人体最大の臓器の謎

『皮膚は考える』

(傳田光洋 著)

  放っておけば,ポロポロ剥がれ落ち,絶えず再生されているような皮膚が「考える」なんて,何を言っているのだと思われる方もいるかもしれません.本書は,大まじめな本です.「皮膚は臓器だ,単なる体の包装紙じゃないんだ」という主張する本書は,皮膚科学という分野に,新たな視点をもたらしたといっても過言ではないでしょう.

 たとえば,皮膚の代表ともいえるわれわれの指感覚.その驚くべき触覚機能についてはいうまでもありません.あるものが指に触れた瞬間,目で確かめなくても,それが危険なものかどうか判断ができます.また,われわれは指や体の皮膚を通じて,その日の温度や湿度などの環境を評価し,その日に合った服装を整えることができます.

 こうした判断は,いちいち外部からの刺激に対して,脳が1つ1つ判断して指令しているわけではないのです.皮膚の内部には,大脳に存在する神経伝達物質と同じものが存在し,環境との相互作用をコントロールしています.皮膚は皮膚なりに自分で考え答えをだしているというわけです.そんなしくみを存分に語ってくれるのが本書です.

 そうなると,これまで西洋医学に比べ,東洋医学の鍼灸などは,何か因果関係のはっきりしないものと思いこんでいたが,じつは深い意味があるのでは? と,そう思ったあなた,とてもよいところに気がつかれました.気になりますね.それもずばり書いてあります.あなたにぜひオススメの本です.

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