シリーズ紹介「ロシア革命とソ連の世紀」(全5巻)

ロシア革命とソ連の世紀

[編集委員]
松戸清裕・浅岡善治・池田嘉郎・宇山智彦・中嶋毅・松井康浩

刊行にあたって

本企画は「ロシア革命百周年」を機とするものだが、一九一七年の二月革命や十月革命という「事件」としての革命に焦点を当てるのではなく、革命を経て出現したソ連という国家の営み全体をいくつかの視角から描き出している。全体に通底しているのは、ソ連の歴史全体が、ユートピア実現のため新たな文明を創造しようとし、「民族解放」を目指し、そのために文化や人間そのものの変革さえも試み、これを通じて資本主義との競争に勝利することも目指すという、まさに革命的な取り組みを続けた歴史だったという認識である。

この取り組みは全体としては失敗に終わり、ソ連は消滅したが、ソ連の営みは、植民地支配下の諸民族を鼓舞し、先進資本主義諸国の福祉国家化を促すなど二〇世紀の世界に大きな影響を及ぼし、その歴史は現在もなお世界に多くの参照材料を提供し続けている。

本シリーズは、ソ連史の全容とその世界的な影響を眺望できるよう、全体を五巻構成とした。1~3巻は時期で区切り、それぞれ、革命前後の時期、スターリン期、スターリン後の時期を対象としているが、通史的な概説ではなく、各々の時期を特徴づける「世界戦争とユートピア」、「スターリニズムという文明」、「資本主義との競争」という観点から構成されている。4、5巻はテーマ別の巻で、「人間と文化の革新」、「革命と民族」の観点からソ連史全体にわたって考察をおこなっている。

編集にあたっては、具体的な歴史叙述と現代的な問題関心との連関が明らかとなるように意を用いた。読者は本企画から、ソ連の歴史に学ぶべき教訓などをさまざまに読み取ることができるだろう。

二〇一七年二月

編集委員一同

特色

  1. 活躍中の歴史家・地域研究者が総結集
  2. 歴史3巻テーマ2巻での立体的巻構成
  3. 総説・論文・コラムによる概観と論究
  4. 歴史叙述と現代的関心との関連に配慮
  5. 一国を越えた世界的影響関係への着目
  6. 索引と関連年表によってさらに便利に

全巻の構成

  • 第1巻 世界戦争から革命へ〈6月15日発売〉
    [責任編集]池田嘉郎
    20世紀初頭、旧体制と近代化の岐路にあったロシア帝国を世界戦争の大渦が飲みこんだ。第1巻では帝政末期からソ連初期にいたる変動の全体像を明らかにする。1917年がもつ分水嶺としての意味、帝政期からソ連へと引き継がれた諸課題にも目配りをする。
  • 第2巻 スターリニズムという文明〈7月19日発売〉
    [責任編集]松井康浩・中嶋毅
    1920年代末にはじまるスターリンによる「上からの革命」は、資本主義に対抗する新しい秩序構築の画期となった。第2巻では、文明としてのスターリニズムを生み出した、自然と人間社会のトータルな変革プロジェクトの実態、その世界的インパクトを描く。
  • 第3巻 冷戦と平和共存〈8月10日発売〉
    [責任編集]松戸清裕
    冷戦は軍事的な対立であると同時に、資本主義と社会主義との平和競争でもあった。第3巻ではこの側面に注目し、ソ連における国民の生活水準向上の取り組みやソ連型民主主義の模索、米ソの交流などを描くことで、ソ連と冷戦に関するステレオタイプの修正を試みる。
  • 第4巻 人間と文化の革新
    [責任編集]浅岡善治・中嶋毅
    第4巻では、思想、文化、芸術など、 人間および広義の社会の観点からロシアとソ連の歴史に再接近する。社会と人間の革新を志向する政治権力と、それに向き合う社会との相互関係を軸に、革命とそれが生み出した新たな世界の変転を描き出す。
  • 第5巻 越境する革命と民族
    [責任編集]宇山智彦
    ロシア革命とソ連が同時代の世界に対して持ったアピール力の源泉は、社会主義だけでなく民族解放のスローガンにもあった。第5巻ではソ連を「多民族帝国」の一つとして位置づけ、その実験的政策の展開と国際的な影響、そしてソ連解体を経てロシアに残した遺産を論じる。

ロシア革命とソ連の世紀 書影
A5判・上製カバー・平均336頁

『ロシア革命とソ連の世紀』内容案内[PDFファイル:5.86MB]

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