ダムナティオ・メモリアエ つくり変えられたローマ皇帝の記憶

ローマ帝国における「悪帝」への記憶抹消行為を文献史料と碑文や彫像に残された攻撃の痕跡を元に論じる

ダムナティオ・メモリアエ つくり変えられたローマ皇帝の記憶
著者 福山 佑子
ジャンル 書籍 > 単行本 > 歴史
刊行日 2020/10/27
ISBN 9784000614283
Cコード 3022
体裁 A5 ・ 上製 ・ カバー ・ 248頁
定価 11,000円
在庫 在庫あり
ローマ帝国では「悪帝」とみなされた皇帝にまつわる記録や彫刻の削除・改変が、広く行われていた。ダムナティオ・メモリアエと呼ばれるそうした記憶抹消行為は、なぜ、どのようにして行われたのか。文献史料の記述と碑文や彫像等に残された攻撃の痕跡を元に綿密に論じる。現代にも示唆を与える、記憶をめぐる古代史。
序 論
 1 ローマ皇帝とダムナティオ・メモリアエ
 2 研究史
  「ダムナティオ・メモリアエ」の誕生/ダムナティオ・メモリアエ研究の現在
 3 文献史料に残された「悪帝」の記憶
 4 ダムナティオ・メモリアエの形成
 5 議論の射程

第一章 カリグラの記憶と記録
 はじめに
 1 カリグラ暗殺とメモリアをめぐる議論
 2 帝政初期のメモリアへの攻撃
 3 カリグラの記録とその処遇
 4 クラウディウスとカリグラのメモリア
 おわりに

第二章 「国家の敵」ネロとメモリアへの攻撃
 はじめに
 1 ネロの死と「国家の敵」決議
 2 ネロの記録とその処遇
  首都ローマの碑文/首都ローマ以外のラテン語碑文/ギリシア語碑文/街道関連碑文
 3 六九年の皇帝たちとネロのメモリア
 おわりに

第三章 ドミティアヌスと「悪帝」のメモリア
 はじめに
 1 ドミティアヌスの断罪とメモリアへの攻撃
 2 ドミティアヌス暗殺とその背景
 3 小プリニウスと「悪帝」のメモリア
 4 ドミティアヌスの記録とその処遇
 5 「悪帝」のメモリアをめぐって
 おわりに

第四章 コンモドゥスと翻弄される皇帝のメモリア
 はじめに
 1 コンモドゥス暗殺と元老院
 2 コンモドゥスのメモリアへの攻撃
 3 元老院決議と「悪帝」のメモリア
 4 神格化の興隆
 5 コンモドゥスの神格化と名誉回復
 おわりに

第五章 セウェルス朝期のメモリアへの攻撃とその変容
 はじめに
 1 メモリアへの攻撃の変容とゲタの断罪
 2 セウェルス朝期のメモリアへの攻撃
 3 カッシウス・ディオと「悪帝」のメモリア
 4 ヘロディアヌスと「悪帝」のメモリア
 5 三世紀初めの記念物とメモリア
 おわりに

結 論
あとがき


参考文献一覧
索 引
福山佑子(ふくやま ゆうこ)
1983年、岡山生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学大学院文学研究科博士後期課程にて博士(文学)を取得。日本学術振興会特別研究員PDを経て、現在、早稲田大学国際教養学部講師。
共著書に『論点・西洋史学』(ミネルヴァ書房)、『スペインの歴史を知るための50章』(明石書店)、『ヨーロッパ・「共生」の政治文化史』(成文堂)などがある。
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