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チャリティの帝国

もうひとつのイギリス近現代史

長い歴史のなかで、「助けることは善い」という人びとの感情がイギリス社会にもたらした個性を探る。

チャリティの帝国
著者 金澤 周作
通し番号 新赤版 1880
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 世界史
刊行日 2021/05/20
ISBN 9784004318804
Cコード 0222
体裁 新書 ・ 280頁
在庫 在庫あり
イギリス独自の重層的なセーフティネットの中で、社会の「錨」のように今日まで働き続けてきたチャリティ。自由主義の時代から、帝国主義と二度の大戦をへて、現代へ。「弱者を助けることは善い」という人びとの感情の発露と、それが長い歴史のなかでイギリスにもたらした個性を、様々な実践のなかに探る。
はじめに――日本から見たイギリスのチャリティ


第一章 世界史における他者救済――イギリスの個性を問い直す
 一 文明と他者救済
 二 自己愛から貧者への愛へ
 三 キリスト教と慈善
 四 新興プロテスタント国に変容するイギリス――貧困・チャリティ・公的救貧


第二章 近現代チャリティの構造――歴史的に考えるための見取り図
 一 イギリス近現代史のなかの変数と定数
 二 自助のイデオロギー、互助の共同体
 三 チャリティ
 四 公的な制度
 五 福祉の複合体の働き


第三章 自由主義社会の明暗――長い一八世紀からヴィクトリア時代へ
 一 市民社会の台頭と、有用な弱者の救済
 二 無用な弱者への処遇
 三 エンターテイメントとしての救済


第四章 慈悲深き帝国――帝国主義と国際主義
 一 海外進出の時代――「慈悲深き」強国
 二 帝国とチャリティ
 三 どういう金でチャリティをするのか
 四 国際人道支援の起源


第五章 戦争と福祉のヤヌス――二〇世紀から現在へ
 一 戦争国家と福祉国家
 二 総力戦とチャリティ――善意の動員と動員解除
 三 福祉国家の時代のチャリティ
 四 ポスト福祉国家へ


おわりに――グローバル化のなかのチャリティ


あとがき
図表出典一覧
参考文献
索引
金澤周作(かなざわ しゅうさく)
1972年生まれ
現在─京都大学大学院文学研究科教授
専攻─近代イギリス史
著書─『チャリティとイギリス近代』(京都大学学術出版会)、『論点・西洋史学』(監修、ミネルヴァ書房)、『海のイギリス史──闘争と共生の世界史』(編著、昭和堂)、『英国福祉ボランタリズムの起源──資本・コミュニティ・国家』(共編著、ミネルヴァ書房)、『人文学への接近法──西洋史を学ぶ』(同、京都大学学術出版会)、『海のリテラシー──北大西洋海域の「海民」の世界史』(同、創元社)、『イギリス史研究入門』(共著、山川出版社)ほか

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