世界 2022年4月号

【特集1】中国とどう向き合うか【特集2】コロナ禍と子どもたち

世界 2022年4月号
ジャンル 雑誌 > 世界 > 定期号
刊行日 2022/03/08
体裁 296頁

【特集1】中国とどう向き合うか

大国化する隣国と、私たちはどう向き合うのか。この問いを避けて通ることは、外交や安全保障は言うまでもなく、政治・経済・社会の広い領域で、もはや不可能だ。日本政府は、アメリカに全面的に依拠してその「脅威」と対峙する道を突き進んできた。とりわけ、日本の中国侵略という史実の否定を根底にたたえた安倍政権時代、その対立は本質的な部分に及んだ。一党独裁の強化、監視社会化、香港「制圧」やウイグル問題に象徴される人権状況に懸念を持つことは当然だろう。だが、だから「中国包囲網」を構築する、のか。アメリカ主導の「リベラル国際秩序」やインド太平洋戦略に追従する以外に解はないのか。私たちは、どのように中国を批判し、どう対話し、どのように東アジアの未来を構想するのか。本特集は、この大きな課題を討議していくための第一歩である。
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┃特集1┃中国とどう向き合うか
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〈重層的な関係を〉
日中関係の現在地と方向性
高原明生(東京大学)

〈「共同富裕」の正体〉
加速する「アジア的な新自由主義」――ポストコロナの中国社会を展望する
梶谷 懐(神戸大学)

〈半導体の攻防〉
アメリカに翻弄される日中経済関係
丸川知雄(東京大学)

〈アメリカの視線から離れる〉
米中対立と東アジア冷戦――歴史の反復と差異から見る
丸川哲史(明治大学)

〈インタビュー〉
漂流する中国のジェンダー秩序――市場化と権威主義のはざまで
小浜正子(日本大学)

〈インタビュー〉
外交の知恵を尽くせ――国交正常化五〇年の節目を前に
河野洋平(元衆議院議長)

〈圧政の現場〉
香港から中国を知る――「共産党が指導する香港」との向き合い方
倉田 徹(立教大学)

〈特別篇 連載20周年〉
資本主義と民主主義の関係性(1)――中国 国家資本主義という擬制
寺島実郎

〈事態の構造〉
ウクライナ侵攻――「勝者なき紛争」がなぜ起こったか
大串 敦(慶應義塾大学)

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┃特集2┃コロナ禍と子どもたち
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〈インタビュー〉
まずは子どもの声をきくこと――「コロナ×こどもアンケート」から
半谷まゆみ(国立成育医療研究センター)

〈「主体性」の迷宮を抜けて〉
新型ウイルスが問う「学校」――選択のロジックからケアのロジックへ
酒井 朗(上智大学)

〈折り重なる歴史〉
コロナ禍と子ども観の諸相――歴史から現在地の地図を描く
元森絵里子(明治学院大学)

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◆注目記事
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〈ルポ〉
福島の甲状腺がん――声を上げた子どもたち
片山夏子(東京新聞)

〈報告〉
ジハード大陸2・0――バージョンアップするイスラム過激派とアフリカの混沌
服部正法(毎日新聞)

〈真の問題点とは〉
敵基地攻撃能力と安保法制
阪田雅裕(元内閣法制局長官)

〈沖縄と向き合う〉
沖縄・半世紀の群像 第2回――森口豁
渡辺 豪(ジャーナリスト)

〈政治記者の眼〉
宏池会の思想とは何か――岸田首相に与う
西山太吉(ジャーナリスト)

〈特別対談〉
人新世の環境学へ(第一回)――SDGsは「大衆のアヘン」か?
宮本憲一(大阪市立大学名誉教授)、斎藤幸平(大阪市立大学)、聞き手=佐々木 実、解説=加藤正文

〈時代の記録〉
読者投稿 コロナ禍を生きる(上)
姜秀一・南條恭久・宮原正典・岡田徹也

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◇世界の潮
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◇北京冬季五輪――人権・ジェンダーは問われたか
來田享子

◇プルトニウム延命?――高速炉開発への日米協力の深層
田窪雅文

◇「教員不足」 初の文科省調査を読む
氏岡真弓

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◇SEKAI Review of Books
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◇施設で育つ子どもたちへの支援
高橋亜美(ゆずりは)

◇読書の要諦――SF ブランキと並行宇宙の想像力
酒井隆史(大阪府立大学)

◇【新刊】模索しつつも韓国社会は進む――鄭喜鎭編著『#MeTooの政治学』
古橋 綾(東京外国語大学非常勤講師)

◇【連載】本とチェック 第7回 出版都市パジュで
金承福(「クオン」代表)

◇新刊紹介

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●連載
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●〈新連載〉閉ざされた土地 第1回――出回っていた放射性廃棄物
吉田千亜(ライター)

●〈短期連載〉ルポ フェミサイド――メキシコの女性たちは闘う(後編)根絶を目指して
工藤律子(ジャーナリスト)、写真=篠田有史

●ルーツを巡る旅、ヘイトに抗う道【第2回】
家族の軌跡と傷跡
安田菜津紀(フォトジャーナリスト)

●デジタル・デモクラシー【第4回】
ロビイストから民主主義を取り戻す
内田聖子(PARC)

●片山善博の「日本を診る」(149)
法律を読まない、法律が読めない法治国家
片山善博(早稲田大学)

●メディア批評【第172回】
神保太郎(ジャーナリスト)

●いま、この惑星で起きていること【第28回】
加速する変動、ヒトの打つ手は?
森さやか(気象予報士)

●但馬日記【第35回】
明けない夜はない――池明観先生との思い出
平田オリザ(劇作家)

●沖縄(シマ)という窓
「変わらぬ基地 続く苦悩」――復帰五〇年の現実
松元 剛(琉球新報)

●亡所考【第16回】
干拓の埋めた葛藤
北條勝貴(上智大学)

●お許しいただければ――年配者について(A.G.ガードナー)
訳=行方昭夫(英文学者)

●原発月報(22・1~2)
福島原発事故記録チーム

●ドキュメント激動の南北朝鮮(296)(22・1~2)
編集部

●民話採光
阿部海太(絵描き・絵本描き)

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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)

○アムネスティ通信

○読者談話室

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○表紙写真
ピンク色に染まった畑に寝そべる観光客。中国山東省青島。
2020年10月24日。VCG/ゲッティ/共同通信イメージズ

○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)

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編集後記
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