パワー・シフト

新しい世界秩序に向かって

国家による古い地政学から、人々による新しい地政学への〈シフト〉をめぐる、スケールの大きな論考。

パワー・シフト
著者 リチャード・フォーク , 前田 幸男 , 千葉 眞 , 小林 誠 , 小松﨑 利明 , 清水 奈名子
ジャンル 書籍 > 単行本 > 政治・国防軍事
刊行日 2020/08/27
ISBN 9784000614184
Cコード 0031
体裁 A5 ・ 上製 ・ カバー ・ 342頁
定価 5,720円
在庫 在庫あり
気候変動、パンデミック、テロリストの脅威、核兵器などの地球規模の脅威に、既存の国家中心的な世界秩序は対応できていない。あるべき新しい世界秩序とは? そして、求められる新たな人間像とは? 国家による古い地政学から人々による新しい地政学への、人類の生存を賭けた〈シフト〉をめぐるスケールの大きな論考。
謝 辞
はじめに グローバリズムとグローバル化――テロリズムと国家テロ
日本語版への序文


第1章 新しい地政学に向けて

第2章 ポスト世俗の境界線
 予備的考察
 歓迎されないアイデンティティとしての「世俗主義」――アラブの春の余波
 イランにおける宗教と政治
 ポスト世俗的世界への移行とそのグローバルな次元

第3章 ドローンはなぜ核兵器より危険なのか
 国際法と世界秩序への脅威
 対立する論法――明暗配分の地政学
 「光の子」
 「闇の子」
 ドローンと世界秩序の未来
 ドローン戦争と国際法――消滅するリターン
 結論的考察

第4章 新しい立憲主義の輪郭
 出発点
 合法性と正統性の峻別
 国際法と「古い」立憲主義
 核兵器の管理と新しい立憲主義
 国際刑事責任
 ポスト9・11の対テロという挑戦
 帝国主義的な新しい立憲主義
 新自由主義的なグローバル化と新しい立憲主義
 結 論

第5章 グローバル・ガバナンスの諸地平
 実現可能性重視を批判する
 ハードパワーの誤信
 新自由主義の誤信
 必要性の地平の明確化
 絶望の地平の出現
 願望の地平の役割
 世界政治の地政学的な管理
 グローバル化する世界における新たな政策形成
 結論――今後の展望

第6章 グローバルな危機への対応
 惑星に共生する
 グローバルな想像を配置する――ポストモダンのパラダイム
 グローバルな危機への対応
 転換期の危険と機会
 結 論

第7章 グローバルな想像に向けて
 レミング・モーメント?――人類は集団自殺に向かうのか
 ギャップを説明する
 期待を修正する

第8章 調査を組み立てる――強い社会/弱い国家とは
 導入的視点
 概念の明確化
 グローバルな背景
 国際法、国連の権威
 近代性と発展
 時間と空間
 結 論

第9章 第一次世界大戦の分裂的遺産
 一世紀後のアイデンティティ政治
 第一次世界大戦から学べること
 結 論

第10章 グローバルな秩序を構成する四つの論理
 国家主義的論理
 地政学的論理
 コスモポリタンな論理
 市民社会の論理

第11章 ドローン時代の永遠戦争を論じる

第12章 政治的状況を変化させる――同時代の一人の個人として
 出発点
 市民と国家
 グローバル・シティズンシップ――現実ではなく願望
 切迫する物質的状況
 政治的共同体を再創造する
 市民巡礼者――大いなる移行の非暴力の戦士として

第13章 人類種は生き残りたいと思っているのか?
 惑星に対する脅威を想像する
 人間による大惨事を防ぐ
 国家主義の粘り強さ
 人類種は生き残ることを学べるのか?
 
注  
訳者あとがき  

索引(人名索引・事項索引)
リチャード・フォーク(Richard Falk)
1930年アメリカ生まれ。世界的に著名な国際法および国際政治の研究者。40年にわたりプリンストン大学で教鞭をとった後,2002年よりカリフォルニア大学サンタバーバラ校グローバル国際研究オーファリー・センター研究教授を務める。「世界秩序モデル・プロジェクト」(WOMP)創設時のメンバーの1 人。On Humane Governance: Toward a New Global Politics: The World Order Models Project Report of the Global Civilization Initiative(Cambridge, UK : Polity Press, 1995), Religion and Humane Global Governance(New York : Palgrave Macmillan,2001)のほか,著作は50冊以上。ブログ「21世紀におけるグローバルな正義」(https://richardfalk.wordpress.com/)で精力的に発信を続けている。



【訳者紹介】

前田幸男 [謝辞、はじめに、日本語版への序文、第1、10、11、13章、訳者あとがき]
1974年生まれ。創価大学法学部教授。政治学、国際関係論。
『世界政治を思想する』Ⅰ・Ⅱ(共編、国際書院、2010年)ほか。

千葉 眞 [第2、9章、訳者あとがき]
1949年生まれ。国際基督教大学名誉教授。政治思想史、政治理論。
チャールズ・テイラー『世俗の時代』上・下(監訳、名古屋大学出版会、2020年)ほか。

小林 誠 [第3、6章]
1960年生まれ。お茶の水女子大学大学院教授。国際政治学、国際関係学。
『「国際政治学」は終わったのか――日本からの応答』(共著、ナカニシヤ出版、2018年)ほか。

小松﨑利明 [第7、8、12章]
1974年生まれ。天理大学国際学部准教授。国際法、平和研究。
『EUの規範政治――グローバルヨーロッパの理想と現実』(共著、ナカニシヤ出版、2015年)ほか。

清水奈名子 [第4、5章]
1975年生まれ。宇都宮大学国際学部准教授。国際関係論、国際法。
『平和をめぐる14の論点――平和研究が問い続けること』(共著、法律文化社、2018年)ほか。
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