世界 2020年11月号

【特集:新政権の構造と本質】

世界 2020年11月号
ジャンル 雑誌 > 世界 > 定期号
刊行日 2020/10/08
■特集 新政権の構造と本質

 いったい、この「7年8カ月」とは何だったのか。
 鳴り物入りで展開された外交でも結果は出せず、行政私物化をめぐる多くの疑惑と拙劣なパンデミック対応によって批判を浴びる中、再び突然の辞任表明によって、安倍政権は終わった。
 終盤は、ただ「最長」というレコードだけを追求する如く、野党の求める国会も開会せずに引きこもる「政治空白」が続いた。その末のあっけない終焉であった。
 だが、なぜこの政権は、ここまで長く存在し得たのか。
 その後継を標榜する新政権が誕生した今こそ、追究されなければいけない。
跳ね上がった支持率のもと、解散総選挙の風も吹きつつある。
この新政権の性格と性質、そして構造を見極めることは、劣化の進むこの国の立憲主義・平和主義、そして民主主義の再建を考えるうえで、喫緊の課題である。
 あるべきオルタナティブの方向性も含めて、緊急に特集する。
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┃特 集┃新政権の構造と本質
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〈岩盤の実像〉
誰が安倍政権を支えてきたのか――「新自由主義右翼」の正体
橋本健二(早稲田大学)

〈再建への課題〉
選別、分断、そして統制――メディアをどう立て直すか?
青木理(ジャーナリスト)

〈「一強」はなぜ生まれたか〉
政財界関係の三〇年史――新自由主義改革をめぐる攻防
菊池信輝(都留文科大学)

〈女性が社会を変えつつある〉
「女性活躍」から見る第二次安倍政権――看板倒れの先に
三浦まり(上智大学)

〈オール沖縄は忘れない〉
無関心と非情――沖縄にとっての安倍・菅政権
島 洋子(琉球新報)

〈したたかな独立へ〉
米中の狭間における日本の採るべき進路は――Don’t make us choose との連帯
猿田佐世(新外交イニシアティブ)

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◆注目記事
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〈新たな展開へ〉
ジェネレーション・レフト宣言
斎藤幸平(大阪市立大学)

〈ミュニシパリズム事始め〉
地域自治で、グローバル資本主義を包囲する
岸本聡子(トランスナショナル研究所)

〈国際法の視点から〉
「敵基地攻撃論」の落とし穴
松井芳郎(名古屋大学名誉教授)

〈激変する情勢のもとで〉
核軍縮交渉の停滞と再出発
黒澤満(大阪大学・大阪女学院大学名誉教授)

〈「唯一の解決」は見直しを〉
普天間問題の解決はすぐにも可能だ――リアリズムにもとづく安全保障の選択
屋良朝博(衆議院議員)

〈独裁の断末魔〉
ベラルーシ 抵抗の日々
サーシャ・フィリペンコ(作家)、訳・構成=奈倉有里

〈バイデンの正体〉
揺れ動くアメリカの中道――ブラック・ライヴズ・マター時代の民主党
藤永康政(日本女子大学)

〈虚像と実像〉
台湾群像(下)――戴国〓(キ)と李登輝
高橋政陽(ジャーナリスト)

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◇世界の潮
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◇モーリシャス重油流出事故――責任の所在をどう考えるか
村上正子

◇二〇二〇年タイ反政府デモ――沸き起こる君主制改革要求
玉田芳史

◇東海第二原発と県民投票――潰された条例、残る希望
徳田太郎

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◇SEKAI Review of Books
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☆「語り」から「対話」へ――「1945ひろしまタイムライン」問題が問いかけるもの
小川幸司(長野県蘇南高等学校)

☆〈新刊〉
BLMの想像力――ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー著『フライデー・ブラック』
坂下史子(立命館大学)

☆〈連載〉読書会という幸福【第11回】
読書会の効用
向井和美(翻訳家・司書)

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◆早逝を悼む
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そこで開かれた諸可能性は、二度と閉じられることはない
――追悼デヴィッド・グレーバー
酒井隆史(大阪府立大学)

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●連載
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----〈連載最終回〉----------

●手記 東京福祉大学留学生「失踪」事件
第3章 さまよう大学経営
元東京福祉大学教員有志

●金正恩の選択【第3回】
陸から海へ――核は日本を狙うのか
井上智太郎(共同通信)

●ポストコロナの大学論【第4回】
大学の第二の死が見えてきた
吉見俊哉(東京大学)

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●〔特別編〕脳力のレッスン【223】
国道一六号線という視界――ポスト・コロナの日本社会(下)
寺島実郎

----〈好評連載〉----------

●分水嶺――ドキュメント コロナ対策専門家会議【第2回】
クラスター対策と「情報の壁」
河合香織(ノンフィクションライター)

●コロナ戦記【第2回】
保健所と首長たちの苦闘
山岡淳一郎(ノンフィクション作家)

●プリズン・サークル【第11回】
被害者・加害者ロールプレイ
坂上 香(ジャーナリスト、映画監督)

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●メディア批評【第155回】
神保太郎(ジャーナリスト)

●片山善博の「日本を診る」【132】
菅政権が標榜する「改革」の真贋を見抜く
片山善博(早稲田大学)

●いま、この惑星で起きていること【第11回】
最も暑かった夏─続発する山林火災
森さやか(気象予報士)

●ソウルの夢【第3回】
光化門─大衆の時代
金成〓(キムソンミン)(北海道大学)

●お許しいただければ──「ささいなことを弁護して」(R.リンド)
訳=行方昭夫(英文学者)

●但馬日記【第19回】
たじまの夏(2)──おトクで楽しい演劇フェス
平田オリザ(劇作家)

●すぐそこにある世界【第20回】
クイーンのおでまし
師岡カリーマ・エルサムニー

●沖縄(シマ)という窓
米軍基地と感染症
山城紀子(ジャーナリスト)

●原発月報――(20・8~9)
福島原発事故記録チーム

●ドキュメント激動の南北朝鮮【279】(20・8~9)
編集部

●ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)

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○読者投句・岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)

○アムネスティ通信

○読者談話室

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○表紙写真
二〇一九年九月一五日、英、チチェスター。今年は開催中止された旧車のフェスティバル。提供:ゲッティ/共同通信イメージズ

○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉

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編集後記
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