こぼればなし(2018年9月号)

こぼればなし


 「命に危険があるような暑さ」「災害と認識している」――気象庁気候情報課が異例の会見を開いてこのように述べるほど、今夏の列島は異常気象に襲われました。連日の記録的な暑さに、全国各地で熱中症と見られる症状のため病院に搬送される方々が相次ぎ、お亡くなりになる方が数多く出ています。

 水辺で涼を得ようと思っても、予想を超える猛暑が続き、熱中症の懸念がぬぐえないため、夏休みのプールの開放を中止にした小学校もありました。三〇度を超える水温に、これまでは水温が低くてプールの使用を中止したことはあっても、高くて中止することになったのは初めてだとか。

 官房長官や文部科学大臣が猛暑対策は緊急の課題だとして、全国の小・中学校に対するエアコン設置のための財政的支援や、夏休みの延長を検討する考えを示すなど、前例のない反応もみられました。今夏の酷暑は、今後の列島の四季のあり方の画期を示すメルクマールになるのかもしれません。

 世界気象機関によると、こうした異常な猛暑に襲われているのは日本だけではないようです。カナダ東部のケベック州でも、熱波に加え湿度も上昇し、高齢の方数十人がお亡くなりになりました。

 一九一三年に五六・七度の世界最高気温を記録したアメリカのカリフォルニア州デスバレーでは、七月に五二・〇度を、ロサンゼルス近郊のチノでは四八・九度を観測したほか、ノルウェーとフィンランドの北極圏で三三度を、アルジェリアのサハラ砂漠では五一・三度を記録するなど、世界各地で異常な高温となっています。

 異常気象ということでは、西日本を襲った平成三〇年七月豪雨もまた、そうでしょう。これまで経験したことのない種類の集中豪雨は各地に甚大な災害をもたらしました。この大雨でお亡くなりになった方や行方のわからない方は二〇〇名を超え、多くの地域で河川の氾濫や浸水被害、土砂災害が発生しました。水道や通信といったライフラインが断たれ、道路や鉄道など交通にも大きな影響が出ました。いまも猛暑のなか、被災地では生活再建への取り組みが進んでいることでしょう。被害に遭われたみなさまには、あらためてお見舞い申し上げます。

 直近の出来事に目を奪われがちですが、この六月には大阪の北部を中心とした大きな地震もありました。最大震度6弱を記録したこの地震でブロック塀が倒れ、登校途中の小学生が下敷きになって亡くなったほか、四名の方がお亡くなりになっています。

 これまで経験のない異常な暑さ、予想を上回る集中豪雨、突然襲ってくる地震。加えて、それらがもたらす副次的な災害――この列島がもたらすのは自然の恩恵だけではないのだと、あらためて感じざるを得ません。

 本号でブレイディみかこさんの連載が終了となります。ご愛読ありがとうございました。新稿も加え、来春の刊行を予定しております。ご期待ください。

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