物語の近代
王朝から帝国へ
物語を形作り、導き、感動を呼ぶもの。それは向こうからやってくるものに、言葉以前のものの存在に、耳を傾けること。
「もの」のざわめきに声(ことば)をあたえる発話行為が、ものがたり(物語)である。『源氏物語』や『平家物語』に始まり、能、浄瑠璃、歌舞伎を生みだし、さらに江戸の戯作小説をつくりだした物語の言語空間は、日本の「近代」とどのように出会ったのか。幅広い射程で文学を捉え続けてきた著者が磨き上げた物語論の決定版。
■編集部からのメッセージ
「もの」のざわめき、語りのことば
物語の言語空間は近代とどのように出会ったのか。人文諸学の知見とともに日本の古典文学から近代文学へと漕ぎ出す本書は、従来の文学批評と研究の常識を軽やかに越えていく。著者が築き上げてきた物語論の到達点を示す。
■編集部からのメッセージ
「もの」のざわめき、語りのことば
物語の言語空間は近代とどのように出会ったのか。人文諸学の知見とともに日本の古典文学から近代文学へと漕ぎ出す本書は、従来の文学批評と研究の常識を軽やかに越えていく。著者が築き上げてきた物語論の到達点を示す。
はじめに――ものがたりとは何か
Ⅰ 主体/自我という病
ラフカディオ・ハーンと近代の「自我」
王朝の物語から近代小説へ――語りの主体から「自我」へ
Ⅱ 近代小説と物語
泉鏡花の「近代」
泉鏡花、魂のゆくえの物語
北村透谷と他界、異界
Ⅲ 物語の声と身体
声と知の往還――フォーミュラ
踊る身体、劇的なるもの
オーラル・ナラティブの近代
Ⅳ 物語/テクスト/歴史
ものがたりの書誌学/文献学
物語テクストの政治学
歴史語りの近代
歴史学と「物語」史観について
おわりに――ものがたり(物語)論のゆくえ
付 記
索 引
Ⅰ 主体/自我という病
ラフカディオ・ハーンと近代の「自我」
王朝の物語から近代小説へ――語りの主体から「自我」へ
Ⅱ 近代小説と物語
泉鏡花の「近代」
泉鏡花、魂のゆくえの物語
北村透谷と他界、異界
Ⅲ 物語の声と身体
声と知の往還――フォーミュラ
踊る身体、劇的なるもの
オーラル・ナラティブの近代
Ⅳ 物語/テクスト/歴史
ものがたりの書誌学/文献学
物語テクストの政治学
歴史語りの近代
歴史学と「物語」史観について
おわりに――ものがたり(物語)論のゆくえ
付 記
索 引
兵藤裕己(ひょうどう ひろみ)
1950年生まれ。専門は、日本文学・芸能論。埼玉大学、成城大学を経て、学習院大学教授。文学博士(東京大学)。著書に、『語り物序説』(有精堂)、『王権と物語』(岩波現代文庫)、『演じられた近代』(岩波書店)、『太平記〈よみ〉の可能性』(サントリー学芸賞、講談社学術文庫)、『声の国民国家』(やまなし文学賞、同)、『琵琶法師』(岩波新書)、『後醍醐天皇』(同)、『平家物語の読み方』(ちくま学芸文庫)ほか。校注に、『太平記』全六冊(岩波文庫)がある。
1950年生まれ。専門は、日本文学・芸能論。埼玉大学、成城大学を経て、学習院大学教授。文学博士(東京大学)。著書に、『語り物序説』(有精堂)、『王権と物語』(岩波現代文庫)、『演じられた近代』(岩波書店)、『太平記〈よみ〉の可能性』(サントリー学芸賞、講談社学術文庫)、『声の国民国家』(やまなし文学賞、同)、『琵琶法師』(岩波新書)、『後醍醐天皇』(同)、『平家物語の読み方』(ちくま学芸文庫)ほか。校注に、『太平記』全六冊(岩波文庫)がある。