シリーズ紹介「日本の中の世界史」(全7冊)

シリーズ 日本の中の世界史
これまで「日本史」という枠組みの中でのみ理解されがちだった近代日本の様々な経験を、同時代のグローバルな経験との連動を意識しながら、大きな世界史の流れの中に位置づけ直すことをめざす、書き下ろしシリーズです。イギリス、中国、インド、アメリカ、東欧、日本など各地域の歴史研究で活躍してきた七人の著者が、〝世界史の中の日本/日本の中の世界史〟の発見に挑む、七つの個性的な歴史叙述をお楽しみください。

全巻の構成

「連動」する世界史─19世紀世界の中の日本
明治国家はどのようにして作られたのか。「世界史の傾向」が諸地域間の関係と連動との中で、日本に土着化してゆく歴史として描き出す。
  • プロローグ……「連動」する世界史
  • Ⅰ 変革の時代─世界史の中の幕末・維新
  • Ⅱ 「国民国家」の時代─世界史の中の明治国家
  • Ⅲ 帝国主義の時代─世界史の中の日清・日露戦争
  • エピローグ……「土着化」する世界史
南塚信吾(みなみづかしんご) 1942年生。ハンガリー史。千葉大学・法政大学名誉教授。『義賊伝説』(岩波新書)
帝国航路を往く─イギリス植民地と近代日本
イギリスの「帝国航路」をたどって渡欧した旅行者たちの経験や思索を通して、帝国主義世界体制の中での位置を模索する近代日本の姿に迫る。
  • プロローグ……『西洋道中膝栗毛』と帝国航路
  • Ⅰ 帝国航路とイギリス植民地
  • Ⅱ 幕末動乱のなかで─一八六〇年代
  • Ⅲ 明治国家建設をめざして─一八七〇~八〇年代
  • Ⅳ 帝国支配国へ─一八九〇年代~第一次世界大戦
  • Ⅴ ヨーロッパへの挑戦─一九二〇~三〇年代
  • エピローグ……帝国航路とアジア・ヨーロッパ
木畑洋一(きばたよういち) 1946年生。イギリス現代史。東京大学・成城大学名誉教授。『二〇世紀の歴史』(岩波新書)
中島敦の朝鮮と南洋─二つの植民地体験
作家・中島敦は、朝鮮と南洋の二つの植民地での見聞を通じて何を感じ、考えたのか。日本人の植民地体験を追体験し、その意味を問い直す。
  • プロローグ……中島敦・スティーヴンソン・植民地体験
  • Ⅰ 中島敦の朝鮮─一九二二~三四年
  • Ⅱ 南洋庁編修書記、中島敦─一九四一~四二年
  • Ⅲ 「光と風と夢」─サモアのスティーヴンソンと中島敦
  • Ⅳ 南洋に生きた人々
  • Ⅴ 中島敦の南洋
  • エピローグ……植民地体験の反芻と追体験
小谷汪之(こたにひろゆき) 1942年生。インド史。東京都立大学名誉教授。『大地の子』(東京大学出版会)
続刊
日本で生まれた中国国歌─「義勇軍行進曲」の時代
国民党幹部・邵元冲、その妻張黙君、中国国歌の作曲者・聶耳。三人の眼に映じた二〇世紀前半の日本の姿を通して、日中関係の原点を問い直す。
  • プロローグ……世界に目を開く中国
  • Ⅰ 日本に倣った近代化─一九一〇年代初め
  • Ⅱ 日本モデルとの決別─一九一〇年代後半〜二〇年代半ば
  • Ⅲ 対等な対日関係の模索─一九二〇年代末
  • Ⅳ 侵略する日本と抵抗する中国─一九三〇年代
  • エピローグ……二一世紀の日中関係へのメッセージ
久保 亨(くぼとおる) 1953年生。中国現代史。信州大学特任教授。『社会主義への挑戦1945-1971』(岩波新書)
手仕事の帝国日本─民芸・手芸・農民美術の時代
西洋との出会いを通じて生成し制度化される「日本美術」。民芸や手芸に新たな価値と意味が見出される過程と、そこに内包される矛盾・葛藤を問う。
  • プロローグ……帝国を生きること、手仕事を選ぶこと
  • Ⅰ 「日本美術」の生成と西洋近代
  • Ⅱ 民芸の射程─富本憲吉の「家」と帝国
  • Ⅲ 工芸、手芸とアマチュアリズム─藤井達吉と女性たち
  • Ⅳ 農民美術運動と農村政策の時代─山本鼎の実践と蹉跌
  • Ⅴ 手仕事と帝国を描く─岡田三郎助の女性像を起点に
  • エピローグ……「手仕事の国」日本はどこから来たのか、そしてどこへ行くのか
池田 忍(いけだしのぶ) 1958年生。日本美術史。千葉大学教授。『日本絵画の女性像』(筑摩書房)
平和を我らに─越境するベトナム反戦の声
世界史上、ベトナム反戦運動ほど国際連帯が進んだ運動はなかった。半世紀前の経験を通じて「民衆のグローバリゼーション」の可能性を考える。
  • プロローグ……今、なぜベトナム反戦運動を振り返るのか
  • Ⅰ ベトナム独立運動との邂逅
  • Ⅱ ジュネーヴ協定と戦後世界の平和運動
  • Ⅲ 戦争の「米国化」と反戦運動の始動
  • Ⅳ 反戦運動の高揚と和平交渉の始まり
  • エピローグ……ベトナム反戦運動の遺産
油井大三郎(ゆいだいざぶろう) 1945年生。アメリカ現代史、国際関係史。一橋大学・東京大学名誉教授。『好戦の共和国アメリカ』(岩波新書)
買春する帝国─日本軍「慰安婦」問題の基底
人身売買によって支えられていた近代日本の公娼制。日本軍「慰安婦」制度へとつながるその変容の歴史を世界史の潮流の中に位置づける。
  • プロローグ……性的享楽を組織化する帝国の力
  • Ⅰ 人身売買禁止から公娼制へ─一八七二~一八九四年
  • Ⅱ 公娼制と買春帝国─一八九五~一九一八年
  • Ⅲ 第一次世界大戦後の買春帝国の変容─一九一九~一九三七年
  • Ⅳ アジア太平洋戦争と買春帝国の再変容─一九三七~一九四五年
  • Ⅴ 公娼制廃止から売春防止法へ─一九四五~一九五六年
  • エピローグ……男の性的享楽から男女の人権確立へ
吉見義明(よしみよしあき) 1946年生。日本近現代史。中央大学名誉教授。『従軍慰安婦』(岩波新書)

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