世界 2020年5月号

【特集1:コロナショック・ドクトリン】【特集2:デジタル教育の虚実】

世界 2020年5月号
ジャンル 雑誌 > 世界 > 定期号
刊行日 2020/04/08
■特集1 コロナショック・ドクトリン

 微小のウイルスが人類を動揺させている。
 新型コロナウイルス感染症=COVID-19は、 3・11という象徴的な日付とともにパンデミックが宣言された。いまやマスクと防護服姿は、グローバルなリスク社会の象徴といえよう。
 突発的で連鎖的な死をもたらしかねない未知の感染症に、私たちは本能的な恐れを抱く。もとより感染拡大の抑止は急務だが、社会的な不安の高まりは「ショック・ドクトリン」、すなわち惨事に便乗した急激な「改革」をも容易にする。
 さらにこのパンデミックは、消費と移動を急拡大させてきた世界経済に猛烈なブレーキをかけ、リーマン・ショックを凌駕する大恐慌さえ予感されている。
 いま、私たちの社会で何が起きようとしているのか。パンデミックの由来と影響を見極めながら、何にどう備えるべきか、検証を進めたい。

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┃特集1┃コロナショック・ドクトリン
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〈バブル崩壊〉
新コロナ大恐慌にどう立ち向かうか
金子 勝(立教大学特任教授)

〈分断を超えて〉
疫病の年に
マイク・デイヴィス(歴史家)/訳=マニュエル・ヤン/解説=酒井隆史

〈災厄の本質〉
緊急事態とエコロジー闘争――「戦い」の向きを変える
西谷 修(東京外国語大学名誉教授)

〈専門家会議委員に聞く〉
日本なりの方法で感染拡大を防ぐ――新型コロナウイルスの現在とこれから
舘田一博(東邦大学)

〈人権へのリスク〉
新型コロナウイルスと緊急事態条項――法律制度を整理する
永井幸寿(弁護士)

〈緊急対談〉
感染症と排外主義――新型コロナウイルスが可視化したもの
森千香子(同志社大学)、小島祥美(愛知淑徳大学)

〈問われるメディア〉
情報コントロールが危機を増幅させる――緊急事態体制に向き合う
田島泰彦(元上智大学教授)

〈特別篇〉
○片山善博の「日本を診る」(126) これまでの新型コロナウイルス対策で検証すべきことは何か
○脳力のレッスン(217) 新型コロナウイルス危機の本質――理性ある対応とは何か
 (寺島実郎)

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┃特集2┃デジタル教育の虚実
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〈検証「一人一台」〉
教育政策と経済政策は区別せよ――GIGAスクール構想の行方をめぐって
前川喜平(元文部科学事務次官)

〈教育効果を再考する〉
デジタル教科書は万能か?――情報を減らす教育の再評価を
辻 元(上智大学)

〈いびつな財政措置〉
ICT教育は教育スタンダードになるか?
中村文夫(教育行財政研究所)

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◆注目記事
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〈インタビュー〉
政治のリフォームが必要だ――持続可能な地域のために
石破 茂(衆議院議員)、聞き手=佐藤 章

〈抄訳〉
気候のティッピングポイント――危険すぎる賭け
ティモシー・レントン、ヨハン・ロックストローム他 訳=荒井雅子

〈議論を次のステージへ〉
最終確認 地球温暖化は本当なんですよね?
江守正多(国立環境研究所)

〈現地情勢〉
アフガニスタン和平の同床異夢
宮内篤志(NHK報道局国際部)

〈哀悼〉
中村哲先生の死に世界中のアフガニスタン人が泣いている
バシール・モハバット(駐日アフガニスタン大使)

〈韓国の思潮をめぐって〉
“親日残滓の清算”について
白楽晴(ソウル大学名誉教授)/訳=青柳純一

〈辺野古新基地の無理無体〉
○隠蔽される調査データ――このままでは護岸は崩壊する
北上田 毅(沖縄平和市民連絡会)
○辺野古新基地周辺の活断層と軟弱地盤
立石雅昭(新潟大学名誉教授)

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◇世界の潮
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◇マレーシア政権交代――マハティール後継問題を動かすマレー人の「不安」
伊賀 司

◇続発する世界規模の森林火災は何を意味するのか?
早坂洋史

◇東京高検検事長の定年延長問題が意味するもの――進行する「三権分立」の空洞化
川邊克朗

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◇SEKAI Review of Books
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☆韓国ニューライトの残響――李栄薫著『反日種族主義――日韓危機の根源』
和田春樹(東京大学名誉教授)

☆人類とパンデミック
水溜真由美(北海道大学)

☆戦争を「継ぐ」こと――大矢英代著『沖縄「戦争マラリア」』
森口 豁(フリージャーナリスト)

☆沖縄の山々で何が起きていたか――三上智恵著『証言 沖縄スパイ戦史』
山城博治(沖縄平和運動センター事務局長)

☆読書の要諦――ノンフィクション メディアの使命を考えるノンフィクション
青木 理(ジャーナリスト)

☆読書会という幸福【5】 読書会潜入ルポ (2)猫町倶楽部
向井和美(翻訳家、司書)

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●連載
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●〈短期連載ルポ〉
復興予算26兆円の行方(下)――国策プロジェクト「福島イノベ構想」
古川美穂(ジャーナリスト)

◇好評連載◇-----------------

●ルポ 保育園株式会社【第8回】
変動の中の社会福祉法人
小林美希(ジャーナリスト)

●プリズン・サークル【第5回】
被害を語る
坂上 香(ジャーナリスト、映画監督)

●花粉症と人類【第5講】
スギ花粉症になることができた日本人
小塩海平(東京農業大学)

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●メディア批評【第149回】
神保太郎(ジャーナリスト)

●但馬日記【第13回】
見えない敵と戦う
平田オリザ(劇作家)

●沖縄(シマ)という窓
「希望の海」としての辺野古、大浦湾
山城紀子(ジャーナリスト)

●いま、この惑星で起きていること【第5回】
生きものたちの変調
森さやか(気象予報士)

●すぐそこにある世界【第14回】
タシケント人情劇場 
師岡カリーマ・エルサムニー(文筆家)

●慰安婦がいた時代――新資料とともに改めてたどる【第8回・最終回】
主体 連綿と継承
佐藤 純(大阪経済法科大学 アジア太平洋研究センター)

●お許しいただければ
「芸術家の存在価値」(A・A・ミルン)
訳=行方昭夫(英文学者)

●ドキュメント激動の南北朝鮮【273】(20・2~3)
編集部

●原発月報――(20・2~3)
福島原発事故記録チーム

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○表紙写真=新型コロナウイルス感染地域へ祈るチベット自治区・ラサの僧侶。
二〇二〇年二月五日、新華社/共同通信イメージズ

○ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)

デザイン= 赤崎正一 + 佐野裕哉

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○読者投句・岩波俳句

選・文 池田澄子(俳人)

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*読者談話室

*アムネスティ通信

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◇編集後記
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