解答を聞いてくれる人がいたら、もっと楽しくなるかも

セルゲイ・ドリチェンコ 著/坂井 公 訳
『ロジカルな思考を育てる数学問題集 (上・下) 』


ロシアには、数学好きの子どもが集まって経験豊かな指導者のもとで数学の問題に取り組む、数学サークルの伝統があります。そういうサークルでは、毎回はじめに問題セットが渡されて、生徒が自分のペースで解いていき、解けたと思ったら指導者を呼びとめて自分の解答を聞いてもらうというのが基本スタイルだそうです。
 この方式のポイントは、生徒が自分の解答を「聞いてもらう」ことにあるにちがいありません。数学の問題はひとりで取り組んでも面白く、解けたときには喜びが味わえます。でも、その解答を先生や仲間に聞いてもらえたら、もっと楽しい。相手が熱心に耳を傾けて「ほぉー」と感心してくれたりしたら、すごくうれしい。そして、誰かに話すことで、自分の解答の不十分なところに気づいたり、別の解き方があることに気づいたりもできるのです。
 この問題集は、ロシアの中学生の数学サークルで1年間に使われた問題を集めたものですが、上巻の最初と下巻の最後には、サークルを実際に運営するときに大いに役立つ解説もあります。読んだら自分でも数学サークルを始めてみたくなるかもしれません。

(2015年9月)

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