岩波文庫の80年

創刊から2006年12月までの刊行順全書目リストその他を収録した,ハンディな〈岩波文庫資料集〉.

岩波文庫の80年
著者 岩波文庫編集部
通し番号 別冊18
ジャンル 書籍 > 岩波文庫 > 岩波文庫別冊
日本十進分類 > 総記
刊行日 2007/02/16
ISBN 9784003500217
Cコード 0100
体裁 文庫 ・ 並製 ・ カバー ・ 590頁
在庫 品切れ
1927年7月の創刊から2006年12月までの岩波文庫刊行順全書目リストと索引.他に,「ワイド版岩波文庫総目録」,「岩波文庫略年表」,「岩波文庫略史」,「岩波文庫論」(岩波茂雄),「岩波文庫の定価の基準の変遷」,「岩波文庫の整理番号について」等を収録し,岩波文庫のハンディな資料集となっている.


■内容紹介
 岩波文庫は1927(昭和2)年7月10日,創業者岩波茂雄(1881-1946)によって創刊され,本年7月にはいよいよ創刊80年を迎えます.最も刊行点数の多い年(1939年)は178冊,最も少ない年(1945年)は8冊と,年によって刊行点数に差はありますが,第2次世界大戦をはさむ困難な時期にも途切れることなく,激動する社会をくぐり抜け,決して短くはない歩みを地道に継続して参りました.
 本書は,創刊から2006年12月までの刊行順全書目リスト(約5400冊)とその索引を中心にして,1冊本の文庫という小さく限られた紙面の中に極力資料として役立つ情報を盛り込むという方針で作成されました.創刊60年のときに刊行した『岩波文庫総目録―1927-1987―』を参考にしながら改良を加え,ハンディな〈岩波文庫資料集〉になるよう努めました.
 全書目リストには,刊行年月日,著訳編者名,書名,頁数の書誌的データを掲げました.短篇集,評論集等の編集物については収録作も掲げてあります(ただし,詩集と書簡集は収録作が膨大になるケースがあるため掲げていません).また,解説が著者・訳者・校注者・編者以外の筆者によって書かれている場合は,解説者名も掲げてあります.
 岩波文庫の姉妹版とも言える「教科書版岩波文庫」「岩波クラシックス」「ワイド版岩波文庫」の整理番号順の総目録も収録しました.これにより,これらの姉妹版の全貌が初めて一望できるようになりました.
 「岩波文庫略年表」,「岩波文庫略史」,「岩波文庫論」(岩波茂雄),「岩波文庫の整理番号について」など,岩波文庫を知るうえで役立つ資料を収録したことも本書の大きな特徴です.
 文庫版で600頁ほどの本になりました.活字が小さいのが難点ですが,座右に置くにはコンパクトで便利な本です.定価は1050円で,資料的にも役立つ本になっていると思いますので,この機会にお求めいただき,ご活用いただければ幸いです.


