脳は「例のドレス」をどう見ているのか

『つじつまを合わせたがる脳』

( 横澤一彦 著)

 少し前の話ですが,ケイトリン・マクニールさんという方が,ブログに「青と黒の縞模様のドレス」を載せたところ,絶対に「白と金色の縞模様のドレス」だと言い張る人が出てきました.一気に世界中に広がり,いまでもときどき自分はどっちだ,あなたはどう見える,などと話題にのぼることがあります.
 これがまさに脳の「つじつま合わせ」の典型と呼べるものです.わたしたちは常に赤はこんな色,青はこんな色だと思い込んでいます.そのため,単独で見せられれば,はっきり区別できるのに,まわりが別の色で囲まれていると,とたんにその判断が鈍ります.脳がつじつま合わせをしたいがために起こり得るのです.
 色に限りません.テレビをつけて,平気で視聴できるのも,つじつま合わせのおかげです.そうでなかったら,画像の人物と聴こえてくる音声,つまり視覚情報と聴覚情報とが同一の対象からの情報だと「つじつま合わせ」できなかったら,混乱するかときに頭が変になります.仮に,どちらかの情報をうんと遅らせるかずらしてみると,そのご利益を実感できるでしょう.
 もっと不思議なことが,じつはわたしたちの脳では起きています.結びつくはずのない色と数字がどうしても連想される人がいます.さらには,注意と意識などの研究にも関わりがあります.人間とは何かを再認識させてくれる本書を開いてみませんか.

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