4×6≠6×4 !?

高橋 誠 著
かけ算には順序があるのか


「6枚の皿にみかんが4個ずつのっています。みかんは全部でいくつですか?」
 この問題に「6×4=24」と式を書くのは正しいか、間違いか。これが算数教育界を二分する「かけ算の順序問題」の大論争です。文部科学省の現在の学習指導要領からはかけ算の式に正しい順序があるという記述はありませんが、参考書や教師用の指導書の中には逆順で書かれた式は間違いと見なすようなものもあります。小学校の先生によっては、テストに逆順で書くと×になるところもあるようです。かけ算は順序を入れ替えても答が同じなのになぜ×になるのでしょうか? みなさんはどう思われますか? 実際に学校でどのように習ったでしょうか?
 かけ算に順序はないという立場の著者・高橋誠氏は疑問に思い、なぜ、このような順序を重視する教え方が普及したのか、それはいつごろか、と調べた成果が本書です。遠山啓氏や森毅氏のように算数教育にも深く関わった数学者はどのように考えていたのかも明らかになります。どちらの立場の方であっても順序論争に関心のあるならばぜひ読んでおきたい書です。
 高橋氏の探索は、論争から離れて九九の歴史にまで進みます。「九九八十一」からはじまる古代の九九、室町時代の御伽草紙の姫ぎみが唱える九九など、現代に至るまでにたどった九九の変遷にも注目です。

(2016年1月)

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