壁を壊すケア

「気にかけあう街」をつくる

ケアは福祉の専売特許ならず。街で奮闘する実践家=「創造的壊し屋」たちの、はげしくも心温まる九つの物語。

壁を壊すケア
著者 井手 英策
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
刊行日 2021/10/05
ISBN 9784000614924
Cコード 0036
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 284頁
定価 2,090円
在庫 在庫あり
ケアは福祉の専売特許じゃない。気にかけ、そばにいる。当たり前に「ケアしあえる街」を取り戻そうと、地域に根を張り、人と人とをつないだ「創造的壊し屋」たちがいた! 常識に敢然と立ち向かった九人の実践家、奮闘の記録。執筆=石井正宏、加藤忠相、櫻井みぎわ、武井瑞枝、名里晴美、馬場拓也、原美紀、藤田ほのみ、三浦知人。
序 章 「気にかける」から始まる物語――言葉をほどき、現実をつむぎなおす……………井手英策(本書編者)

第1章 RE:care19――プラットフォーム化する地域密着型介護へ……………加藤忠相(株式会社あおいけあ代表取締役)
第2章 社会が若者を失うまえに――校内居場所カフェの実践から……………石井正宏(NPO法人パノラマ理事長)
第3章 この社会の片隅に――弁護士の仕事から見えてきたこと……………櫻井みぎわ(弁護士)
第4章 福祉行政における職員体制の機能とあり方――ソーシャルワークを実践するために……………武井瑞枝(東京都多摩児童相談所児童福祉司)
第5章 重い障害のある人が生きる街――贈り合い、受けとり合う……………名里晴美(社会福祉法人訪問の家理事長)
第6章 子育てスタート期の「ちょっと助けて」に手が出せる人を増やすケアの実践……………原 美紀(認定NPO法人びーのびーの事務局長)
第7章 一周遅れのトップランナー――「さくらもと共生のまちづくり」の四〇年……………三浦知人(社会福祉法人青丘社理事長)
第8章 お互いさまの支えあいで心豊かに暮らせる地域社会を作る――生活クラブ生協の実践……………藤田ほのみ(生活クラブ生活協同組合・神奈川前理事長)
第9章 壁と共に去りぬ――リアルとの同期に必要なこと……………馬場拓也(社会福祉法人愛川舜寿会常務理事)

終 章 壁を壊すケア――ソーシャルワークを地域にひらく……………井手英策
【編者】
井手英策(いで えいさく)
1972年福岡県久留米市生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程を単位取得退学し、日本銀行金融研究所に勤務。東北学院大学、横浜国立大学を経て、慶應義塾大学経済学部教授。専攻は財政社会学。著書に『幸福の増税論』(岩波新書)、『ソーシャルワーカー――「身近」を革命する人たち』(共著、ちくま新書)、『どうせ社会は変えられないなんてだれが言った?――ベーシックサービスという革命』(小学館)など。趣味は友と飲み、語らうこと。


【執筆者】(掲載順)
加藤忠相(かとう・ただすけ)
1974年神奈川県藤沢市生まれ。株式会社あおいけあ代表取締役。大学卒業後に横浜の特別養護老人ホームに就職、介護現場の現実にショックを受け3年後に退職。2001年に株式会社あおいけあを設立。地域を巻き込んだ独自のケア事業は多数のメディアで紹介され、2019年に高齢者ケア分野で「Ageing Asia Global Ageing Influencer」に選出された。趣味は吹奏楽団でのSAX演奏、渓流釣り、ガンプラつくり。

石井正宏(いしい・まさひろ)
1969年生まれ。東京都出身。NPO法人パノラマ理事長。ひきこもりの若者を支援する東京都のNPO法人で10年間支援を経験後、課題集中校や教育困難校と呼ばれる高校での中退や進路未決を予防的に支援するため「すべての人をフレームイン!」をミッション・ボイスに、NPO法人パノラマを設立。

櫻井みぎわ(さくらい・みぎわ)
弁護士。神奈川県弁護士会所属。

武井瑞枝(たけい・みずえ)
1981年群馬県生まれ。東京都多摩児童相談所児童福祉司。博士(政策科学・同志社大学)。社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士・保育士資格のほか、教員免許(幼・小・中・高)等を所有。大学卒業後、一般企業勤務ののち、日本女子大学大学院人間社会研究科社会福祉学専攻博士課程前期修了。その後、市役所職員として生活保護のケースワーカーをしながら福祉行政を学ぶため同志社大学大学院総合政策科学研究科総合政策科学専攻博士課程(後期課程)に通う。大学院在学中に3人の子どもを出産し、公務員と子育てを続けながら2021年3月に博士課程(後期課程)を修了。趣味は水泳とピアノ。2020年より現職。

名里晴美(なり・はるみ)
1961年埼玉県川口市生まれ。社会福祉法人訪問の家理事長。大学卒業後、障害者地域作業所「朋」に入職。社会福祉法人となった訪問の家・「朋」の支援スタッフ、施設長を経て、社会福祉法人十愛療育会横浜療育医療センターに6年間勤務(地域サービス課長、生活援助部長)、2010年より古巣へ戻り、現職。

原 美紀(はら・みき)
1967年横浜生まれ横浜育ち。認定NPO法人びーのびーの事務局長、港北区地域子育て支援拠点どろっぷ施設長。社会福祉士。子育て中に地域情報を尋ねて役所に行ったところ親子が地域で日常的に集う居場所がないことを知り、NPO法人を立ち上げ、2000年に地域子育て支援拠点どろっぷの前身「おやこの広場びーのびーの」を開設、現在に至る。子育ち・子育て分野から多様なテーマとMIXしながら自分らしさを追求できるネットワーク組織、一般社団法人「ラシク045」を2020年10月に設立、代表理事を務める。

三浦知人(みうら・ともひと)
1954年生まれ。社会福祉法人青丘社理事長。川崎南部在日コリアン集住地域で、当事者を中心とした民族差別をなくす地域活動に学生時代より参加。学校や行政機関、周辺施設や町内会、商店街と連携して、「共生のまち」づくりを掲げ、模索中。

藤田ほのみ(ふじた・ほのみ)
1962年神奈川県厚木市生まれ。生活クラブ生活協同組合・神奈川前理事長。友人に誘われて1993年に生活クラブ生協に加入。生活クラブ生協の食や環境問題などの社会の課題解決を自分たちの参加と協働の力でより良くしていこうとする取り組みに共感し、組合員活動を続けている。

馬場拓也(ばば・たくや)
1976年神奈川県愛川町生まれ。社会福祉法人愛川舜寿会常務理事。大学卒業後、外資系アパレル企業を経て2010年に上記法人の2代目経営者に転身。特別養護老人ホーム「ミノワホーム」の庭を地域に開放。「カミヤト凸凹保育園+plus」などを展開。日本社会事業大学専門職大学院福祉マネジメント研究科修了。

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