執筆者からのメッセージ(『世界』2018年5月号)

「映像世界の冒険者たち」



 文学は終わったと軽口を叩く人を見かけますが、それは現在の詩人や小説家がいかに困難と闘いながら作品を創造しているかを知らない人の言葉です。映画は死んだと平然と口にする人がいますが、それは現在、日本が世界第三の映画製作国であり、少女の情熱をもっとも真剣に映し出すメディアとして、日本のアニメが国際的に評価されていることを知らない人の口吻です。今からちょうど20年前、わたしは当時の日本映画にあって最前線にある監督たちを論じる連載を『世界』で行ない、それを『日本映画のラディカルな意志』という書物に纏めました。

 さて、今回は世界版です(別にダジャレをいっているわけではありません)。中国にも、アフリカにも、東南アジアにも、さあ、今度は自分たちの出番だと思っている監督がたくさんいます。『資本論』を映画にした監督もいれば、隠蔽された歴史の禁忌を明るみに出した監督もいます。12人の勇気ある監督たちを紹介いたします。乞うご期待!


四方田犬彦(映画研究家)

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