世界 2022年10月号

【特集1】変革の最前線【特集2】オンラインと自由――誹謗中傷から考える

世界 2022年10月号
ジャンル 雑誌 > 世界 > 定期号
刊行日 2022/09/08
体裁 296頁
特集1:変革の最前線
ネオリベラリズムが席巻してきた30年間が、終わりつつある。攻撃されつづけ、なかば廃墟となった民主主義と経済的平等の荒野から種火がひろわれ、あらたな風を得て、若い世代を中心に、新たな“左派の波”が国際的にひろがる。ポスト資本主義の理念として社会主義を掲げる動きも見出される。戦争と奴隷制を温存してきた近代のシステムから、より公正で自由な次のステージをどう模索するのか。フランス、コロンビア、ブラジル、そして日本の、社会を変革しようとする動きの一端――最先端を取り上げる。
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┃特集1┃変革の最前線
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〈何が起きつつあるか〉
新自由主義の覇権の終焉――フランス左派連合の躍進とブルジョワ・ブロックの迷走
菊池恵介(同志社大学)

〈二つの呪縛からの解放〉
戦争と奴隷制のサピエンス史――近代世界システムの次へ
三宅芳夫(千葉大学)

〈報告〉
左派新政権誕生のコロンビア――歴史的変革の実現なるか
幡谷則子(上智大学)

〈対談〉
民主主義と自治の再生へ――フィアレス・シティへの条件とは何か
岸本聡子(杉並区長)×内田聖子(PARC)

〈比較の視点〉
ブラジルの社会保障の歩みと展望――障碍者とLGBTをめぐる制度整備
近田亮平(日本貿易振興機構アジア経済研究所)

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┃特集2┃オンラインと自由――誹謗中傷から考える
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〈対談〉
兵器化する「表現の自由」とアテンション・エコノミー
山本龍彦(慶應義塾大学)×小嶋麻友美(東京新聞)

〈侮辱罪の法定刑引上げを受けて〉
オンラインハラスメントをめぐる刑法上の課題
深町晋也(立教大学)

〈デジタル教育のゆくえ〉
リテラシーからシティズンシップへ――変容するデジタル世界と教育
坂本 旬(法政大学)

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◆注目記事
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〈憲法から見る〉
国葬と日本の民主主義
飯島滋明(名古屋学院大学)

〈五つの視角〉
宗教カルトの何が違法なのか――統一協会の伝道・教化をめぐって
郷路征記(弁護士)

〈ある警察庁OBの憂い〉
元首相銃撃事件にみる「政治と警察」
南 隆(元内閣官房審議官兼内閣情報調査室審議官)

〈危機からの展望〉
香港からの通信【第4回】――国安法下の香港映画よ、水になれ
チャン・ジーウン(映画監督)

〈若すぎる死を追う〉
ルポ 副反応【第3回】――リリーフ投手の死と「救済」
山岡淳一郎(ノンフィクション作家)

〈レジリエンスを高めるには?〉
複合危機が襲う中東・アフリカ――「黒海封鎖」以前の構造的課題
井堂有子(日本国際問題研究所)

〈対話〉
戦争の起源、NATOの役割、ウクライナの将来シナリオ
マルチェロ・ムスト(ヨーク大学)、訳=斎藤幸平(東京大学)、解説=佐々木隆治(立教大学)

〈侵攻から半年〉
歴史の一部としてのロシア=ウクライナ戦争
末澤恵美(平成国際大学)

〈対談〉
宗教が政治を支えるとき(下)――ウクライナと戦後日本
島薗 進(東京大学名誉教授)×寺島実郎(日本総合研究所会長)

〈投票行動分析〉
二〇二二年参院選――データが示す有権者の右傾化
谷口将紀(東京大学)、淺野良成(日本学術振興会特別研究員)、大森翔子(NIRA総合研究開発機構研究員)

〈専守防衛からの離脱〉
自衛隊はどこへ?――防衛政策の推移と自衛隊の変容
植村秀樹(流通経済大学)

〈座談会〉
重慶爆撃から考えるウクライナ戦争――映画『苦干』の再発見を機に
石島紀之(フェリス女学院大学名誉教授)、前田哲男(ジャーナリスト)、伊香俊哉(都留文科大学)

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◇世界の潮
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◇NPT再検討会議――前進はあったのか
黒澤 満

◇日本学術会議は見解を変えたのか
小森田秋夫

◇離婚後の親権――子ども目線の論議を
藤岡敦子

◇ペロシ訪台は米中台関係に何をもたらすのか
松本はる香

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◇SEKAI Review of Books
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◇今、必要なこと│歴史の誤用に抗して――戦争批判の足場を築くために
戸邉秀明(東京経済大学)

◇読書の要諦――SF 「まっくら」世界の想像力――森崎和江と谷川雁の初期著作復刻によせて
酒井隆史(大阪府立大学)

◇新刊│惨事便乗の連鎖を止めるために――『負の遺産を持続可能な資産へ』
津久井進(弁護士)

◇新刊紹介

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●連載
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〈好評連載〉
壊れる世界【第2回】――大国の戦争
藤原帰一(東京大学客員教授)

東京電力 11年の変節【第3回】――賠償責任とビジネスの狭間
後藤秀典(ジャーナリスト)

分水嶺II コロナ緊急事態と専門家【第12回】――第7波の高波
河合香織(ノンフィクション作家)

●片山善博の「日本を診る」(155)――袋小路のマイナンバーカード
片山善博(大正大学)

●いま、この惑星で起きていること【第34回】――検索とメールとCO2
森さやか(気象予報士)

●気候再生のために【第5回】――石炭火力訴訟の意味は何か
江守正多(東京大学)

●沖縄(シマ)という窓――辺野古が明確な争点に
松元 剛(琉球新報)

●原発月報――(22・7~8)
福島原発事故記録チーム

●ドキュメント激動の南北朝鮮(302)(22・7~8)
編集部

●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)

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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)

○アムネスティ通信

○読者談話室

○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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