あいちトリエンナーレ「展示中止」事件

表現の不自由と日本

二〇一九年八月,あいちトリエンナーレで何が起きたのか.国家のみならず社会の圧力からどう表現を守るのか.

あいちトリエンナーレ「展示中止」事件
著者 岡本 有佳 , アライ=ヒロユキ
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
刊行日 2019/11/27
ISBN 9784000613781
Cコード 0036
体裁 四六 ・ 並製 ・ 254頁
定価 1,980円
在庫 在庫あり
二〇一九年八月,あいちトリエンナーレで何が起きたのか.国際芸術祭の一環だった検閲を問う企画展が,政治家の発言や電話やファクスなどで抗議,脅迫を受け,開催後三日で中止に至った.国家のみならず社会の圧力からどう表現を守るのか.事態の経緯を記録し,さまざまな局面から日本社会そのものの不自由さを問う.各種の声明,参加作家のメッセージを付す.
はじめに――「表現の不自由展・その後」という扉……………アライ=ヒロユキ


第Ⅰ部 あいちトリエンナーレ2019で何が起こったか

第1章 国家と文化――「表現の不自由展・その後」をめぐって……………蟻川恒正
第2章 〈表現の不自由展・その後〉中止事件
 当事者として記録する二七〇日の断章……………岡本有佳
 資料・キュレーションを口実とした否定の反動性……………アライ=ヒロユキ

「表現の不自由展・その後」実行委員会声明
表現の不自由展・その後――作品の声を聞く……………写真=安 世鴻

第3章 丸木美術館で展示された「少女像」……………岡村幸宣
第4章 文化の統制……………前川喜平

座談会 つくり手をなめる社会は衰退の道を行く……………アライ=ヒロユキ/武田砂鉄/常見陽平

あいちトリエンナーレ2019 参加作家の声明・メッセージ
「不自由展・その後」参加作家メッセージ
各種団体の声明
アーティストからのメッセージ……………イトー・ターリ/前山 忠/長澤伸穂/チョン・ユギョン


第Ⅱ部 日本社会の不自由

第5章 ナショナリズムを資源とする政治……………中野晃一
第6章 日本社会が排除し続けてきた少女……………北原みのり
第7章 日々実施されている歴史修正――何が展示を中止させたかコラム……………西谷 修

[コラム]
 1 樫村愛子
 2 安田菜津紀
 3 深沢 潮
 4 いちむらみさこ
 5 ミキ・デザキ


おわりに――あいトリが終わっても,不自由展中止事件は終わらない……………岡本有佳
岡本有佳(おかもと ゆか)
編集者.風工房主宰.「表現の不自由展・その後」実行委員.共編著『〈平和の少女像〉はなぜ座り続けるのか』(世織書房)『《自粛社会》をのりこえる』(岩波ブックレット)『誰が〈表現の自由〉を殺すのか』(御茶の水書房)『政治権力VSメディア 映画『共犯者たち』の世界』(夜光社)他.

アライ=ヒロユキ
1965年生.美術・文化社会批評.美術評論家連盟会員.「表現の不自由展」実行委員.著書に『検閲という空気』『天皇アート論』『宇宙戦艦ヤマトと70年代ニッポン』(以上,社会評論社)『オタ文化からサブカルへ』『ニューイングランド紀行』(以上,繊研新聞社)他.


[主要執筆者一覧]

蟻川恒正(ありかわ・つねまさ)
1964年東京生.憲法学.日本大学教授.著書に『憲法的思惟――アメリカ憲法における「自然」と「知識」』『尊厳と身分――憲法的思惟と「日本」という問題』(以上,岩波書店)他.

安 世鴻(アン・セホン)
写真家.韓国,東ティモール,インドネシアなどで約20年日本軍性奴隷被害女性たちを取材.著書に『重重 中国に残された朝鮮人日本軍「慰安婦」の物語』(大月書店)『誰が〈表現の自由〉を殺すのか』(共編,御茶の水書房)他.

岡村幸宣(おかむら・ゆきのり)
1974年生.原爆の図丸木美術館学芸員.2016年第22回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞を受賞.著書に『非核芸術案内』『《原爆の図》のある美術館』(以上,岩波ブックレット)『《原爆の図》全国巡回』(新宿書房)他.

前川喜平(まえかわ・きへい)
1955年生.現代教育行政研究会代表.元文部科学省事務次官.著書に『面従腹背』(毎日新聞出版),共著に『生きづらさに立ち向かう』(岩波書店)『同調圧力』(角川新書)他.

常見陽平(つねみ・ようへい)
1974年生.労働社会学.千葉商科大学国際教養学部専任講師,働き方評論家.著書に『僕たちはガンダムのジムである』(日経ビジネス人文庫)『「就活」と日本社会』(NHKブックス)『僕たちは育児のモヤモヤをもっと語っていいと思う』(自由国民社)他.

武田砂鉄(たけだ・さてつ)
1982年生.ライター.著書に『紋切型社会』(朝日出版社,新潮文庫)『芸能人寛容論』(青弓社)『コンプレックス文化論』(文藝春秋)『日本の気配』(晶文社)他.

中野晃一(なかの・こういち)
1970年生.比較政治学,日本政治,政治思想.上智大学教授.著書に『戦後日本の国家保守主義』(岩波書店)『嘘に支配される日本』(共著,岩波書店)『右傾化する日本政治』(岩波新書)『私物化される国家』(角川新書)他.

北原みのり(きたはら・みのり)
作家.「ラブピースクラブ」代表.著書に『毒婦.』(朝日新聞出版,講談社文庫)『さよなら,韓流』(河出書房新社)『奥さまは愛国』『性と国家』(以上共著,河出書房新社)他.

西谷 修(にしたに・おさむ)
1950年生.哲学.東京外国語大学名誉教授.著書に『不死のワンダーランド』(青土社,講談社学術文庫)『夜の鼓動にふれる』(東京大学出版会,ちくま学芸文庫)『戦争論』(岩波書店,講談社学術文庫)『世界史の臨界』『理性の探求』(以上,岩波書店)『アメリカ異形の制度空間』(講談社選書メチエ)他.

書評情報

ふぇみん 2020年3月15日
北海道新聞(朝刊) 2020年2月23日(評者:井上間従文さん)
西日本新聞 2020年2月8日(評者:川浪千鶴さん)
しんぶん赤旗 2020年2月2日(評者:武居利史さん)
日刊ゲンダイ 2020年1月28日(「ブックレビュー」欄)
月刊イオ 2020年1月号
毎日新聞(朝刊) 2019年12月15日(評者:武田砂鉄さん)
朝日新聞(朝刊) 2019年12月5日
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