広島平和記念資料館は問いかける

「あの日」きのこ雲の下にいた人々の生きた証を守り伝え続ける「記憶の博物館」。その模索の軌跡と課題。

広島平和記念資料館は問いかける
著者 志賀 賢治
通し番号 新赤版 1861
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 社会
刊行日 2020/12/18
ISBN 9784004318613
Cコード 0236
体裁 新書 ・ 266頁
定価 946円
在庫 在庫あり
2019年に開館以来最大規模のリニューアルを行なった原爆資料館。世界中から訪れる人々は、そこに何を見て、どう感じているのか。原爆投下直後から一人被爆資料の収集を重ねた初代館長の信念は、どのように引き継がれてきたのか。被爆者の一層の高齢化が進む中で、「あの日」を記録し伝え続ける「記憶の博物館」の軌跡と課題。
はじめに
原爆被災図

序 章 いくつかの出会い
 被爆再現人形の問いかけ/続く報道と戸惑い/いくつかの出会い

第一章 広島平和記念資料館へ
 広島平和記念資料館と原爆資料館/資料館の位置/路面電車/【コースその1】原爆ドーム経由/【コースその2】平和大通り、平和大橋経由/資料館に入館/資料館内の施設/情報資料室/シュモーハウス

第二章 全面更新した展示
 最大規模の第三次展示更新/動線/導入展示/八月六日のヒロシマ/破壊された街/救援・救護活動/放射線による被害/無言の問いかけ/絵筆に込めて/故郷を離れた地で/生き残ったものの/消えぬ想い/ギャラリー/焼け跡に立つ少女/情報の東館/核兵器の危険性/原子爆弾の開発と投下/原子爆弾の脅威/戦前の広島/企画展

第三章 被爆資料、遺品の声――資料館の誕生
 原点は長岡省吾/長岡邸に伺う/廃墟に佇つ/収集/原爆参考資料陳列室/原爆資料保存会/山崎与三郎/原爆記念館/開館後の資料館運営/被爆資料の展示/施設の整備/保存・管理体制の整備/遺品の受け入れ/資料の劣化、全館一斉清掃

第四章 資料館の歩み、ヒロシマの歴史
 平和記念都市建設法/平和記念公園及び「平和記念施設」の設計競技/廃墟のなかから立ち上がる/平和記念資料館の開館/原子力平和利用博覧会/広島復興大博覧会/原爆資料館はどこへ行く/資料館の性格づくり/平和記念施設整備改善計画の策定/入館料の値上げ/第一次大規模展示更新/米国から返還された資料/第二次大規模展示更新/東館の新築・開館/スミソニアン協会・国立航空宇宙博物館での特別展/アメリカン大学での原爆展開催/「平和の拠点」リストラの波/新たな資料館を目指して

第五章 何を、どう伝えるか――展示の変遷
 展示の移り変わり/開館当初の展示/「人影の石」を保存する/爆心直下の街並みの復元/蠟人形論争/その後の蠟人形論争/第一次大規模展示更新/人形論争再び/第二次大規模展示更新――劇場化された展示/東館の開館/「放射線による被害」展示の充実/「投下理由」の展示拡充

終 章 「被爆者不在のヒロシマ」を前に
 資料館への期待/新しい展示の評価/分かり易い展示/感じる力、想像する力/フォーラムとしてのミュージアム/海外での原爆展/内外の博物館との連携/国際博物館会議/被爆資料と資料館/死者の記憶を預かる/被爆資料を展示するということ/もう一人の詩人

あとがき

図表出典一覧
主要参考文献一覧
関連年表
志賀賢治(しが けんじ)
広島平和記念資料館前館長・広島大学原爆放射線医科学研究所客員教授。
1952年広島県広島市生まれ。
1978年名古屋大学法学部卒業。同年、広島市役所に就職。
2013年広島市役所退職。同年4月、広島平和記念資料館館長に就任(~19年3月)。2020年4月より現職。
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