学問/政治/憲法

連環と緊張

樋口憲法学の薫陶を受けた憲法学者による珠玉の論文集.政治と切り結びながら営まれる学知のあり方を考察する.

学問/政治/憲法
著者 石川 健治
ジャンル 書籍 > 単行本 > 法律
刊行日 2014/12/25
ISBN 9784000259927
Cコード 0032
体裁 A5 ・ 上製 ・ カバー ・ 292頁
在庫 品切れ
学術研究だけでなく,折々の時局に対しても活発な発言を続けてきた樋口陽一先生の憲法学と,どう対峙し,継承していくのか.樋口憲法学の薫陶を受けた七人の憲法学者・弁護士が,政治と切り結びながら営まれる学知のあり方を考察する.編者をはじめ,長谷部恭男,渡辺康行,遠藤比呂通,山元一,蟻川恒正,毛利透の計七名が執筆.


■編者からのメッセージ
学問と政治の緊張,政治と憲法の緊張,憲法と学問の緊張を,自覚的に引き受けることなしに,憲法学は成立し得ない.日本の憲法秩序において再び政治の時代が到来した今日,そのなかでも,憲法学が学問として成立し得るということ.それを示すべく,生々しい学問の「現場」を展べ示す七篇の論攷によって,本書は編まれている.……この本は,2014年という時代の憲法状況のもとに,世に送り出される.それにしては,時事的な話題とかけ離れた,高踏的な書物のようにみえるかもしれない.しかし,少々難解であるかもしれないが,じっくりと読んでいただければ,それぞれの論文がきわめてアクチュアルな問題に取り組もうとしていることを,理解していただけよう.一見目新しい現象も,多くの場合,古くからの主題の変奏にすぎない.本書を構成する各論文は,そうした本質的な主題の多くに触れているはずである.
窮極の旅  石川健治

「旧ヨーロッパ的」あるいは「実存主義的」ケルゼン――ホルスト・ドライアーのケルゼン研究に依りつつ  毛利 透

<「自由」の共和国>の憲法思想――「70年代主権論争」,そしてその後  山元 一

嘘をつく権利?――カントと不完全な世界  長谷部恭男

「たたかう民主制」論の現在――その思想と制度  渡辺康行

個人の尊厳と人間の尊厳  遠藤比呂通

尊厳と身分  蟻川恒正
石川 健治(いしかわ・けんじ)
東京大学法学部教授.『自由と特権の距離――カール・シュミット「制度体保障」論・再考』(日本評論社)他.

毛利 透(もうり・とおる)
京都大学大学院法学研究科教授.『統治構造の憲法論』(岩波書店)他.

山元 一(やまもと・はじめ)
慶應義塾大学大学院法務研究科教授.『現代フランス憲法理論』(信山社出版)他.

長谷部 恭男(はせべ・やすお)
早稲田大学法学学術院教授.『憲法の円環』(岩波書店)他.

渡辺 康行(わたなべ・やすゆき)
一橋大学大学院法学研究科教授.『憲法I』(共著,日本評論社,近刊)他.

遠藤 比呂通(えんどう・ひろみち)
弁護士.『希望への権利――釜ヶ崎で憲法を生きる』(岩波書店)他.

蟻川 恒正(ありかわ・つねまさ)
日本大学大学院法務研究科教授.『憲法的思惟――アメリカ憲法における「自然」と「知識」』(創文社)他.

書評情報

朝日新聞(朝刊) 2015年2月8日
ページトップへ戻る