『広辞苑第六版』初刷「後記」についての訂正とお詫び

『広辞苑第六版』初刷「後記」の挿画家への謝辞において、誤った文章が掲載されてしまいました。ここに、その内容をご説明するとともに、ご迷惑をかけた関係者の皆様にお詫び申し上げます。

 

第六版初刷「後記」において、挿画家の方への謝辞の箇所は、次のようになっています。

挿図は初版以来、羽石光志・村田道紀・岸佳孝・佐野裕彦・杉本修・蛭川綾子・矢崎芳則・石川和夫・鈴木勝久・藪内正幸の諸氏の執筆になるものであるが、今回は矢崎氏および梅村有美・大片忠明・香取良夫・北原志乃・中島睦子・福田竹代の諸氏のご協力をいただいた。

しかし、これは事実に反する誤った文章でした。『広辞苑』は、初版から第五版まで、牧野四子吉、佐伯義郎両先生の挿図を多数使用させていただいてきた歴史を有するにもかかわらず、ここではそのことがまったく抜け落ちてしまっています。また、羽石氏は第二版、村田氏は第三版、岸氏・佐野氏・杉本氏・蛭川氏・矢崎氏は第四版、石川氏・鈴木氏・藪内氏は第五版からのご執筆です。したがって、この部分は、以下のように訂正させていただきます。

第六版で使用した挿図は、羽石光志・村田道紀・岸佳孝・佐野裕彦・杉本修・蛭川綾子・矢崎芳則・石川和夫・鈴木勝久・藪内正幸・梅村有美・大片忠明・香取良夫・北原志乃・中島睦子・福田竹代の諸氏の執筆になるものである。なお、第五版までは牧野四子吉・佐伯義郎両氏執筆の挿図を多数使用させていただいた。併せて謝意を表したい。

『広辞苑』は初版より第五版までの長きにわたり、牧野四子吉、佐伯義郎の両先生の数多くの素晴らしい挿図によって支えられてきました。牧野四子吉先生は、現代日本における傑出した博物画家であり、動植物の挿画制作を一つの独立した分野として確立するうえで大きな功績を残されました。佐伯義郎先生は、宮沢賢治童話シリーズ、『広辞苑』をはじめとして挿画家として活躍され、その後、画家・詩人として多くの仕事をなさいました。『広辞苑』では、初版より第五版まで、主に牧野先生が博物画(生物画)、佐伯先生が有職故実関係を担当されました。今回の謝辞における誤りは、編集部のこの歴史に対する認識不足と不注意によるものでありました。
 この誤った記述により、故牧野四子吉氏、故佐伯義郎氏の著作権継承者の皆さまには、たいへんなご迷惑と心痛をおかけしてしまいました。心より深くお詫び申し上げます。
 なお、『広辞苑第六版』後記は、普通版と机上版の第2刷、革装版の第1刷においてすでに訂正されていることを申し添えます。

 

2015年12月21日

株式会社 岩波書店

カテゴリ別お知らせ

ページトップへ戻る