執筆者からのメッセージ(『世界』2017年10月号)

「“片道切符”で消えぬ紐帯」



 日本人移民、というテーマに30年近くかかわり、南米に居を移して約7年、各国日系社会の取材を積み重ねる経験もしたにもかかわらず、戦前、「十人にひとり」が海外に出た移民県・沖縄に通うと、驚きに日々遭遇する。日系人ならぬ「県系人」という呼称がここにだけあることも、つい最近知った。

 明治・大正の出国者同士、海の向こうで交錯した人間関係が、故郷の縁者から確認できることもある。異国に旅立った先人の消息が、この土地にはさまざまに見つかるのだ。本土では、まず望めないことだ。

 辺野古問題などのニュースで、沖縄のアイデンティティーが広く語られるようになってきた中で、世界規模で「沖縄系」の紐帯が何世代も保たれてきた状況にも、沖縄人特有の姿は見て取れる。

 苦難の近代史と表裏一体で形作られた移民史をたどることで、より広角により深く沖縄を理解したい。本連載はそれを目指している。

三山 喬(ジャーナリスト)

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