世界 2023年2月号

【特集1】習近平新時代 共存の道は 【特集2】コロナは日本をどう変えた?

世界 2023年2月号
ジャンル 雑誌 > 世界 > 定期号
刊行日 2023/01/06
体裁 296頁

【特集1】習近平新時代 共存の道は
2022年10月に開催された中国共産党大会で、世界は異様な光景を目にした。習近平の横で、退席をうながされる胡錦濤と、そこから目を背けるような幹部指導者たち。これは、毛沢東以来となる3期目に入った習近平政権の本質を象徴する出来事ではないだろうか。しかし、習近平の足元は揺らぎ始めている。飛ぶ鳥を落とす勢いだった経済成長は減速しつつある。3年にわたるゼロコロナ政策のもとで自由が制限されてきたことへの反発も大きい。日本や台湾をはじめとした周辺地域でも、安全保障上の「脅威」論が声高に論じられている。国内外の変化によって新たな時代へと突入した「習近平の中国」から、目を背けることはできない。日中の長い交流と対話の歴史をもつ私たちは、今どう向き合うべきだろうか。

【特集2】コロナは日本をどう変えた?
 日本国内で初の新型コロナウイルス感染が確認されたのは2020年1月。まもなく4年目に突入する。
 「ワクチン接種が進めば、やがて収まっていく」という、当初の思惑は打ち砕かれ、変異を続けるウイルスの感染拡大は今なお続いている。世界中で多くの人命が失われ、ひとびとの暮らしや経済に甚大な被害がもたらされた。日本政府の対応は後手後手に回り、有効な対策を打ち出さないまま、政権は2回の交代を余儀なくされた。これまでの政府のコロナ対策のどこに問題があったのか。医療体制の脆弱さなど、このウイルスが浮かび上がらせた課題は何か。私たちは今後、このウイルスとどのようにつきあっていけばよいのか。この間の経験はこれからにこそ生かされるべきであろう。多角的に検証する。

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┃特集1┃習近平新時代 共存の道は
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〈その構造をよむ〉
習近平三期目 長期政権の内実
小嶋華津子(慶應義塾大学)

〈強権下にある「心の声」〉
犠牲となった人民――中国共産党大会の象徴的意味
聶莉莉(東京女子大学)

〈座談会〉
中国経済はどう進むのか――内在要因と台湾・アメリカ・日本
梶谷 懐(神戸大学)、川上桃子(ジェトロ・アジア経済研究所)、吉岡桂子(朝日新聞)

〈最前線のレポート〉
デジタル人民元 その狙いとは?
高口康太(中国研究家)

〈ゼロコロナを検証〉
中国、ウィズコロナへの転換
飯島 渉(青山学院大学)

〈インタビュー〉
習近平の中国とどう向き合うか
福田康夫(元内閣総理大臣)

〈交渉の歴史〉
「一つの中国」政策は覆せない――台湾の地位をめぐる整理
岡田 充(ジャーナリスト)

〈“フチ”の交流へ〉
日本と中国、建築交流の歴史――国交正常化からその五〇周年まで
市川紘司(建築史家)

〈皿の上の中国と日本〉
螺螄粉(タニシビーフン)とガチ中華
岩間一弘(慶應義塾大学)

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┃特集2┃コロナは日本をどう変えた?
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〈ズレはどこから生まれた?〉
医療界と社会のあいだ
高久玲音(一橋大学)

〈感染症対策の問題点〉
なぜ日本のコロナ対策は失敗を続けるのか――行政と専門家の構造的問題に目を向けよ
米村滋人(東京大学)

〈インタビュー〉
医療制度が破壊された三年間
倉持 仁(インターパーク倉持呼吸器内科院長)

〈シェフたちの声〉
「不要不急」と指さされ――コロナ禍と飲食業界
井川直子(文筆業)

〈科学論の観点から〉
パンデミックが照らし出す「科学」と「政治」
神里達博(千葉大学)

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◆注目記事
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〈「反撃能力」と国家安全保障戦略〉
憲法九条の死
阪田雅裕(元内閣法制局長官)

〈「私権力」の下に蠢くもの〉
「解釈変更」という擬態――この一〇年間のこの国の政治を考える
蟻川恒正(日本大学)

〈提言〉
「沖縄返還」五〇年を超えて――基地の島からの主張
沖縄対外問題研究会

〈日本政治の展望〉
ポスト「一強」政治の選択肢――自民党右派と野党共闘の先へ
中北浩爾(一橋大学)

〈講演〉
大衆的検閲について
桐野夏生(作家)

〈大混乱を読み解く〉
イーロン・マスクのツイッター買収――「新たな統治者」をどう「ガバナンス」するか
水谷瑛嗣郎(関西大学)

〈統一教会問題次のステージ〉
政治介入を招く法制度を見なおす――宗教法人法と認証・解散規定
島薗 進(東京大学名誉教授)

〈小さなモノの影響力〉
神宮大麻を知っていますか?――伊勢神宮と神社界
ジョン・ブリーン(国際日本文化研究センター名誉教授)

〈問題はどこに〉
インボイス騒動――相互牽制型税制への整備
三木義一(青山学院大学名誉教授)

〈最新動向〉
“失われた10年”再び?――ラテンアメリカ「左派復権」の実相
狐崎知己(専修大学)

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◇世界の潮
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◇障害者権利委員会 初の総括所見が日本に求めたもの
石川 准

◇W杯カタール大会 栄光と足元の人権
木村元彦

◇「太陽花世代」の終焉? 台湾統一地方選挙
本田善彦

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◇SEKAI Review of Books
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◇連載│読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
長谷部恭男(早稲田大学)

◇新刊│誰のための警察か――『ヤジと民主主義』
出口かおり(弁護士)

◇新刊紹介

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●連載
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●ボナエ・リテラエ――私の読書遍歴【第3回】――『CQ ham radio』
森本あんり(東京女子大学長)

●脳力のレッスン(248)――議会制民主主義の再生のために
寺島実郎

●Z世代と探るジャーナリズム【第2回】
奥山俊宏(上智大学)

●片山善博の「日本を診る」(159)――辺野古埋め立て承認の撤回をめぐる最高裁判決の時代錯誤
片山善博(大正大学)

●香港からの通信【第8回】――残された時間は三〇年
トーマス・ファン(「細葉榕人道支援基金会」創設者)

●気候再生のために【第9回】――「脱成長」は呪いか、福音か
江守正多(東京大学)

●沖縄(シマ)という窓――所有者不明土地の現在
山城紀子(フリーライター)

●お許しいただければ――帽子屋の哲学(A.G.ガードナー)
訳=行方昭夫(英文学者)

●原発月報――(22・11~12)
福島原発事故記録チーム

●ドキュメント激動の南北朝鮮(306)(22・11~12)
編集部

●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)

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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)

○アムネスティ通信

○読者談話室

○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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