気候民主主義

次世代の政治の動かし方

欧州で、日本各地で、市民の直接参加により広がる試み。目指すは気候危機打開!

気候民主主義
著者 三上 直之
ジャンル 書籍 > 単行本 > 政治
刊行日 2022/05/12
ISBN 9784000615327
Cコード 0036
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 206頁
定価 2,310円
在庫 在庫あり
気候危機から脱するにはどうしたらよいのか。既存の政治システムが有効な策を講じられていないのに対し、無作為抽出型の気候市民会議や、若者による気候ストライキなどの新しい試みが、欧州から広がりつつある。市民の直接参加による話し合いや意思表示は、日本にも。これらの事例から持続可能な世界への手がかりを探せ!
はじめに
あらゆるものごとはつながり合っている/連鎖する課題群とSDGs/気候危機と民主主義の危機/筆者の専門分野と本書のアプローチについて

1 ヨーロッパに広がる気候市民会議――「くじ引き市民」が議論する脱炭素社会への転換
くじ引きで社会の縮図をつくる/気候変動とは何か/すでに生じている気候変動の影響/脱炭素社会への困難な道のり/「排出実質ゼロ」目標の意味/バランスのとれた情報提供のために/排出削減の道筋を考える/政策の基本原則についても議論/会議結果の用いられ方/フランスの気候市民会議/なぜ無作為抽出型の市民会議なのか

2 民主主義のイノベーション――危機に向き合うための変革の道具箱
ミニ・パブリックス/世界市民会議(WWViews)/市民議会の広がり/民主主義のイノベーション/イノベーションの四つのツール/参加型予算/国民投票・住民投票/住民投票条例というイノベーション/常設型の住民投票条例/市民イニシアティブ/プレビシットという落とし穴/第一の疑問――民主主義の過剰・暴走なのではないか?/第二の疑問――エリート支配の強化につながるだけではないか?/評価基準1 包摂性/評価基準2 意思決定への影響力/評価基準3 熟慮に基づく判断/評価基準4 透明性+その他/熟議民主主義と参加民主主義の関係

3 脱炭素化のシナリオと「国民的議論」――原発事故後の討論型世論調査が残した課題
エネルギー問題としての気候変動対策/省エネ/エネルギーの脱炭素化をどう進めるか/二〇五〇年、エネルギーの脱炭素化のシナリオ/原発をめぐる世論と開かれた議論の必要性/原発事故翌年の「国民的議論」/討論型世論調査(DP)の導入/過半数が将来的な「原発ゼロ」を望む結果に/結果はどのように用いられたか/残された課題

4 日本で気候民主主義の芽を育む――地域発・若者主導の試み
世界市民会議の気になる結果/「生活の質」をテーマに市民会議を試行/コロナ禍で前倒しされた日本初の気候市民会議/「気候市民会議さっぽろ2020」/議題と情報提供の構成/くじ引きでの参加者募集に苦戦/気候市民会議での議論/投票結果/地域発の気候民主主義の広がり/「気候若者会議」というイノベーション/気候民主主義の底流にあるもの

終章 気候民主主義の生かし方
仮説としての気候民主主義/アイデアを固め、深め、広げる/制度化の必要性/気候民主主義の広がり/ことばを通じた解決にふみとどまるために

おわりに  
文献と注
三上直之(みかみ なおゆき)
1973年千葉県生まれ.東京大学文学部社会学専修課程卒業,東京大学大学院新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻博士課程修了.博士(環境学).北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット(CoSTEP)特任教員などを経て,現在,北海道大学高等教育推進機構准教授,同大学大学院理学院准教授.専門は環境社会学,科学技術社会論.
著書に『地域環境の再生と円卓会議――東京湾三番瀬を事例として』(日本評論社),共著書に『討議デモクラシーの挑戦――ミニ・パブリックスが拓く新しい政治』(岩波書店),『「ゲノム編集作物」を話し合う』(ひつじ書房),共編著書に『萌芽的科学技術と市民――フードナノテクからの問い』(日本経済評論社)などがある.
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