世界 2020年7月号

【特集1:転換点としてのコロナ危機】【特集2:共犯のマスメディア】

世界 2020年7月号
ジャンル 雑誌 > 世界 > 定期号
刊行日 2020/06/08
【特集】 転換点としてのコロナ危機

 これまで経験したことのない次元のデータが、日々伝えられる。
 全世界で15億人以上の子どもが学校に通えなくなった。
 アメリカでは4月だけで約2050万人が失業した。
 今年1月から9月の世界の航空旅客数は前年比で最大12億人減る見通しだ。
 日本では4月、海外からの観光客は99.9%減り、沖縄では記録の残る中では初めてゼロ人であった。
 4月の世界の石油消費量は一日あたり2000万バレル、すなわち31億8000万リットルも減少する見込みである。これは通常時の日本全体の消費量の5.2倍にあたる。

 巨大なインパクトが、経済、社会保障、医療、外交、教育、あらゆる領域を襲い、既存の対策メニューでは対応の難しい局面が続く。
 いめ求められることは、現在の動揺の性質をみきわめながら、進むべき方向を自らつかみ出すことではないか。
 コロナショックの中で新たな地平を見出すために、特集する。
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┃特集1┃転換点としてのコロナ危機
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〈人間と境界〉

オルガ・トカルチュク(作家)、訳=小椋彩(東洋大学)

〈変革へ〉
パンデミック後の未来を選択する――ウイルスの目線からの考察
山本太郎(長崎大学)

〈これからの統治〉
コロナ時代のデモクラシー
吉田 徹(北海道大学)

〈ウイルスと中東情勢〉
コロナを生きる中東――世界の「例外?」から考える、ウィズ・コロナを生き延びる術
酒井啓子(千葉大学)

〈危機における言葉の倫理〉
生の弱さの底に降りて行く――カミュ『ペスト』に寄せて
田中 純(東京大学)

〈当然の政策課題〉
食料自給という政治責任の再確認
鈴木宣弘(東京大学)

〈座談会〉
生活保障のさらなる徹底を――現場からの報告と提言
藤田孝典(NPO法人ほっとプラス)、今野晴貴(NPO法人POSSE)、渡辺寛人(NPO法人POSSE)、猪股 正(弁護士)、竹信三恵子(ジャーナリスト)、指宿昭一(弁護士)、大内裕和(中京大学)

〈緊急に実現を〉
生存する権利を保障するための政策提言 Ver.2
生存のためのコロナ対策ネットワーク

〈人間の未来へ〉
「危機の時代」と財政の使命――ポスト・コロナの「新しき時代」のために
神野直彦(日本社会事業大学学長)

〈科学コミュニケーションの不在〉
感染症対策「日本モデル」を検証する――その隠された恣意性
田中重人(東北大学)

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┃特集2┃共犯のマスメディア
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〈再確認すべき課題〉
デジタル・メディアとアナログ・ジャーナリズム
河原仁志(ジャーナリスト)

〈失われた距離感覚〉
危機に自ら陥るマスメディア――権力との共犯関係を自覚できるか
立岩陽一郎(ジャーナリスト)

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◆注目記事
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〈気候変動の難問〉
人類は原料革命から卒業できるのか?――温暖化問題あるいは産業革命観への一視角
小野塚知二(東京大学)

〈「改革」の結末〉
可視化された医療崩壊――なぜ、かくも脆く?
伊藤周平(鹿児島大学)

〈法治国家の危機〉
片山善博の「日本を診る」(128) 「緊急事態宣言」をめぐる法律のとんでもない読み間違い
片山善博(早稲田大学)

〈特別篇〉
ルポ 保育園株式会社――緊急事態がもたらした分断
小林美希(ジャーナリスト)

〈進化する韓国〉
○ 新たなる一〇〇年へ――コロナ、総選挙、光州民主化運動四〇年
李泳采(恵泉女学園大学)
○ 韓国はいま何を「清算」しようとしているのか?
金東椿(韓国・聖公会大学)、訳=佐相洋子
○ 韓国労働運動の新地平へ――キャンドル革命が甦らせたもの
金元重(元・千葉商科大学教授)

〈総括〉
カジノの話はもう終わりにしよう
鳥畑与一(静岡大学)

〈留学生ビジネスの内幕〉
手記 東京福祉大学留学生「失踪」事件――その内幕と構造 第1章 真の教育 我ら築かん?
元東京福祉大学教員有志

〈立ち止まって考えるべきこと〉
電磁波に満ちる教育――子どもたちの健康への影響は?
加藤やすこ(環境ジャーナリスト)

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◇世界の潮
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◇油価が低迷し、コロナ禍であがくサウジアラビア
保坂修司

◇ベネズエラ大統領誘拐未遂事件――コロナ禍の中の米国干渉
新藤通弘

◇入管の「新型ウイルス対策」――非常事態下も変わらない非道
織田朝日

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◇SEKAI Review of Books
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☆メディアの変容と民主主義
山田健太(専修大学)

☆読書の要諦――サイエンス 時間ですよ
植木不等式(サイエンスライター)

☆新刊
○貧困の現場から社会へ問う――稲葉剛著『閉ざされた扉をこじ開ける』
河添 誠(労働運動活動家)

☆〈連載〉読書会という幸福【第7回】
学校の読書会(2)
向井和美(翻訳家・司書)

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●連載
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--- 好評連載 --------------------

●プリズン・サークル【第7回】
性暴力の被害と加害をめぐる語り
坂上 香(ジャーナリスト、映画監督)

●移民奔流【第5回】
流浪を抜け出す
工藤律子(ジャーナリスト)

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●脳力のレッスン【219】
国家神道による天皇親政という呪縛
寺島実郎

●いま、この惑星で起きていること【第7回】
夏のはじめの異常気象
森さやか(気象予報士)

●メディア批評【第151回】
神保太郎(ジャーナリスト)

●但馬日記【第15回】
見えない敵と戦う(3)
平田オリザ(劇作家)

●すぐそこにある世界【第16回】
それでも笑えるということ
師岡カリーマ・エルサムニー(文筆家)

●沖縄(シマ)という窓
沖縄戦継承の場 コロナ禍が直撃
松元 剛(琉球新報)

●ドキュメント激動の南北朝鮮【275】(20・4~5)
編集部

●原発月報――(20・4~5)
福島原発事故記録チーム

●お許しいただければ
「髭剃りの教訓」(R.リンド)
訳=行方昭夫(英文学者)

●ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)

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○表紙写真
「社会的距離」のためのサークル内でくつろぐ市民。アメリカ・サンフランシスコ市。2020年5月20日。Justin Sullivan/Getty Images/共同通信イメージズ

デザイン= 赤崎正一 + 佐野裕哉

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○読者投句・岩波俳句

選・文 池田澄子(俳人)

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*読者談話室

*アムネスティ通信

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編集後記
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