大きいことはいいことだ!

『巨大数』

(鈴木 真治 著)

 小学校の算数では「大きな数」というのを習います.小学生が理解しなくてはならないのは「兆」までですが,教科書には余談としてさらに大きな数として「京」「垓」…「恒河沙」「阿僧祇」「那由他」「不可思議」「無量大数」までを紹介しているそうです.
 でも無量大数ってどんな数でしょうか? 数字で書くと無量大数は10の68乗,つまり1のあとに0を68個並べた数ということになりますが,こんな数にどこかで出くわすことはあるのでしょうか?
 ギリシャのアルキメデスは著書『砂の計算者』で宇宙空間を埋め尽くす砂粒の数を試算しているのですが,アルキメデスによるとその数は10の63乗,日本語で書くと千那由他となり,つまり無量大数の方がはるかに大きいのです! ちなみに恒河沙はガンジス川の砂粒の数に由来するといいますから,スケールは違いますが洋の東西で似た発想から「巨大数」を考えだしたのは興味深く思います.
 では無量大数が巨大数のチャンピオンでしょうか? いえいえ,仏教のお経には不可説不可説転:
10の37218383881977644441306597687849648128乗

なる,とんでもない,いや大変ありがたい数が登場するのです.
 『巨大数』はこれまで人類が考え出したこのような巨大数をたくさん紹介する本です.さすが現代の宇宙論は仏典の不可説不可説転を超えてしまいました.物理学者ドン・ペイジの考えた「宇宙が永劫回帰するのにかかる時間」はどのくらいかというと……どうぞ本書をご覧ください.本家の数学も負けてはいません.ゲーデル数やスキューズ数など重要な巨大数が登場します.また,ガウス,ニーチェ,クヌースなど巨大数と関わった科学者や哲学者たちのエピソード「巨大数人物伝」も盛りだくさんです.
 自分のお財布の中を見ると10の4乗のお札があることはあまりありませんが,そんな悲しみをひととき忘れさせてくれる壮大な数の物語です.ぜひお楽しみください.

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