-
2022.01.01
〈こころ〉はどこから来て,どこへ行くのか
脳,認知,病い,高齢化社会,サルとヒトなどを切り口に,第一人者が誘う知のレクチャー.
人類はこれまでどのような〈こころ〉のあり方で世界と向き合い,〈こころ〉をどのように探究してきたのか.そして,これからの〈こころ〉はどう展望できるのか.脳,認知,病い,高齢化社会,サルとヒトなどを切り口に,第一線の思想家・研究者が縦横に開陳する.2015年に開催され好評を博した「京都こころ会議」発五つのレクチャー.
■編集部からのメッセージ
豪華な執筆陣による〈こころ〉をめぐる連続レクチャーをお届けします.本書のもとになったのは昨年9月の「京都こころ会議」(主催・京都大学こころの未来研究センター)でのシンポジウムです.会場を埋めた数百人のお客さんたちは,朝から夕方までびっしり5つの講演を聴き,心地よい疲労と満足を味わわれたようです.その臨場感をそのままお伝えしたいと思っています.
〈こころ〉をめぐっては近年,心の不調を薬で回復させることが浸透してきているように,〈脳〉や〈身体〉そのものとの関係がクローズアップされてきています.その点で,精神分析によるアプローチなどは古くなってしまったのでしょうか? また,日本人・日本社会ならではの〈こころ〉のあり方は,どうなっていくのでしょうか? より根源的なところで,サルとヒトを分ける〈こころ〉のありようや行動様式とは,どのようなものなのでしょうか?
当代最先端の思想家・研究者による発信ですが,内容は難しくなく,まったく構える必要はありません.楽しく,〈こころ〉の不思議に思いを馳せていただきたいと思います.興味深い図版も多数収録します.
■編集部からのメッセージ
豪華な執筆陣による〈こころ〉をめぐる連続レクチャーをお届けします.本書のもとになったのは昨年9月の「京都こころ会議」(主催・京都大学こころの未来研究センター)でのシンポジウムです.会場を埋めた数百人のお客さんたちは,朝から夕方までびっしり5つの講演を聴き,心地よい疲労と満足を味わわれたようです.その臨場感をそのままお伝えしたいと思っています.
〈こころ〉をめぐっては近年,心の不調を薬で回復させることが浸透してきているように,〈脳〉や〈身体〉そのものとの関係がクローズアップされてきています.その点で,精神分析によるアプローチなどは古くなってしまったのでしょうか? また,日本人・日本社会ならではの〈こころ〉のあり方は,どうなっていくのでしょうか? より根源的なところで,サルとヒトを分ける〈こころ〉のありようや行動様式とは,どのようなものなのでしょうか?
当代最先端の思想家・研究者による発信ですが,内容は難しくなく,まったく構える必要はありません.楽しく,〈こころ〉の不思議に思いを馳せていただきたいと思います.興味深い図版も多数収録します.
はじめに
講演I
「もの」と「こころ」の統一へ 中沢新一
1/2/3/4/5/6/7/8/9/10
講演II
こころの歴史的内面化とインターフェイス 河合俊雄
1 はじめに
2 こころのオープンシステムとクローズドシステム
3 西洋におけるこころの内面化の歴史
4 内面化と文化
5 ネットワーク化と内面の消失
6 インターフェイスの例
講演III
ポスト成長時代の「こころ」と社会構想 広井良典
1 現在という時代をどうとらえるか
2 こころとコミュニティ・まちづくり
3 こころと経済社会
講演IV
こころの潜在過程と「来歴」――知覚,進化,社会脳 下條信輔
1 「来歴」とは?
2 「来歴」によって,多くの謎が解ける
3 色知覚
4 遺伝か,環境か(Nature vs. Nurture)
5 IQのパラドックス
6 自閉症の病因は,なぜ解明されないのか?
7 身体化された知性
8 潜在脳の社会性
9 ニッチ構築と進化
まとめ
講演V
こころの起源――共感から倫理へ 山極寿一
1 黄金律とダーウィンの疑問
2 類人猿の共感能力
3 サルの社会のルール
4 食物をめぐるルール
5 類人猿の食物分配
6 人間の食物分配
7 コミュニケーションの進化
8 性の所有と規範
9 人間の家族とコミュニティ
10 生活史と家族の進化
11 人間社会の倫理と規範
(まとめにかえて)
閉じることと開くことの逆説 河合俊雄
参考文献
講演I
「もの」と「こころ」の統一へ 中沢新一
1/2/3/4/5/6/7/8/9/10
講演II
こころの歴史的内面化とインターフェイス 河合俊雄
1 はじめに
2 こころのオープンシステムとクローズドシステム
3 西洋におけるこころの内面化の歴史
4 内面化と文化
5 ネットワーク化と内面の消失
6 インターフェイスの例
講演III
ポスト成長時代の「こころ」と社会構想 広井良典
1 現在という時代をどうとらえるか
2 こころとコミュニティ・まちづくり
3 こころと経済社会
講演IV
こころの潜在過程と「来歴」――知覚,進化,社会脳 下條信輔
1 「来歴」とは?
