グローバル・ヒストリー

批判的歴史叙述のために

グローバリゼーションがもたらす様々な問題に向き合い、乗り越えるための実践としての可能性を描きだす。

グローバル・ヒストリー
著者 ゼバスティアン・コンラート , 小田原 琳
ジャンル 書籍 > 単行本 > 歴史
刊行日 2021/01/27
ISBN 9784000226448
Cコード 0022
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 302頁
定価 3,190円
在庫 在庫あり
グローバリゼーションが進む世界の中で、私たちはどのように歴史を語るべきだろうか。「地球規模の相互作用や交換の歴史」というグローバル・ヒストリーについての単純化された理解を排しつつ、グローバリゼーションがもたらす様々な問題や弊害に向き合い、乗り越えるための方法論、実践としての可能性を描きだす。
第1章 イントロダクション
 なぜグローバル・ヒストリーか? 内在主義とヨーロッパ中心主義を超えて
 三種類のグローバル・ヒストリー
 プロセスと視点
 約束と限界

第2章 「グローバル思考」小史
 人類世界の歴史叙述
 世界史的タブロー、一六~一八世紀
 西洋の覇権の時代の世界史
 一九四五年以後の世界史

第3章 競合するアプローチ
 比較史
 トランスナショナル・ヒストリー
 世界システム論
 ポストコロニアル・スタディーズ
 複数の近代

第4章 アプローチとしてのグローバル・ヒストリー
 グローバル・ヒストリーの諸特徴
 統合と構造化された変容
 接続を超えて――競合するナラティブ
 事例研究――グローバル・ヒストリーにおけるネイションとナショナリズム

第5章 グローバル・ヒストリーと統合の諸形態
 グローバリゼーションの歴史
 グローバリゼーションを超えて
 統合とは? 構造とは?
 重なり合う構造による統合
 いつ、グローバルであったのか?

第6章 グローバル・ヒストリーにおける空間
 トランスナショナルな空間――大洋
 オルタナティブな空間性の探究
 ネットワーク
 グローバルなもののミクロストーリア
 グローバル・ヒストリーの構成単位
 移動する尺度

第7章 グローバル・ヒストリーにおける時間
 大きく深い歴史
 時間と「時層」
 共時性
 尺度、行為主体性、責任

第8章 ポジショナリティと中心化アプローチ
 ヨーロッパ中心主義
 ポジショナリティ
 さまざまな中心主義の増殖と文明の回帰
 文化と中心主義の議論を超えて

第9章 世界制作とグローバル・ヒストリーの諸概念
 歴史家と世界の制作
 ことばで世界を制作する方法
 先住民の認識論?
 言説を超えて

第10章 誰のためのグローバル・ヒストリーか?――グローバル・ヒストリーの政治学
 誰のためのグローバル・ヒストリーか?
 グローバリゼーションのイデオロギーとしてのグローバル・ヒストリー?
 誰が世界を書くのか? 知のヒエラルキー
 地政学と言語
 「グローバル」の限界
 「グローバル」は何を隠蔽するのか?

謝 辞

[解説] 誰のために歴史を書くのか(小田原 琳)


索 引
ゼバスティアン・コンラート(Sebastian Conrad)
1966年ハイデルベルク生まれ。パリ社会科学高等研究院等を経て、現在ベルリン自由大学歴史・文化学部教授。ドイツ植民地主義史、日本近現代史、グローバル・ヒストリー研究。
Globalgeschichte : Eine Einführung(C.H. Beck, 2013), German Colonialism : A Short History(Cambridge University Press, 2012), Globalisation and the Nation in Imperial Germany (Cambridge University Press, 2010), The Questfor the Lost Nation : Writing History in Germany and Japan in the American Century (University of California Press, 2010)など。

小田原琳(おだわら りん)
1972年生まれ。東京外国語大学大学院地域文化研究科修了。学術博士。現在、東京外国語大学大学院総合国際学研究院准教授。イタリア近現代史、ジェンダー・スタディーズ。
『イタリア国民国家の形成』(共著、日本経済評論社、2010年)、「「平和の犯罪」としての戦時・植民地主義ジェンダー暴力」(『ジェンダー史学』12号、2016年)、「〈境界〉を創り出す力――南イタリアから立てる近代への問い」(東京歴史科学研究会編『歴史を学ぶ人々のために』岩波書店、2017年)など。
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