〈子どもとファンタジー〉コレクション III

物語とふしぎ

児童文学の名作を紹介しつつ,すぐれた物語にこめられたさまざまな「ふしぎ」と子どもの読書体験を考える.(解説=小澤征良)

物語とふしぎ
著者 河合 隼雄 , 河合 俊雄
通し番号 社会256
ジャンル 書籍 > 岩波現代文庫 > 社会
日本十進分類 > 文学
シリーズ 〈子どもとファンタジー〉コレクション
刊行日 2013/10/16
ISBN 9784006032562
Cコード 0195
体裁 A6 ・ 並製 ・ カバー ・ 260頁
定価 1,122円
在庫 在庫あり
大切な体験には,「ふしぎ」や「おどろき」の感情がともなう.人は,それらを心に収めるために物語を発明し,その感動を他の人に伝えるために文学をつくった.子どもは,とりわけ「ふしぎ」を感じる名人であり,文学の優れた読み手である.児童文学の名作を紹介しながら,子どもと物語を結ぶ「ふしぎ」について考える.(解説=小澤征良)(全6冊)

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1995年,岩波少年文庫創刊45年を記念して「物語とふしぎ」というテーマで4回講義がおこなわれ(第2~5章),本書はそれをもとに書き下ろされました.
 臨床心理学の大家であり,第一級のカウンセラーである著者が,その豊かな臨床経験を生かして書き下ろした「物語論」「児童文学論」.著者によると,人は忘れがたい体験をすると「ふしぎ」や「おどろき」の感情を抱きます.その説明しがたい体験は「物語」という形にしてみて初めて心に収めることができ,また他者にその経験を伝えることができます.昔話や文学はそのようにして生まれました.子どもたちは,物語に込められた「ふしぎ」をたのしむ名人です.子どもたちが本を開くとき,大人以上に,描かれた自然や人や時間や場所がもっている「ふしぎ」をからだ全体で感じて,かけがえのない経験をします.著者は児童文学のすぐれた作品を分析しつつ,作家の深い体験と子どもの人生が交差する文学の魅力を解きあかします.
第1章 ふしぎと人生
 1 不思議の体験
 2 ふしぎが物語を生む
 3 ふしぎが人を支える
 4 「私」のふしぎ
第2章 自然とふしぎ
 1 子どもと自然
 2 自然とともに
 3 自然のなかの「住人」たち
 4 自然と畏れ
 5 自然との融合
第3章 ふしぎな人物
 1 恐ろしい人
 2 ふしぎな楽しさ
 3 もう一人の「私」
 4 ふしぎな家族
第4章 ふしぎな町・ふしぎな村
 1 ふしぎの国
 2 ふつうの家・ふつうの村
 3 土地の精霊
 4 ファンタジーの世界
第5章 時のふしぎ
 1 時の流れ
 2 時の循環
 3 時の到来
 4 秘密の時

 あとがき
 解説                       小澤征良
 〈子どもとファンタジー〉刊行によせて   河合俊雄
河合隼雄(かわい はやお)
1928年兵庫県生まれ.京都大学理学部卒業.1962年よりユング研究所に留学,ユング派分析家の資格取得.京都大学教授,国際日本文化研究センター所長,文化庁長官を歴任.2007年7月逝去.著書に『コンプレックス』『昔話と日本人の心』『未来への記憶』ほか.
河合俊雄(かわい としお)
1957年奈良県生まれ.京都大学教育学研究科博士課程修了.ユング派分析家資格取得.京都大学こころの未来研究センター教授.著書に『心理臨床の理論』『概念の心理療法』ほか.
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