2 「来歴」によって,多くの謎が解ける
3 色知覚
4 遺伝か,環境か(Nature vs. Nurture)
5 IQのパラドックス
6 自閉症の病因は,なぜ解明されないのか?
7 身体化された知性
8 潜在脳の社会性
9 ニッチ構築と進化
まとめ
講演V
こころの起源――共感から倫理へ 山極寿一
1 黄金律とダーウィンの疑問
2 類人猿の共感能力
3 サルの社会のルール
4 食物をめぐるルール
5 類人猿の食物分配
6 人間の食物分配
7 コミュニケーションの進化
8 性の所有と規範
9 人間の家族とコミュニティ
10 生活史と家族の進化
11 人間社会の倫理と規範
(まとめにかえて)
閉じることと開くことの逆説 河合俊雄
参考文献
河合俊雄(かわい としお)
1957年奈良県生まれ.80年京都大学教育学部卒,82年同大学院教育学研究科修士課程修了,87年同博士後期課程中退.2007年より京都大学こころの未来研究センター教授.専門は臨床心理学・ユング心理学.著書に『ユング――魂の現実性』(岩波現代文庫),『ユング派心理療法』(ミネルヴァ書房)など.
中沢新一(なかざわ しんいち)
1950年山梨県生まれ.74年東京大学文学部宗教学科卒,77年同大学院人文科学研究科宗教学専攻修士課程修了,82年同博士課程単位取得満期退学.2011年より明治大学野生の科学研究所所長.人類学・宗教学.著書に『カイエ・ソバージュ』(講談社選書メチエ),『アースダイバー』(講談社)など.
広井良典(ひろい よしのり)
1961年岡山県生まれ.84年東京大学教養学部卒,86年同大学院総合文化研究科修士課程修了.厚生省勤務を経て,96年千葉大学法経済学部(現・法政経学部)助教授,2003年より同教授.公共政策・科学哲学.著書に『コミュニティを問いなおす――つながり・都市・日本社会の未来』(ちくま新書),『ポスト資本主義 科学・人間・社会の未来』(岩波新書)など.
下條信輔(しもじょう しんすけ)
1955年東京都生まれ.78年東京大学文学部心理学科卒,80年同大学院文学研究科修士課程修了,85年マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了,同Ph. D..97年よりカリフォルニア工科大学准教授,99年より同教授.知覚心理学・感覚心理物理学・認知神経科学・認知発達学.著書に『まなざしの誕生――赤ちゃん学革命』(新曜社),『サブリミナル・マインド――潜在的人間観のゆくえ』(中公新書)など.
山極寿一(やまぎわ じゅいち)
1952年東京都生まれ.75年京都大学理学部卒,77年同大学院理学研究科修士課程修了,80年同博士後期課程研究指導認定,同年同退学.理学博士.2014年より京都大学総長.人類学・霊長類学.著書に『暴力はどこからきたか――人間性の起源を探る』(NHKブックス),『「サル化」する人間社会』(集英社インターナショナル)など.
1957年奈良県生まれ.80年京都大学教育学部卒,82年同大学院教育学研究科修士課程修了,87年同博士後期課程中退.2007年より京都大学こころの未来研究センター教授.専門は臨床心理学・ユング心理学.著書に『ユング――魂の現実性』(岩波現代文庫),『ユング派心理療法』(ミネルヴァ書房)など.
中沢新一(なかざわ しんいち)
1950年山梨県生まれ.74年東京大学文学部宗教学科卒,77年同大学院人文科学研究科宗教学専攻修士課程修了,82年同博士課程単位取得満期退学.2011年より明治大学野生の科学研究所所長.人類学・宗教学.著書に『カイエ・ソバージュ』(講談社選書メチエ),『アースダイバー』(講談社)など.
広井良典(ひろい よしのり)
1961年岡山県生まれ.84年東京大学教養学部卒,86年同大学院総合文化研究科修士課程修了.厚生省勤務を経て,96年千葉大学法経済学部(現・法政経学部)助教授,2003年より同教授.公共政策・科学哲学.著書に『コミュニティを問いなおす――つながり・都市・日本社会の未来』(ちくま新書),『ポスト資本主義 科学・人間・社会の未来』(岩波新書)など.
下條信輔(しもじょう しんすけ)
1955年東京都生まれ.78年東京大学文学部心理学科卒,80年同大学院文学研究科修士課程修了,85年マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了,同Ph. D..97年よりカリフォルニア工科大学准教授,99年より同教授.知覚心理学・感覚心理物理学・認知神経科学・認知発達学.著書に『まなざしの誕生――赤ちゃん学革命』(新曜社),『サブリミナル・マインド――潜在的人間観のゆくえ』(中公新書)など.
山極寿一(やまぎわ じゅいち)
1952年東京都生まれ.75年京都大学理学部卒,77年同大学院理学研究科修士課程修了,80年同博士後期課程研究指導認定,同年同退学.理学博士.2014年より京都大学総長.人類学・霊長類学.著書に『暴力はどこからきたか――人間性の起源を探る』(NHKブックス),『「サル化」する人間社会』(集英社インターナショナル)など.