世界 2022年1月号

【特集1】ケア ―― 人を支え、社会を変える 【特集2】気候危機と民主主義――COP 26 からの出発

世界 2022年1月号
ジャンル 雑誌 > 世界 > 定期号
刊行日 2021/12/08
体裁 296頁

【特集】ケアーー人を支え、社会を変える

 いたわる。気にかける。かかわる。ねぎらう。おもいやる。
 手当てする。気づかう。話しかける。たすける。世話をやく。
 そうした私たちの営みを、ここでは一言で、「ケア」と呼ぶことにする。

 ケアを必要としない人間など、存在しない。
 にもかかわらず、私たちの政治はケアを重視せず、ケアを必要とする場合はなるべく民間の営利サービスか、女性が主に担う無償労働に委ねようとしてきた。新自由主義と家父長制、自己責任論が、それを加速させてきた。

 だが、パンデミックを経て、ケアの必要性と重要性が可視化されつつある。
 誰もが個として尊重されるケアに満ちた社会、それは実現をめざす価値のある社会の姿ではないだろうか?
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┃特集1┃ケアーー人を支え、社会を変える
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〈総論〉
ケア/ジェンダー/民主主義
岡野八代(同志社大学)

〈子どもたちの目線から〉
ケアから社会を組み立てる
村上靖彦(大阪大学)

〈戦略特区の欺瞞〉
グローバルなケアの《分断》――移住女性の犠牲と先進国共働き家庭
定松 文(恵泉女学園大学)

〈パンデミックとケア〉
保育問題を無視してきた政治家たち
エミリー・ぺック(ジャーナリスト)、訳=加藤しをり

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┃特集2┃気候危機と民主主義――COP26からの出発
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〈失敗か、前進か〉
世界は1.5℃目標をめざす
高村ゆかり(東京大学)

〈報告〉
COP26はどこまで到達したか?
小西雅子(WWFジャパン)

〈気候市民会議〉
気候民主主義へ――地域発・若者発の転換
三上直之(北海道大学)

〈逸脱の検証〉
原発は気候変動対策に使えるか?
松久保 肇(原子力資料情報室)

〈変革へ〉
複合危機とエネルギーの未来
飯田哲也(環境エネルギー政策研究所)

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◆注目記事
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〈恐るべき現実〉
スマホ位置情報の「一網打尽」捜査――「ジオフェンス令状」の正体
指宿 信(成城大学)

〈社会の課題〉
脆くない社会へ――優生思想との訣別と障害者の権利
藤井克徳(日本障害者協議会)

〈座談会〉
危急のメディアーー何が問題か、どう変えるか
田島泰彦(元上智大学教授)、工藤信一(信濃毎日新聞)、浮田 哲(羽衣国際大学)

〈脳力のレッスン・特別篇〉
「新しい資本主義」への視界を拓く――日本経済・産業再生への筋道(下の2)
寺島実郎

《選挙結果分析》
 〇野党共闘をアップデートせよ………中野晃一(上智大学)
 〇野党共闘は不発だったのか………菅原 琢(政治学者)

〈朝鮮半島と新政権〉
日本外交の危機か、われわれの危機か
和田春樹(東京大学名誉教授)

〈事件の総括〉
共振する日米の歴史修正主義――ラムザイヤー論文という事件(上)
米山リサ(トロント大学)×板垣竜太(同志社大学)

〈現地はいま〉
人と自然、人と人との和解へ――アフガニスタン政変と中村哲医師の願い
村上 優(ペシャワール会会長)

〈続く脅迫〉
ネグロスからの手紙――虐殺と弾圧の島で(特別篇・中) 二人、小部屋に身を潜め
クラリッサ・シングソン(人権アクティビスト)、訳・構成=木村英昭・勅使川原香世子

〈「隣人」の記憶と向き合う〉
世界最大の分散型記念碑――グンター・デムニッヒと仲間たちの「つまずきの石」(前編)
中村真人(フリーライター)

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◇世界の潮
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◇スーダンのクーデターー市民の力を見誤った軍部
栗田禎子

◇AUKUS オーストラリア外交と社会の大転換か
杉田弘也

◇極超音速ミサイルの衝撃――宇宙核戦争に勝者はいるか
藤岡 惇

◇山梨大学元教員諭旨解雇訴訟――ガバナンス改革と「学問の自由」の危機
石原 俊

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◇SEKAI Review of Books
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◇【短評】映画『ユダヤ人の私』は語る――記憶のデモクラシー
水野博子(明治大学)

◇【連載】本とチェック 第4回 人生の師、金石範先生
金承福(「クオン」代表)

◇新刊紹介

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●連載
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----〈短期集中連載〉----------

● 「赤木ファイル」を読む(上)――良心の叫びと「悪」の構造
金平茂紀(ジャーナリスト)

●パンドラ文書を解読する(下)
奥山俊宏(朝日新聞)、畑宗太郎(朝日新聞)

----〈新連載〉----------

●デジタル・デモクラシー ーービッグ・テックとの闘い【第1回】
〈わたしの顔〉を取り戻せ!
内田聖子(PARC)

----〈好評連載〉----------

●いま、この惑星で起きていること【第25回】
人工衛星が見た地球の劣化
森さやか(気象予報士)

●亡所考【第13回】
草刈りからみえる忘却
北條勝貴(上智大学)

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●メディア批評【第169回】
神保太郎(ジャーナリスト)

●片山善博の「日本を診る」【146】
厚労省職員が国会議員の挨拶文を作成していたことの意味を問う
片山善博(早稲田大学)

●但馬日記【第32回】
文化が流す汗が、軽んじられてはいないか
平田オリザ(劇作家)

●沖縄(シマ)という窓
――有銘政夫のこと………親川志奈子(沖縄大学非常勤講師)
――「オール沖縄」退潮――戦略見直しが急務に………松元 剛(琉球新報)

●原発月報(21・10~11)
福島原発事故記録チーム

●ドキュメント激動の南北朝鮮(293) (21・10~11)
編集部

●民話採光
阿部海太(絵描き・絵本描き)

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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)

○アムネスティ通信

○読者談話室

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○表紙写真
ドライフラワーで作られた服を着る女性。世界的な園芸の祭典「チェルシーフラワーショー」にて。
英ロンドン。2021年9月20日。ロイター=共同

○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)

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編集後記  *お読みになれます
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