算数にはいろいろ楽しみ方がある

『算数から数学へ』

(宇沢 弘文 著)

 小学校の算数の授業でのなつかしい思い出といえば,三角形の内角の和が180°であることの証明でしょうか.「われこそは証明できた」という生徒が前に出て,聞いているクラスメートを納得させる,というだけの授業が何日間も続きました.何人もの子がチャレンジしましたが,クラス全員を納得させるという偉業を達成したのは結局,誰もいませんでした.私もうまくいかず撃沈.いま思えば途中で,平行線の錯角が等しいことをうまく説明するのがなかなか難しかったようです.「先生や○○君が言っているから正しい」というのとは無縁な算数,「あの方法がダメならこれでは」といろいろ工夫し,算数の醍醐味を味わえた気がします.

 私が考えた平行線の錯角(●と●●)が等しいことの「証明」.ガラスに書いた図形を破線と点線を軸に二回裏返すと錯角は同じ位置にくるから等しい! 納得していただけます?



 そんな算数の楽しみ方を伝えるのが,2014年に亡くなられた経済学者の宇沢弘文さんの著書『算数から数学へ』です.今年の6月にほぼ10年ぶり,待望の復刊となりました.

 鶴亀算や三角形の性質など算数の問題からはじまって,方程式へと無理なく進んでいきます.具体的な問題をひとつひとつ丁寧に解いていきながら,数学の考え方が身についていくので,算数・数学を学び直したいという方におすすめです.問題の中には,古代のバビロニアやエジプトで考え出された問題も紹介されています.息抜きになる歴史のエピソードもあり,子どものとき算数が苦手だった方もぜひ手にとってご覧ください.

 さらに歯ごたえのある問題を,という方には,高橋誠『受験算数――難問の四千年をたどる』(岩波科学ライブラリー)がおすすめの1冊.

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