執筆者からのメッセージ(『世界』2018年7月号)


 紆余曲折を経て開催が決まった史上初の米朝首脳会談。トランプ米大統領と金正恩・朝鮮労働党委員長という人類史的にも特徴あるユニークな為政者は、冷戦構造の残る東アジアの恒久平和へ向けた足掛かりを築くのか、それとも破壊への導火線に火をともすのか。帰路を迎えた朝鮮半島の非核化の行方と、その先に描かねばならない平和創造の展望を、田中均さんと論じた。

被爆体験と非核の国是をモラルオーソリティーとしてきた日本、その外交の真価も鋭く問われている。重大な転機において枢要なのは、歴史的な大局観と基本原則に対する忠実性だ。地殻変動への活路は、田中さんが16年前に残した日本外交の戦略的アセット(資産)に包摂されている。


太田昌克(共同通信)

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