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こころと身体の心理学

金縛り、絶対音感、共感覚――第一線の科学者が豊富な事例に基づいて解説した、今を生きるための身体論。

こころと身体の心理学
著者 山口 真美
通し番号 923
ジャンル 書籍 > 岩波ジュニア新書 > 社会・倫理
刊行日 2020/09/18
ISBN 9784005009237
Cコード 0211
体裁 新書 ・ 234頁
在庫 在庫あり
SNSやバーチャルリアリティが普及し、身体の捉え方は多用化している。一方でリアルな痛みは自分の存在を実感させ、他者の痛みにも気づかせてくれる。金縛り、絶対音感、文字に色や形に味を感じる共感覚、全盲者がつくりあげる空間世界――様々な事例をもとに第一線の科学者が自身の病とも向き合って解説した、今を生きるための身体論。
まえがき


序 章 アンバランスな身体――金縛りはなぜおきる?
 金縛りを科学する/霊か心か? それとも脳の問題か?/体外離脱を科学する/脳があやつる身体/感覚を遮断する/癒やしか、修行か/夢と身体/身体に縛られる夢/夢研究の歴史/夢をあやつる、明晰夢/明晰夢を作りあげる脳/うつろう身体感覚/15歳は人生最悪のとき


第1章 人それぞれの身体感覚
 心理学を学ぶ洗礼、鏡映描写実験/逆さめがねの驚き/プリズムめがねで空間無視を治す/運動神経は何のためにある?/身体とつながる視覚、分離した視覚/運動神経が鈍い理由/自分の身体感覚を信じよう!/幻腕とサイボーグ/ないことから考えてみる/触覚で絵を描く、鑑賞する/視覚のない世界、触覚世界を体験する


第2章 魅力的なカラダとは?
 よいスタイルは時代による/やせ願望の複雑さ/社会から求められる顔身体、拒絶する身体/ボディイメージをめぐる対立/男と女のボディイメージ――違いはどこにある?/身長差で感じる自意識の違い/ボディイメージの発達と文化/ボディイメージは健康さが大切?


第3章 共感覚、絶対音感、そして「痛み」を感じる身体
 五感について/共感覚を体験する/絶対音感――感覚は学習しうるか?/感覚を代行する力/痛みは生きる証/痛みを感じる思春期の脳/痛みを知ること、共感すること/他人の痛みは身体で感じるか、頭で感じるか/失敗による痛みを経験する、アンバランスな思春期


第4章 拡張する身体と、身体感覚のコントロール
 通信技術の進歩と身体距離/距離と親しさのねじれ現象/SNSは身体拡張か?――バーチャルリアリティ・チャットへ/そうだ、身体なのだ/身体感覚をコントロールする/過去と未来に縛られる自分/感情と感覚を切り分ける、感情におぼれない/動かずして身体感覚と闘う/瞑想と身体技法/「笑うから楽しいのだ」


終 章 少し長いあとがき――こころと身体から、自分を知る
 身体を持つ苦しみ、痛みについて/痛みと不安・恐怖について/テレパシーではなくリアルな痛みで/ふつうとは何か?


ほんとうの、あとがき

参考文献
山口真美(やまぐち まさみ)
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科人間発達学専攻修了後、ATR人間情報通信研究所・福島大学生涯学習教育研究センターを経て、中央大学文学部心理学研究室教授。博士(人文科学)。日本赤ちゃん学会副理事長、日本顔学会、日本心理学会理事。著書に、『赤ちゃんの視覚と心の発達』(共著、東京大学出版会)、『自分の顔が好きですか?――「顔」の心理学』(岩波ジュニア新書)、『発達障害の素顔――脳の発達と視覚形成からのアプローチ』(講談社ブルーバックス)など。
新学術領域「トランスカルチャー状況下における顔身体学の構築――多文化をつなぐ顔と身体表現」のリーダーとして、縄文土器、古代ギリシャやローマの絵画や彫像、日本の中世の絵巻物などに描かれた顔や身体、しぐさについて、当時の人々の身体に対する考えを想像しながら学んでいるところ。本書執筆中のコロナ下、ディスタンシングを取る日本ならではの初対面の挨拶の「お辞儀」のあり方やマスクの扱われ方についても考え中。

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