「クリティーク社会学」(全7冊)(1/13刊行開始)

THE CRITIQUE OF SOCIOLOGY



自分たちが属する社会に関して、社会学者はいかに思考し、分析し、論じることができるのか。そして、そこにはどのような難問と可能性があるのか。先の見通しの効かない時代状況のなかで、第一線の社会学者たちが、自身の問題関心と現実社会の切り結ぶ接点で社会学的な思考を展開する。社会と社会学という学問に対する批評(クリティーク)となるシリーズ。各巻末にはもうひとりの社会学者による解説を収録。


特色

◎社会と社会学に対する批評となるシリーズ

◎四六判・並製・平均224頁、定価2200~2300円(税予価)


全巻構成

経済の起原 » 書誌ページ
経済の起原とは何か。大半の問題が経済の論点に還元されてしまう現代で、資本主義システムの外ではなく内部から、倫理や政治固有の問題を見出すことは可能なのか。交換と贈与、負債をめぐる問いから考える。【解説:市野川容孝】

大澤真幸(おおさわ・まさち)1958年生まれ。社会学者。著書に『自由という牢獄』(岩波現代文庫)、『不可能性の時代』(岩波新書)、『ナショナリズムの由来』(講談社)、『新世紀のコミュニズムへ』(NHK出版新書)、『〈世界史〉の哲学』シリーズ(講談社)など。


▍慈悲のポリティクス――モーツァルトのオペラにおいて、誰が誰を赦すのか » 書誌ページ
純粋で絶対的な慈悲は実現不可能であり、実現したとて生と社会への不都合に帰結してしまう。モーツァルトの赦しを題材とする「フィガロの結婚」以後のオペラから、この二重の困難をめぐるアポリアを追求する。【解説:大澤真幸】

奥村 隆(おくむら・たかし)1961年生まれ。関西学院大学社会学部教授。著書に『社会はどこにあるか』『はじまりの社会学』(以上、ミネルヴァ書房)、『反コミュニケーション』『反転と残余』(以上、弘文堂)など。


▍ノスタルジアとユートピア » 書誌ページ
情報化やグローバリゼーションは、人々の場所性/時間性を喪失させつつある。こうした喪失によって欲望される居場所とは? 〈ノスタルジア〉と〈ユートピア〉という主題の歴史と現在の変奏として分析し考察する。【解説:奥村 隆】

若林幹夫(わかばやし・みきお)1962年生まれ。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。著書に『未来の社会学』(河出ブックス)、『郊外の社会学』(ちくま新書)、『社会学入門一歩前』(NTT出版)、『〈時と場〉の変容』(NTT出版)、『社会〈学〉を読む』(弘文堂)など。


▍空爆論――メディアと戦争
20世紀以後の戦争では空爆が大きな役割を担い、今や無人ドローン兵器が実用化されている。ドローン兵器という発想の起原、戦争のあり方を規定するメディア言説を通じ、東京大空襲からAI兵器への系譜を辿る。【解説:北田暁大】

吉見俊哉(よしみ・しゅんや)1957年生まれ。東京大学大学院情報学環教授。著書に『視覚都市の地政学』(岩波書店)、『大学は何処へ』『大学とは何か』(以上、岩波新書)、『大学という理念』(東京大学出版会)、『東京復興ならず』(中公新書)など。


▍セキュリティという装置
現代に散乱する「セキュリティ」という言葉。近代以後、いたるところに潜み、内的緊張と逆説をはらんだこの概念の展開を歴史的にたどることで、近代社会なるものの軌跡と構造を再検討する。【解説:若林幹夫】

市野川容孝(いちのかわ・やすたか)1964年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。著書に『身体/生命(思考のフロンティア)』『社会(思考のフロンティア)』『社会学(ヒューマニティーズ)』(以上、岩波書店)など。


▍反スペクタクルとしてのテレビ――消費主義と「暮らし」の発見
1960年代以降、テレビは資本主義的に暮らしをスペクタクルへと変えてきた。そうした社会的機能に対して、YouTubeとNetflixの時代に、ありのままの暮らしを慈しみ、取り戻す可能性をテレビ番組のなかに探る。【解説:吉見俊哉】

長谷正人(はせ・まさと)1959年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。著書に『敗者たちの想像力 脚本家 山田太一』(岩波書店)、『ヴァナキュラー・モダニズムとしての映像文化』(東京大学出版会)、『映像文化の社会学』(有斐閣)、『映像という神秘と快楽』(以文社)、『映画というテクノロジー経験』(青弓社)など。


▍社会の文化――趣味hobbyと趣味tasteのあいだ
「文化」概念やそれと相即した実践を歴史的に掘り下げつつ、いわゆる「社会科学/学問」におけるその近代的・現代的意味を考察することで、「文化」という概念とそれが目指すものが担う社会的機能を討究する。【解説:長谷正人】

北田暁大(きただ・あきひろ)1971年生まれ。東京大学大学院情報学環教授。著書に『広告の誕生』(岩波現代文庫)、『増補 広告都市・東京』(ちくま学芸文庫)、『嗤う日本の「ナショナリズム」』 (NHKブックス)、『社会制作の方法 』(勁草書房)など。

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