■岩波文庫略年表
◆1927(昭和2)年
7月9日,『東京朝日新聞』紙上で岩波文庫の企画が発表される.三木清(1897-1945)が草案を書き,岩波茂雄(1881-1946)が手を入れて成った岩波文庫のマニフェスト「読書子に寄す」もこのとき発表される.翌7月10日,『にごりえ・たけくらべ』『プラトン ソクラテスの弁明・クリトン』『桜の園』など22冊を発売.判型は菊半截(110×152 mm).装幀は平福百穂(1877-1933).
◆1928(昭和3)年
書店向けの岩波文庫目録(表紙には「昭和3年7月」とある)を作成.
◆1930(昭和5)年
1月,岩波文庫に売り上げカードを初めて挿入.
◆1931(昭和6)年
10月,刊行点数が300点を越えたのを機に整理番号を付し,黄・緑・赤・青・白の5色による分類別の帯をかける.
◆1932(昭和7)年
2月から『古事記』など,主として国文学関係の書目を選んで「教科書版」の岩波文庫を刊行(1937年4月までに30冊).判型は四六判(129×188mm).
◆1941(昭和16)年
7月末,文庫の判型が菊半截からA6判(105×148mm)となる.9月から買切り制を導入(創刊時からこの時までは委託制をとっていた).
◆1951(昭和26)年
3月,岩波茂雄の出身地であった長野県限定で「岩波文庫の会」を発足(会費年額120円,機関誌『文庫』を毎月1冊発行.1960年12月に第111号で終刊).10月,「岩波文庫の会」が全国組織となる.
◆1953(昭和28)年
岩波文庫創刊25年.4月,小冊子『古典の読み方』(執筆者=小泉信三,清水幾太郎,大内兵衛,高木市之助,桑原武夫,吉川幸次郎,河盛好蔵)を発行.同月,東京と大阪で記念講演会を開催.
◆1955(昭和30)年
3月,小冊子『古典を読もう』(執筆者〔座談会の記録などはその参加者〕=野間宏,亀井勝一郎,梅原龍三郎,吉田洋一,中野好夫,桑原武夫,清水幾太郎,久野収,なかのしげはる,宇野重吉,幸田文,ドナルド・キーン,谷川徹三,内池佳子,松方三郎,久保田万太郎,杉浦明平,小宮豊隆,富永惣一,河野与一,中谷宇吉郎,池島信平,都留重人)を発行.
◆1956(昭和31)年
1月,『読書案内―若い人々のために―』を発行(執筆者=谷川徹三,片岡良一,桑原武夫,清水幾太郎).
◆1957(昭和32)年
岩波文庫創刊30年.全国各地で文化講演会を開催.
◆1959(昭和34)年
4月,小冊子『風雪に耐えて―岩波文庫の話―』を発行.
◆1961(昭和36)年
7月,小冊子『100冊の本』(選者=臼井吉見,大内兵衛,大塚久雄,貝塚茂樹,茅誠司,久野収,桑原武夫,武谷三男,鶴見俊輔,中野重治,中野好夫,松方三郎,丸山真男,山下肇,渡辺一夫)を発行.
◆1967(昭和42)年
岩波文庫創刊40年.全国49都市で文化講演会を開催.6月,小冊子『考える人―五つの箱―』(選者=宇野弘蔵,大塚久雄,久野収,桑原武夫,中野重治,中野好夫,日高六郎,福田歓一,松田道雄,丸山真男,湯川秀樹,吉川幸次郎)を発行.
◆1970(昭和45)年
5月,岩波文庫のスピン(栞ひも)をやめ,紙製の栞を本に挿入.かつて1940年5月に材料不足のため一時的にスピンをやめたことがあったが,これ以降は完全にスピンを廃止し現在に至る.
◆1973(昭和48)年
4月,無線製本に切りかえる.
◆1974(昭和49)年
3月,この月の新刊(重版は4月)より,岩波文庫の整理番号を星番号制から分野別・著者別番号制に切りかえ始める.4月,小冊子『新選 100冊の本』(選者=内田義彦,大江健三郎,加藤周一,辻邦生,都留重人,鶴見俊輔,寺田透,中野好夫,林達夫,藤沢令夫,益田勝実,松田道雄,丸山真男,湯川秀樹,吉川幸次郎)を発行.
◆1976(昭和51)年
3月,2年前より進めていた星番号制から分野別・著者別番号制への移行を終え,3月17日の『朝日新聞』朝刊に全面広告を出し,新番号制への移行を宣言する.
◆1977(昭和52)年
岩波文庫創刊50年.5月,東京と京都で感謝の会を開催.全国20都市で記念文化講演会を開催.
◆1982(昭和57)年
6月,「岩波クラシックス」シリーズの刊行を開始する(1984年3月までに60冊刊行).岩波文庫の本文を拡大印刷して,四六判のハードカヴァーの体裁にしたもの.のちのワイド版の雛形となった.
◆1983(昭和58)年
5月,小冊子『文庫101』を発行.このとき選ばれた82点101冊に色刷りのカヴァーを初めてつける.
◆1987(昭和62)年
岩波文庫創刊60年.7月,『岩波文庫総目録―1927-1987―』を刊行.11月,創刊60年感謝の会を東京と京都で開催.
◆1991(平成3)年
1月,「ワイド版岩波文庫」の刊行を開始する.岩波文庫を拡大印刷したもの.判型はB6判(128×182 mm).5月,読書フェアに際し小冊子『読書のすすめ』(執筆者=安野光雅,大江健三郎,大岡信,大野晋,加藤周一,坂本義和,田辺聖子,遠山茂樹,なだいなだ,養老孟司)を発行(2007年2月現在,第11集まで発行).
◆1992(平成4)年
5月,読書フェアに際し小冊子『読書の達人が選ぶ岩波文庫の100冊』(選者=網野善彦,遠藤周作,荻野アンナ,奥本大三郎,河合隼雄,神津カンナ,島田雅彦,鶴見俊輔,中村桂子,福井謙一,丸山眞男,山田太一)を発行.
◆1997(平成9)年
岩波文庫創刊70年.1月,雑誌『文庫』の復刻版をセットで発売.2月,岩波文庫別冊『岩波文庫解説総目録―1927-1996―』(全3冊)を刊行.7月,『岩波文庫解説総目録―1927-1996―〔特装版〕』を刊行.9月,小冊子『私と岩波文庫―忘れえぬ一冊―』(読者の方々から募った岩波文庫に関する思い出の文章をまとめたもの)を発行.
◆2006(平成18)年
12月,1927年7月10日の岩波文庫創刊時の22冊にカント『実践理性批判』(同年7月15日刊行)を加えた23冊の復刻本をセットで発売.
◆2007(平成19)年
岩波文庫創刊80年.2月,岩波文庫別冊『岩波文庫の80年』を刊行.

書評情報

愛媛新聞 2007年6月10日
熊本日日新聞(朝刊) 2007年5月31日
高知新聞(朝刊) 2007年5月13日
TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」スタンバイ・ブックナビ 2007年3月13日放送
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