逃亡に失敗し、1年間拘留される。独居房での5か月を、頭のなかで小説を書くことで生きのびたという。西ドイツ政府によって73年に釈放されると、その後、西ベルリンに移住した。1977年にインドネシアを舞台とする『タダキ』でデビュー。以来、数多くの児童書やYA作品を発表する。評伝『ケストナー ナチスに抵抗し続けた作家』でドイツ児童文学賞受賞。『ベルリン1933 壁を背にして』で、銀の石筆賞受賞。
酒寄進一(さかより しんいち)
1958年生まれ。翻訳家。和光大学教授。上智大学を卒業後、ケルン大学、ミュンスター大学に学ぶ。ドイツの児童文学やファンタジー、ミステリなど幅広い作品の紹介を手がける。訳書にヴェデキント『春のめざめ』(岩波書店)、クルト・ヘルト『赤毛のゾラ』(福音館書店)、シーラッハ『犯罪』『コリーニ事件』(ともに東京創元社)などがある。
受賞情報
2021年度日本子どもの本研究会〈特別賞〉