関東大震災と中国人

王希天事件を追跡する

周恩来の親友だった中国人のリーダーはなぜ殺されたのか? 証言と史料の発掘によって,その真相に迫る.

関東大震災と中国人
著者 田原 洋
通し番号 社会272
ジャンル 書籍 > 岩波現代文庫 > 社会
日本十進分類 > 歴史/地理
刊行日 2014/08/19
ISBN 9784006032722
Cコード 0121
体裁 A6 ・ 並製 ・ カバー ・ 286頁
在庫 品切れ
1923年9月の関東大震災の時,朝鮮人や社会主義者に対する虐殺とともに,なぜ中国人に対する虐殺があったのか? 証言と史料の発掘によって,周恩来の親友で日本在住中国人の若きリーダーだった王希天(1896―1923)の死の真相に迫る.加害者へのインタビューが圧巻で,政府ぐるみの隠蔽工作が明らかにされる.

◆編集部より

この書物は,1982年に三一書房から刊行された『関東大震災と王希天事件――もう一つの虐殺秘史』の改訂版です.田中宏先生(一橋大学名誉教授)から,この本を紹介されて,読んだのですが,王希天殺害の犯人への取材を敢行する場面などは,かつて観たドキュメンタリー映画『ゆきゆきて,神軍』とオーヴァーラップして,強く印象に残りました.
1923年9月の関東大震災の時,朝鮮人や社会主義者に対する虐殺とともに,なぜ中国人に対する虐殺があったのでしょうか? 本書は,証言と史料の発掘によって,周恩来の親友で,東京で日本在住中国人のためにセツルメント活動をしていた若き中国人リーダー王希天の死の真相に迫り,政府ぐるみの隠蔽工作を明らかにするドキュメンタリーの傑作です.特に加害者へのインタビューは圧巻.ぜひ書店でご覧ください.

王希天殺害を記述した遠藤日誌
王希天殺害を記述した遠藤日誌 1923年9月10,11,12,13日の記述(スミで消した部分は,記入後22日目に強制捜査の恐れが発生したさい,自ら消した跡)
 現代文庫版まえがき

序 章 五九年目の新証言
第1章 死地へ赴く
 1 関東大震災直後
 2 僑日共済会
 3 検束された王希天
 4 護送か抹殺か
第2章 大島町事件
 1 隠された中国人虐殺
 2 なぜ亀戸署管内で大虐殺が
第3章 早暁の虐殺
 1 野重第三旅団の陰謀
 2 「久保野日記」に現われた真実
第4章 王希天を語る
 1 一高特設予科時代
 2 八高時代
第5章 隠蔽の企み
 1 軍隊エゴの論理
 2 罹災中国人を本国送還
 3 大杉虐殺事件の意味
 4 帰還者の告発
第6章 日中間の大問題に発展
 1 日本政府の隠蔽工作
 2 中国側のジレンマ
 3 世論の高まりと調査団結成
 4 封じられた『読売』の告発
 5 日本政府,隠蔽を正式決定
第7章 すれ違う日中会談
 1 日本側の""迎撃""準備
 2 王調査団,東京入り
 3 「隠蔽」は大成功?
第8章 日中関係史の袋小路
 1 賠償金支払いで""解決""へ
 2 虐殺関係者のその後
終 章 事件発掘史

 あとがき/主要参考文献/取材協力者(団体)一覧
田原 洋(たはら よう)
1938年,福岡県北九州市(小倉)生まれ.1963年,東京教育大学仏文科卒業後,東京タイムズ記者(社会部,政治部).1975年からフリーとなり,新聞・雑誌等に寄稿.1980年,国会議員政策秘書.1998年,NTTアド嘱託,2003年退職.

書評情報

解放新聞 2016年5月16日
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